平成31年4月13日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで『世界卓球2019ブダペスト日本代表選手団 公開練習・記者会見・壮行会』が行われ、多くの報道陣が詰めかけた。
午前中は公開練習が行われ、選手たちはピリッとした空気を放ちつつも、時折リラックスした表情でボールを追っていた。
先週のアジアカップ以後、腱鞘炎で休養し、昨日から練習を再開したという張本智和(JOCエリートアカデミー)は、「回復力が早い」と倉嶋監督が語るように、怪我の影響を感じさせない鋭い打球を連発。まだフォアハンドを強く打つと痛みが出るそうだが、開幕が近づく中、けがの悪化に十分注意してさらに調子を上げていってほしい。
8回目の世界卓球個人戦出場となる水谷隼(木下グループ)は悠々と練習に取り組んでおり、仕上がりは順調そうだ。「これまでは(世界卓球前に)けがが多かったが、今回はけがなくやってこれている。本番でいいプレーができるようにしっかり準備したい」と抱負を語ってくれた。
張本のけがの影響で急遽、石川佳純(全農)との混合ダブルスにエントリーされた吉村真晴(名古屋ダイハツ)は、「(急遽のエントリーで)気持ちをつくるのが難しいが、石川さんとまたペアを組めるのは素直に嬉しい。ポジティブにチャレンジャーとして頑張りたい」とコメント。時折、笑顔を交えながら、石川とサービスやレシーブからの展開を確認していた。
前回女子ダブルス銅メダルでさらなる期待がかかる伊藤美誠(スターツ)と早田ひな(日本生命)は、男子選手ペアと練習。持ち前の攻撃力で男子ペアを圧倒する場面もしばしば見られ、調整は順調に進んでいるようだ。
最終選考会を劇的な試合で勝ち抜き、女子シングルス代表の座をつかんだ加藤美優(日本ペイントホールディングス)は、得意のバックハンドと、しゃがみ込みサービスからの3球目攻撃のチェックに余念がなかった。前回デュッセルドルフ大会でのベスト16を越える成績に期待したい。
午後からは記者会見が行われ、男女監督と選手たちがそれぞれ一言ずつ抱負を語った。
倉嶋洋介男子監督は「大会まで残り少ない中、隙のない入念な準備をして臨みたい。来年は東京オリンピック、そして東京オリンピック後も卓球界にとっては大切です。しかしながら、我々が最も大切にしなければならないのは、『今』だと思います。ビジョンを持つことも大事ですが、目の前の一歩一歩の積み重ねこそが将来の夢であったり目標につながるものであると思っています。このブダペスト大会で選手たちのメダルを賭けた全身全霊のプレーを期待していただきたい」と力強くコメント。
一方、馬場美香女子監督も「今までナショナルチームで多くの合宿を行ってきました。その成果を選手はこの世界選手権で十分発揮し、ベストなコンディションでペストパフォーマンスができることが目標です。一つでも多くのメダルを獲得し、また、打倒中国を目指して全力で戦ってきます」と打倒中国を目標に掲げた。
2年に一度、世界最強の選手を決める世界卓球の個人戦は世界中の卓球ファンが待ち望む大会だが、そこにオリンピックの代表選考レースが重なると、また違った熱を帯びてくる。
猛者たちのトーナメントを勝ち上がり、球史に名を刻むと同時に東京五輪への切符を引き寄せるのは誰なのか。熱い戦いは、もう間もなくだ。
(取材=猪瀬健治)