平成28年度全日本選手権大会(団体の部)が、10月14~16日、愛媛県宇和島市総合体育館で開催され、「チーム日本一」の称号を賭けて熱戦が繰り広げられた。
【男子団体】東京アートが2年ぶり13回目のV
男子団体は東京アートが制し、2年ぶり13回目の優勝を果たしたが、その道のりは険しかった。
東京アートは第1ステージ(予選リーグ)で明治大に敗れ、同組の明治大対愛工大名電高の結果次第では予選敗退の危機もあった。しかし、明治大が愛工大名電高に勝ったため、からくも2位で通過すると、第2ステージ(決勝トーナメント)準々決勝で専修大、準決勝でシチズンに競り勝ち、決勝進出。
決勝で対するは、勢いに乗る次世代スター軍団のジュニアナショナルチーム。トップに抜擢された塩野が決死のプレーで張本をゲームオール9本で下して先制点をもたらすと、2番は張が宇田の勢いに飲み込まれたが、3番で高木和が戸上を緩急織り交ぜた巧みな戦術で下して王手。4番で張が張本の速さを鉄壁のブロックではね返し、2年ぶりの王座奪還に成功した。
■東京アート・大森監督インタビュー
「久しぶりのタイトルでうれしいですが、予選落ちの可能性もあっただけに完全優勝ではないかなと思います。予選で負けたときはベンチのムードが盛り上がりにかけていたのでそれを修正し、決勝トーナメントに上がれるかどうか分からない状況でしたが、準備だけはしっかりしようと選手たちに伝えました。全ての試合が勝負でした。全員で勝ち取った勝利だと思います」
2位には、怪物・張本に宇田、戸上という次世代スター候補の中学生をそろえたジュニアナショナルチームが入った。張本が5勝5敗、宇田が3勝2敗、戸上も3勝2敗と大きく勝ち越す選手はいなかったが、互いの負けをカバーし合うチーム力で頂点に迫った。今大会で得た貴重な経験を糧に、さらなる飛躍を期待したい。
3位には準々決勝で野田学園高を3対2の接戦で下したシチズンと、同じく準々決勝で昨年覇者の協和発酵キリンを下した日鉄住金物流が入った。
【女子団体】中国電力が2度目の優勝
実力伯仲のチームがそろう女子団体を制したのは、中国電力。「勝負どころだった」と試合後、松岡監督が振り返ったように、準々決勝で難敵の日本生命を下して流れに乗った。
決勝の日立化成戦では、2点を先取されてあとがなくなったが、3番で宋が馬に競り勝つと、4番でキャプテンの土井が気持ちのこもったプレーで森薗を下して2対2のイーブンに。ラストは土田美佳が見事な速攻で平を寄せ付けず、大逆転で優勝を決めた。
■中国電力・松岡監督インタビュー
「日本生命との準々決勝が勝負どころでした。日本生命にはこの20数年で何回対戦しているか分かりませんが、2回しか勝ってない。ここを勝てたのが大きかった。決勝の日立化成戦では、3番に出てくるであろう馬選手に対して誰を当てようか迷いましたが、分がいい宋を起用しました。今大会、土田の調子が非常によかったのでラストまで回せば、彼女が何とかしてくれると思っていましたから宋の勝利は本当に大きかった。4番の土井も主将らしい責任感のあるプレーでラストにつないでくれました」
2位の日立化成は昨年に続く連覇を目指したが、一歩及ばず。準決勝のサンリツ戦は2対2にもつれたが、ラストで平真由香が姉の平侑里香との姉妹対決を制して決勝進出。決勝の中国電力に対しても2対0とリードし、優勝ペースかと思われたが、そこから手痛い逆転負けを喫してしまった。
3位には準々決勝で四天王寺高に競り勝った十六銀行と、同じく準々決勝でインカレ王者の早稲田を下したサンリツが入った。
なお、大会の記録は日本卓球協会のホームページに掲載されています。
日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
今大会の模様は卓球レポート12月号(11/20発売)に掲載されます。