平成27年12月5~6日、日本卓球リーグプレーオフ「JTTLファイナル4」が大阪市中央体育館で開催された。日本卓球リーグ(前期/後期)の男女総合成績上位の4チームずつが内閣総理大臣杯をかけて争った。
【男子】 東京アートが9連覇を達成
試合方式は、まず第1試合で年間総合1位と2位が対戦。勝者は決勝進出、敗者は準決勝に進む。続いて第2試合で年間総合3位と4位が対戦。勝者が準決勝に進出し、敗者は4位となる。準決勝は勝者が決勝に進み、敗者は3位に。そして決勝で第1試合の勝者と準決勝の勝者が内閣総理大臣杯を争う。
初日は第1試合、第2試合、準決勝の3試合が行われた。勝てば決勝が決まる第1試合は総合1位の協和発酵キリンと2位のシチズンが対戦し、協和発酵キリンがシチズンを3対0で完封勝ちを収めた。続く第2試合は総合3位の東京アートが日鉄住金物流を3対1で下して勝ち上がった。
準決勝はシチズンvs東京アートとなり、1番はシチズンのルーキー神巧也が動きの良さを見せて先取点を挙げた。しかし、昨年まで8連覇中の東京アートが本領を発揮。張と高木和が意地を見せ、単複3試合をシャットアウト。東京アートがシチズンを3対1で下して、決勝に駒を進めた。
男子決勝は第1回大会から9回続けて協和発酵キリンvs東京アートの争いとなった。
注目の1番、協和発酵キリンは新加入の平野を送り出した。一方の東京アートは手堅く、ベテランの張が登場。試合は前陣で戦う張に対して平野が距離を取って応戦して1対1に。ここから平野が低い姿勢で連続ドライブを放って張を詰まらせる。一気にスパートをかけて、見事に先取点を挙げた。
続く2番、協和発酵キリンは社会人優勝の上田、東京アートは大矢。試合は上田が台上からの両ハンドで攻めると、大矢が前陣カウンターで打ち返すという激しい展開となり、ゲームオールにもつれる。特別ルールで6対6から始まる最終ゲーム、大矢が一気に攻め込んで、東京アートが星を五分に戻した。
ヤマ場のダブルスは、社会人のダブルス決勝を争った2ペアが対戦。今回も激しい打撃戦となるが、最後に集中力を見せた松平・上田が張・高木和を下して、協和発酵キリンがファイナル4の初制覇に王手をかけた。
ここで決めたい協和発酵キリンは、後期リーグ最高殊勲選手の笠原が登場。一方の東京アートは高木和で挽回を期す。立ち上がりはバック対バックのラリー戦となり、打点が早い笠原が先制。しかし、第2ゲームに入ると高木和がバックのラリーから距離を取った両ハンドドライブを放って流れをつかむ。そのまま3ゲームを連取して逆転し、襷をラストに繋いだ。
協和発酵キリンの初優勝か、東京アートの9連覇か、両チームの意地がぶつかる最終試合。協和発酵キリンは松平で勝負。東京アートはベテランの塩野に託した。追い付かれたプレッシャーか、松平のプレーが硬く、持ち前の手数が影を潜める。ここまで修羅場をくぐってきた塩野は要所で反撃を交えて主導権を握り、立て続けに2ゲームを競り勝つ。追い込まれた松平、第3ゲームは猛然と攻めて7対2とリードを奪うが、雑な打ちミスが続いて隙を見せる。ここから塩野が揺さぶりをかけてジュースに追い付くと、サービスエースでマッチポイントを握る。最後は松平のドライブがネットにかかった瞬間、塩野はコートに倒れ込み、東京アートのベンチは歓喜に包まれた。
結局、東京アートが3対2で協和発酵キリンを下し、JTTLファイナル4が始まって以来の連勝を9に伸ばした。
【女子】 日立化成が2年連続4回目の優勝
女子も男子と同じ試合方式で行われ、第1試合は年間総合1位の日本生命と2位のサンリツが対戦。トップで社会人優勝の天野が日本生命の石垣に競り勝ってサンリツが先制。しかし、日本生命が文佳、前田らの活躍で逆転して決勝行きを決めた。第2試合は年間総合3位の日立化成と4位の中国電力がラストまでもつれる接戦を演じたが、日立化成の松澤がシャットアウト勝ちで決めた。
準決勝はサンリツvs日立化成となり、1番で社会人2位のルーキー森薗が松澤を下す金星でサンリツが先行。しかし、2番でサンリツのエース天野が日立化成の助っ人・馬克に打ち抜かれて流れを失うと、日立化成は市川が単複で2点取って決勝の切符を手にした。
決勝はリーグ戦で前後期を制した日本生命と、4年連続で決勝に勝ち上がった前回王者の日立化成が争った。
1番は両チームともエースを投入し、文佳と森薗が対戦。立ち上がりから文佳が強さを発揮して森薗を寄せ付けない。森薗も懸命に攻め込むが、文佳が得意の両ハンドで左右に揺さぶって完封し、幸先良く先取点を挙げた。
エースが敗れて苦境に立たされた日立化成だが、馬克がチームを救った。持ち前のパワフルな両ハンドドライブで日本生命・田代をブロックに追いやる。田代もカウンターで揺さぶりをかけるが、馬克が要所でフォアに打ち抜いてシャットアウト。日立化成が嫌な流れを断ち切った。
流れを決めそうなダブルス。特別ルールで3ゲームスマッチのため、第1ゲームの勝敗が大きく物を言う。日立化成の中村・市川が無理をせず両クロスに揺さぶって、ジュースで先行すると、第2ゲームはうまくフォア側を突いて快勝。日立化成が2連覇に王手をかけた。
本拠地の大阪でまさかの展開に追い込まれた日本生命は若宮が登場。日立化成は準決勝で決勝点を挙げた市川に託す。立ち上がりから若宮の動きが硬く、思うようなプレーができない。一方の市川は小刻みな動きで連続攻撃を仕掛け、一気に2ゲームを奪って日本生命を追い詰めた。第3ゲームに入っても市川の勢いは衰えず、若宮は猛攻を防ぎきれなかった。
結局、日立化成が3対1で日本生命を下し、2年連続4回目のファイナル4優勝を決めた。
なお、大会の記録は日本卓球リーグのホームページに掲載されています。
日本卓球リーグ:http://www.jttl.gr.jp
今大会の模様は卓球レポート2016年2月号(1/20発売)に掲載されます。