8月10日、日本卓球協会の宮崎義仁専務理事は、パリ五輪の日本代表選手選考方法についての経過報告のためのオンライン記者会見で、パリ五輪代表の出場資格についてITTF(国際卓球連盟)に質問状を送っていることを発表した。
去る7月11日、ITTFは、2024年パリオリンピックの出場者の決定方法に関して、「2024年パリ五輪卓球競技の出場資格システム」(英語)という文書をウェブサイトに掲載した。
注目すべきは、「出場枠の割り当て」という項目(下記参照)に記載された「団体戦については、出場枠は NOC に割り当てられる。団体戦の出場枠が割り当てられたNOCは、2つのシングルスの出場枠も獲得し、そのチームから2024年6月18日発表の世界ランキング上位2名の選手がシングルスの出場資格を得ることができる」という箇所である。
また、「団体戦の出場数」という項目の注意書きには「(出場資格を持つNOCに関して)2024年6月18日発表の世界ランキングで上位の2選手は、シングルス出場資格者として(団体戦メンバーに)選ばれる」という記載もある。
これらを読むと、「団体戦に出場するNOCの世界ランキング上位の2人は自動的に団体戦メンバーとなり、各NOCが出場選手を選ぶことはできない」という解釈も可能だ(※)。
一方、日本卓球協会は、世界ランキングを中心とした選考には不公正が生じるとの考えから、国内選考会・国際大会を対象とした独自のポイント制をとっている。
卓球 パリオリンピック日本代表候補選手選考はポイント制に
~国内の競争激化による強化を図る~
この点について、宮﨑専務理事は従来の日本卓球協会の選考方法と矛盾はないとしながらも、表記が理解しにくいとして、「NOCが団体枠を獲得した場合、最終的な選手選考の決定権はNOCにあるという解釈で間違いないか」を確認する質問状を7月12日付けで送付したと説明。
その後、ITTF事務総長で五輪担当のラウル・カリン氏にも「日本卓球協会が考えている選考基準で全く問題ない」との言質を得たが、度重なる催促にもかかわらず、正式な文書での回答はまだないため、正式決定としてのパリ五輪日本代表選考基準を発表できずにいるという。
一部のメディアから「世界ランキング上位者がパリ五輪の出場権を得る」という報道があったことに加え、これらの経緯について、昨日(8月9日)選手たちに同様の説明をしたところ、一同理解した様子から今回のオンライン記者会見を開くに至ったとのことだ。
なお、ITTFが発表した「2024年パリ五輪卓球競技の出場資格システム」の内容は以下の通り(一部抜粋)。
■卓球競技の種目
男子シングルス
男子団体
女子シングルス
女子団体
混合ダブルス
■最大出場人数
男子 86人
女子 86人
■各NOCからの最大出場人数
男子 3人
女子 3人
※シングルスは男女とも最大2人
※団体は男女とも最大3人
※混合ダブルスは最大2人(1ペア)
■出場枠の割り当て
シングルスおよび混合ダブルスでは、出場枠は選手個人に割り当てられる。
団体戦については、出場枠は NOC に割り当てられる。団体戦の出場枠は2つのシングルス枠をNOCに与え、その団体から2024年6月18日発表の世界ランキング上位2名の選手がシングルスの出場資格を得ることができる
■団体戦の出場数(男女それぞれ) 合計16チーム
各大陸予選 6チーム
世界卓球2024の準々決勝進出 8チーム
2024年3月のチームランキング 1チーム
開催国 1チーム
【注1】(出場資格を持つNOCに関して)2024年6月18日発表の世界ランキングで上位の2選手は、シングルス出場資格者として(団体戦メンバーに)選ばれる
【注2】NOCが混合ダブルスの出場枠を受け入れた場合、混合ダブルスの出場資格者は団体戦メンバーとなる
■混合ダブルスの出場ペア 合計16組
各大陸予選 6組
予選会の準決勝進出 4組
混合ダブルス世界ランキング 5組
開催国 1組
※予選会は2024年3月または4月開催
※2024年第19週(2024年5月7日)の混合ダブルス世界ランキング
■シングルスの出場数(男女それぞれ) 合計最大70人
団体戦出場チーム 32人
各大陸(予選会または世界ランキング) 22人
世界ランキング 最大15人
ユニバーサリティ枠 1人
※2024年第25週(2024年6月18日)の世界ランキングで、団体戦出場資格を有する各NOCの上位2名の選手が、シングルスの予選通過者、および団体戦メンバーとなる
※NOC=ナショナルオリンピック委員会(各国のオリンピック委員会)
※ユニバーサリティ枠=三者委員会(国際オリンピック委員会、各国オリンピック委員会連合、国際卓球連盟からなる組織)によって決定される枠