女子シングルス準決勝は、石川が1対3とリードされたところから前田に逆転勝利を収め、女王の強さを観客に証明した。一方の森薗はカット主戦型の石垣をシャットアウト。初の決勝進出を決めた。
<女子シングルス準決勝>
石川(全農)11-9,8-11,7-11,11-13,11-3,11-6,11-9 前田(希望が丘高)
サウスポー同士の対決となった準決勝は、バック対バックで有利な石川がリードする展開でスタートしたが、積極的にフォア側を攻めた前田が中盤で6-6に追いつく。しかし、フォア側のボールにもカウンターで反撃した石川が9-6とリード。前田はラリーで連続攻撃を見せ得点を重ね9-9に追いつくが、石川がサービスから3球目攻撃で10-9、5球目攻撃で11-9とし先制。
第2ゲーム、前田は石川がつないだボールをすかさずフォアハンドで強打するなど先に仕掛けて優勢に。石川は台から下げられて11-8で前田がこのゲームを取り返す。
第3ゲームも前田がサービスからアグレッシブに攻めるが、石川は落ち着いてコース取りを意識したプレーで対応。バック側のボールには異質ラバーで上から叩く前田のボールに石川は押され気味。石川は得点パターンも見いだせず、このゲームも前田。
第4ゲーム、気持ちを切り替えた石川が4-0とスタートダッシュ。しかし、石川がつないだボールは迷うことなく強打する前田の攻撃が決まり、石川の9-7リードから9-9に。ここで石川がタイムアウト。前田がサービスからバックハンドで5球目を決めてゲームポイント、しかしこれをしのいだ石川だが、前田のバックハンドからの攻撃を崩せず13-11で前田が3ゲーム連取で王手。
第5ゲームは、勝ちを意識したか、前田のプレーが精彩を欠き、石川がバック対バックからストレートを狙って得点するなど、息を吹き返して11-3。依然前田が3対2リード。
第6ゲーム、前陣でプレーする石川に対して、前田が押されオーバーミスが増える。石川が流れを取り戻し11-6。
最終ゲームは、両者台について激しい打ち合いに。バック対バックからチャンスをつくった前田のエッジボールが入り5-4で折り返す。息の詰まる激しいラリー戦では互角の展開で7-7に。8-8から前田がバックハンドでクロスにエースを決めて9-8。前田はミドルのボールをオーバーミスして9-9。バック対バックから前田がオーバーミスで石川がマッチポイント。最後は前田のバックハンドがネットにかかり、女王石川が並外れたメンタルの強さを見せて逆転勝利を収めた。
■前田美優のコメント
「石川さんにあれだけできたことは自分でもびっくりしています。石川さんのバックハンドは回転がかかっているので、バック対バックで押されないように自分もどんどん上から打っていきました。5ゲーム目からは石川さんの回転量が増えて、ストレートに持って行けなくなってしまいましたが、最終ゲームは少し取り方を変えてコースを突いていくようにしました。
この1年間にたくさんの方にご指導いただき、支えていただいた結果が出せたので感謝しています。
4月からは日本生命に入社しますが、団体戦が多くなるのでチームに貢献できるように、また、ワールドツアーでも成績を残して世界ランキングを上げていきたいです」
<女子シングルス準決勝>
森薗(日立化成) 11-7,11-5,11-8,11-4 石垣(日本生命)
4回戦で池上(東京富士大)、6回戦で牛嶋(正智深谷高)とカット主戦型の選手をともにストレートで下しているカット攻略には定評の森薗。かたや、佐藤(札幌大谷高)との息詰まるカット対決を制し準決勝にベスト4入りを果たした石垣。
第1ゲームは森薗の威力のあるフォアハンドドライブが厳しいコースに決まりいきなり5-0と大きくリード。石垣は中陣からフォアハンドドライブで反撃し得点につなげるも森薗が逃げ切って11-7と先制。
第2ゲームも森薗は精度の高いカット打ちからのスマッシュで得点を重ねてリードを広げる。石垣は攻撃を得点につなげるが、なかなかチャンスをつくれない。このゲームも森薗が11-5とし、2ゲーム連取。
第3ゲーム、カットでは流れが悪い石垣はリスクを負って前陣で攻撃に出る。これが功を奏して競り合いに。しかし、攻撃の安定感で勝る森薗が7-7から引き離して11-8とし、決勝進出に王手。
第4ゲーム、相変わらず森薗は精度の高いカット打ちからの攻撃でリード。石垣の攻撃にも対応し、リードを広げる。2-5となったところで石垣がタイムアウト。しかし、森薗は攻撃の手を緩めることなく得点を重ね10-4に。最後は石垣のカーブロングが大きくオーバーして11-4で森薗が初の決勝進出を決めた。
■石垣優香のコメント
「もう少しいい試合がしたかったんですが、カット打ちのうまい選手で最後まで自分のペースをつかめなかったので、今後はカット打ちの上手な選手に対してどう対応するかというのを考えていきたいです。相手の選手は私のバックにボールを集めてきていて、その戦術も予想できていましたが、技術力、戦術力が足りませんでした。攻撃はよくなってきているので、カットとのバランスを考えていきたいです。表彰台にのぼれたことはよかったですが、優勝して自分の力で世界選手権大会への切符を手に入れたかったので残念です」
詳しい情報は日本卓球協会ホームページに掲載されています。
日本卓球協会:http:/www.jtta.or.jp
全日本卓球(特設サイト):http://japantabletennis.com/zennihon2015/
記録ページ:http://www.jtta.or.jp/AJ/result2014/
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