2021年前期日本卓球リーグが、6月23〜27日まで、千葉県浦安市のバルドラール浦安アリーナで開催。なお、大会は、新型コロナウイルスへの感染予防を踏まえ、無観客で行われた。
女子1部は、昭和電工マテリアルズが22期ぶりの優勝を果たした。
【優勝 昭和電工マテリアルズ】
女子1部は最終の第7戦を前に、昭和電工マテリアルズと中国電力がともに5勝1敗で並ぶデッドヒートになった。得失点差では中国電力がリードしていたため、両リームとも最終戦に勝てば中国電力優勝の線が濃かったが、それを意識して固くなったのか、中国電力が十六銀行によもやのストレート負け。一方、昭和電工マテリアルズはデンソーにストレート勝ちし、昭和電工マテリアルズとしては初、前身の日立化成から数えると実に22期ぶりの優勝を果たした。
昭和電工マテリアルズのスタートは苦しかった。東京オリンピックを目前に控えたゴールド選手(他所属選手のレンタル)の石川佳純の参戦でチームにプレッシャーがかかったのか、初戦のサンリツ戦で敗れ、痛い黒星発進。しかし、初戦の敗戦後、「自分のためじゃなく、石川のオリンピックを応援するためにがんばろう」という内山監督の声かけに、選手が応えた。
石川に次ぐエース格の鈴木李茄が、石川に引っ張られるように調子を上げて勝ち星を重ねると、田口瑛美子、平真由香らも続き、2戦目以降を全勝して優勝をたぐり寄せた。
一方、東京オリンピックを前に実戦の場を求めて参戦した石川は、全勝でチームの優勝に大きく貢献。持ち味である安定感抜群のラリー力をベースに一つ一つの技の球威が増している印象で、大舞台に向けて状態は上々のようだ。
●昭和電工マテリアルズ・内山敏彦監督のコメント
「初戦はみんな固くなって、自分の力が全然出せていなかった。負けた後、『自分のためじゃなく、石川を応援するために頑張ろうよ』と話してから、ガラッと変わりました。ですから、石川に優勝をプレゼントしてもらった感じです。
(最終戦、中国電力と並んだ状態について)選手たちには特にそういう話はしません。とにかく頑張って(良い結果で)石川をオリンピックに送り出そうと。ですから、優勝はみんなも衝撃的だったと思います。
日立化成時代に優勝していますが、去年、昭和電工マテリアルズに変わってから優勝は初です。全日本実業団などは(日立化成時代に)優勝していますが、日本リーグだけ10年くらい優勝できなかった。だんだん(優勝できないことが)マンネリ化していましたが、そんな中で今回優勝できたので、またみんな頑張れるんじゃないかと思います。新しい会社になり、知らない従業員の方もいるので、そうした方々に優勝の報告ができるのはうれしいですね。
コロナ禍ですが、練習はさせていただきました。ただ、遠征とかはできないので毎日同じ人と練習するのでマンネリ化するんですね。だんだん集中力がなくなってくるので、練習時間を普段の半分にするなど工夫しました。練習時間を短くすることによって、なんとなくではなく、大事なところだけを練習するようになったので、それも勝因でしょう」
【2位 中国電力】
2020年度後期日本リーグ熊本大会に続く連覇を狙った中国電力は、わずかに届かず2位に終わった。
ビッグトーナメント熊本大会優勝の宋恵佳と成本綾海のダブルスを中心に、庄司有貴、井絢乃の布陣で優勝ペースだったが、最終第7戦の十六銀行戦では勝ちを意識しすぎたのか、1番で庄司、2番で井が敗れると、頼みの宋/成本が踏みとどまれず、優勝を昭和電工マテリアルズに譲った。
【3位 エクセディ】
エクセディが、チーム過去最高位の3位。2021年全日本卓球女子シングルス最年長出場選手として話題を集めたキャプテンの玉石美幸を中心に、パワフルな攻撃が魅力の竹前裕美子、2019年インターハイ王者の出雲美空らを揃えたオーダーは、さらに上を目指せる布陣だ。
【女子1部の最終順位】
1位:昭和電工マテリアルズ(6勝1敗)
2位:中国電力(5勝2敗)
3位:エクセディ(4勝3敗)
4位:十六銀行(4勝3敗)
5位:サンリツ(4勝3敗)
6位:百十四銀行(3勝4敗)
7位:デンソー(1勝6敗)
8位:愛媛銀行(1勝6敗)
【女子2部優勝 神戸松蔭女子学院大学】
【女子2部の最終順位】
1位:神戸松蔭女子学院大学(6勝0敗)
2位:オークワ(4勝2敗)
3位:トプコン(4勝2敗)※スポット参戦のため表彰順位には含まれず
4位:広島日野自動車(3勝3敗)
5位:豊田自動織機(3勝3敗)
6位:朝日大(1勝5敗)
7位:千葉県選抜(0勝6敗)
8位:JR北海道(※欠場)
詳しい記録はこちらから
日本卓球リーグ実業団連盟:https://www.jttl.gr.jp/taikairesult/2021/05/2020.php
(取材=猪瀬健治)