3月17~18日に箕面市スカイアリーナ(大阪)で第38回ジャパンオープンパラ卓球選手権大会が開催された。同大会は立位の部、車いすの部の中でG1(上位)、G2(下位)と階級を2つに分けて個人戦8種目と団体戦3種目が行われ、出場者たちは頂点を争った。
【個人戦・車いすの部(女子)G1・G2】
車いす部(女子)G1は7連覇11回目の優勝を果たした。決勝までは危なげなく勝ち上がった別所キミヱ(大阪)だが、過去6度の優勝経験を持つ吉海美代子(東京)が2対0とリード。第3ゲームは中盤まで別所リードで進んだが、6対6に追いつかれたところで別所がタイムアウト。このタイムアウトで心の整理ができたという別所が集中力の高いプレーで3ゲームを連取し逆転、車いす女王の座を守った。
車いす(女子)G2は三田小百合(愛知)が優勝。堅実な両ハンドで多彩なプレーの小澤摩由美(長野)を3対2で破り初優勝を飾った。
■別所キミヱ選手のコメント
よう勝てたと思います。今回はヒヤヒヤでした。力が入って球がいきすぎちゃいました。(決勝の相手の)吉海さんも気合いはいってました。決勝までもみんなレベルアップしていたいろんなボールがくるようになってるし、いろんなクセもあるし......。でも、最後は自分を信じました。この限られた時間でやってきたことを悔いのないようにしたいし。絶対に勝たないと行けないという重い看板を背負っているので。
【個人戦・車いすの部(男子)G1・G2】
車いすの部(男子)G1では6年ぶりに新チャンピオンが誕生した。準決勝でタイトルホルダーの吉田信一(東京)を破った中本亨(大阪)は、準決勝で鉄人・岡紀彦(岡山)から大金星を上げた宇津木孝章(長野)と決勝で対戦。中本は宇津木の変化にミスを誘われ0対2とリードを許したが、ここから攻撃的なフォアハンドで得点を重ねて逆転勝利。見事、初優勝を果たした。
G2では北川雄一郎(愛媛)が2連覇。ガッツあふれる攻撃的なプレーで渡邊剛(東京)を3対1で下し、2年連続の優勝をもぎ取った。
■中本亨選手のコメント
ここまで来れると思っていなかったので、正直、ビックリしている気持ちとうれしい気持ちでいっぱいです。準決勝の吉田選手との試合は、ミスをしないこと、自分から攻めることを意識してプレーしました。3ゲーム目で吉田選手のペースになってしまったので、気持ちを切り替えて最終的には勝つことができました。決勝は、0対2と苦しい流れでしたが、タイムアウトでベンチコーチに「思い切り自信を持って行け」と言葉をかけられて、悔いの残らないようにしようと思い切ってプレーすることができ、それが結果につながったという感じです。フォアのスマッシュ系の技術が自分の一番の武器になっていると思います。来年からは海外にも挑戦しようと思っているので、引き続き国内大会では、今度は追う立場から追われる立場になるので、気持ちを引き締めて練習して、連覇できるように頑張って行きたいと思います。
【個人戦・立位の部(男子)G1・G2】
立位(男子)G1は岩渕幸洋(東京)が3連覇を達成。鋭いフォアハンドにバックハンドもチキータやドライブなどの得点力がアップし、他を寄せ付けない内容で一気に頂点へとかけ上がった。2位の山田優(大阪)は攻撃的な両ハンドドライブで昨年2位の垣田斉明(熊本)を破るなど金星を挙げた。
G2は井上全悠(大分)が若き挑戦者・舟山真弘(埼玉)の挑戦を退けて初優勝。カウンターやブロックなど、相手に攻めさせてからの展開が光った。2位の舟山は中学生ながら、洗練された両ハンドドライブで今後の楽しみな選手だ。
■岩渕幸洋選手のコメント
3連覇できてよかったです。これをひとつずつ積み重ねていって、岡紀彦さんの25連覇を超えるような記録を目指していきたいと思います。決勝は最初のゲームのサービス、レシーブでミスが出て落としてしまいました。パラ卓球の場合、普段の練習とのギャップがあるので、そこをいち早く埋めるようにして隙を見せないような試合運びを今後していきたいと思います。
【個人戦・立位の部(女子)G1・G2】
立位の部(女子)G1は昨年2位の青木佑季(北海道)が、決勝で工藤恭子(熊本)のカットをメリハリを付けた攻守で攻略して3対1で勝利し初優勝を飾った。工藤は丁寧なカットとチャンスボールをフォアハンドでスマッシュする完成されたプレースタイルで決勝進出を果たしたが、4年ぶりのタイトルには届かなかった。
G2ではペンホルダー表ソフトの芝内篤子(広島)がミスの少ないプレーを武器に、決勝では同じように安定感のある藤本けい子(埼玉)との根比べのような熱戦を制し初優勝を飾った。
【団体戦】
団体戦車いす混成の部では、ディスタンス(柳亮助、長島秀明、吉田信一)が3連覇を達成。決勝はTTWと対戦し、エースの吉田が単複で2点取りし、個人戦の悔しい思いを晴らした。団体戦立位男子の部は、エース岩渕を中心に、武田が要所で素晴らしい働きを見せた関東会(佐藤泰巳、芝﨑琢也、武田宣久、金子和也、岩渕幸洋)が初優勝、団体戦立位女子の部は九州障がい者卓球連盟(工藤恭子、小田美賀子、横田千鶴)がベテラン勢らしい試合巧者ぶりを見せて優勝を飾った。
(取材=佐藤孝弘)