元全日本王者の渋谷浩が大会5日目の女子シングルスと男子ダブルス決勝、男子シングルス6回戦について振り返った。
■女子シングルス決勝・準決勝
第1ゲームの前半、森が思い切った攻撃をしかけて、特にツッツキのボールを石川が持ち上げたとき、そのボールに対してフォアハンドのカウンターがことごとく決まっていました。その後、石川はがらっと作戦を変更したのだとおもいますが、後半は台から出たボールは一発でしとめるくらいのプレーを石川がしました。そのためラリー回数は少なく、とにかく低い弾道で、可能であればスピードボールで返球しました。無理なボールはバックに深くループドライブを打っていました。フォア側に打つときにはスピードボールで積極的に打球しました。
とにかくサービスから3球目、レシーブから4球目で隙があれば強いボールを打っていました。その作戦に対して森が最後まで対応することができませんでした。
福原は準決勝で敗れてしまいましたが、福原のボールの飛距離に対して森が合っていましたね。打球タイミング、打球スピード、落下点どれをとっても福原の距離感に合っていました。森は終始すばらしいプレーをしましたね。福原は森がツッツいたボールを持ち上げた後のボールを狙われて強打されました。
福原は飛距離の調整ができていませんでした。短くするボール、長くするボールのメリハリがあれば少しは違う試合展開になっていたかもしれません。
若宮は早いタイミングでワイドに打つプレーが強みでしたが、石川はその速いボールにしっかり対応していました。そして決めるときはしっかりと決めていたのが試合の勝敗を分けました。
■男子ダブルス決勝・準決勝
森薗・三部は、短いボールに対しても、勇気を持って踏み込んでいました。少しでも浮いたボールや、台から出たボールはすかさず打っていたので、その積極性が優勝に大きくつながりました。
試合の中でいくつかの分岐点はあったと思いますが、勝敗の大きな分かれ目となったのはゲームカウント1対1の7-3から森薗・三部ペアが得点をしたことです。6-3から長いラリーで森薗・三部が得点して7-3になったのですが、そのポイント自体は試合に大きな影響を与えた訳ではありません。その長いラリーのあとのボールをあっさり森園ペアがとったので、それで流れが森園ペアにいきました。
好ラリーのあとはお互い心が乱れるものですが、そこでまた開き直って1点取れるかとれないかで流れがかわるので、そこがポイントでした。このポイントを岸川・水谷が取っていればまた流れはかわっていたと思います。そこが勝負のの分かれ目でしたね。
岸谷・水川は受けて立たないという気持ちで臨んでいたと思いますが、なんとかしようとしている間に勢いに押されてしまったという感じでしたね。
準決勝は、勢いに乗っていた森薗・三部が松平・丹羽という格上の胸を借りるつもりでプレーし、負けてもいいという気持ちでできたのが勝因ではないでしょうか。
水谷・岸川対田添・上村は技術力で水谷ペアが上回っていました。田添ペアも打ち合いではひけをとっていませんでしたが、岸川・水谷が上手くテクニックでが試合を優位に進めました。
■男子シングルス6回戦
吉田は難敵丹羽に対して、粘り強い打ち合いに持ち込んでよく頑張りました。
松平は高木和には分が悪いというのはありますが、高木和は距離を取って両ハンドで粘り強くミスをしないという卓球に徹したことが勝ちにつながりました。
上田は勢いに乗る酒井に対して要所要所でしっかりポイントを押さえていました。前陣でプレーする酒井に対してタイミングをはぐらかすプレーが効果的でした。チキータもよく決まっていましたね。
前陣でプレーする丹羽や松平健太が姿を消してしまい、ベスト8には打ち合いに強い選手ばかりが残ったので、準々決勝は見応えのあるラリー戦になるのではないでしょうか。ダイナミックなプレーが期待できると思います。
記録・タイムテーブル等の情報は日本卓球協会ホームページに掲載されています。
日本卓球協会:http:/www.jtta.or.jp
記録ページ:http://www.jtta.or.jp/AJ/result2013/
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全日本選手権大会の特集は卓球レポート3月号(2月20日発売号)に掲載します。
[国内大会]
元王者が全日本を語る「渋谷浩の眼」⑥強打で攻めたのが石川の勝因
2014.01.18
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