ミックスダブルスでは、どうしても男子選手に決めようという気持ちが働いてしまいます。パートナーの女子選手に強いボールが回ってこないようにという気持ちが働いて、無理して決めにいったボールがことごとく相手の回転に合わなくて、ミスが出てしまいました。
吉村・石川のペアも同様です。奇数ゲーム(第1、第3、第5ゲーム)は、韓国の男子選手が無理してミスし、吉村がうまくつないでポイントを取った、というゲームでした。一方、偶数ゲーム(第2、第4ゲーム)は自滅でした。石川に強いボールを回したくないという気持ちが働きすぎて、やや強引なプレーをして相手を助けてしまった部分があります。
また、第3ゲームでリードしたところから相手の逆転を止められなかったことも影響しました。あのゲームを取っていればフルゲームまで行ったのではないでしょうか。
吉村も石川も状態はよかったと思います。気合も入っていましたし、うまくかみ合っていました。しかし、強引に行った場面でミスが出た、その差だったと思います。
松平賢二・若宮のペアは4回戦まで進みましたが、惜しいことをしました。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の選手というのは、とにかくラリー志向です。これは何十年も変わっていません。北朝鮮と試合をするときのポイントは、台上でどう崩すか、そしてラリー戦になったときにどうアクセントをつけるかです。
しかし、今日の試合では、日本ペアのレシーブにストップが少なかったと思います。北朝鮮の選手というのは、台上になると「安全に入れていこう」という傾向になります。そこで、台上からいかに速攻を仕掛けるかがポイントになりますが、今日の日本ペアにはあまり速攻がなかったので、もったいない気がしました。相手は3球目を強打せずにつないでくる傾向があり、それで日本のレシーブはストップではなくフリック(払い)が多くなったのだと思いますが、結局はそれでは相手の得意なラリーになってしまいます。失点を遅らせるためのフリックにとどまってしまい、なかなか得点には結びつけられませんでした。そこがもったいなかったですね。
最初の2ゲームは、相手にミスが多かったことと、相手が台の近くにいるときに日本ペアの強打、特に松平賢二の強打が決まったことが、2ゲームを連取できた要因だと思います。なぜ、台上にこだわらなかったのか。台上にこだわっていれば、もっと崩せたのでないかと思います。
渋谷浩
平成11年度全日本チャンピオン
1997年世界選手権大会男子ダブルス銅メダリスト
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国際卓球連盟 公式HP:http://www.ittf.com