■男子学校対抗準決勝
愛工大名電 3-0 滝川第二
鶴岡東 3-1 遊学館
愛工大名電は盤石でした。全員が落ち着いてプレーしていたという印象を受けました。自分たちのプレーにすごい自信を持っている様子がうかがえました。選手の層も厚く、どこからでも点を取れる強さがあります。
滝川第二は敗れはしましたが、大健闘のベスト4と言えるでしょう。巨大な戦力に向かっていった結果、残念ながらストレートで負けましたが、これを糧に目標を高く持ってさらに頑張ってほしいですね。
鶴岡東は勢いがありますね。チームが一丸となってみんなが同じ方向に向かっているという印象です。鶴岡東はフィジカルの強さを全面に出してくるようなプレースタイルなので、当たり出すと相手は止めにくいという特徴があります。その良さが今大会はすごい出ていますね。
遊学館は前半で、少なくとも川村の1点は計算していたと思いますが、相手選手の小松が金星を挙げました。こういうところにも鶴岡東のチームの勢いを感じましたね。チームが一体となれるような躍動感のあるプレーを各選手がすることでこういう勢いが生まれるのだと思います。遊学館はダブルスをいい形で取って後半につなげましたが、力及びませんでした。ただ、ここ数年は上位が定着してきていて、今大会の3位も悔しいとは思いますが、胸を張っていい結果だと思います。
愛工大名電対鶴岡東の決勝はどちらが先にペースをつかむかというのがひとつの見どころだと思います。百戦錬磨の名電と勢いのある鶴岡東の勝負は面白くなりそうですね。鶴岡東が先に流れをつかんだら総合力でまさる名電も苦戦を強いられることになる可能性もなきにしもあらずです。現実的には、鶴岡東は接戦覚悟でチームの総力を挙げてかかっていかないとチャンスはつかめないでしょう。名電は鶴岡東の挑戦を受けて立つのではなく、自分たちもチャレンジャーだという精神で自分たちの持てる力を出せば結果はおのずとついてくるでしょう。両チームとも力を出し切ってくれれば見応えのあるいい試合になると思います。
■女子学校対抗準決勝
四天王寺 3-1 愛み大瑞穂
遊学館 3-2 明徳義塾
四天王寺は4番に塩見を持ってきました。4番に塩見を置ける四天王寺はそれを見ただけでも強いですね。四天王寺は確実に勝ちを取りに行こうという戦略だったと思います。愛み大瑞穂は1番で野村が勝っていい流れをつくりました。2番の宮崎対板花もお互いに反応がよく前陣高速ラリーが続いて見応えがありましたが、宮崎が取って1対1にしました。
ダブルスは四天王寺ペアが持ち前の「負けない卓球」を見せてくれました。勢いはなくても、どんな相手にどんな攻められ方をされても、技術的にも精神的にも対応できるという強さですね。団体戦ではやはりこういうプレーができるチームは強いです。
4番は意外にプレッシャーのかかるポジションですが、塩見は思いきってエースらしくプレーしました。四天王寺が王者の卓球で、愛み大瑞穂の挑戦を退けたといった内容だったと思います。
遊学館は相馬の加入が大きいですね。女子ダブルスでも出雲/相馬が優勝して、遊学館は昨日までの出雲/千葉ペアから出雲/相馬ペアに変えてきました。このペアの強さは相馬のフォアのツッツキがその原動力になっています。ナックル気味のボールで来ることが多いと思うのですが、次の出雲にカウンターされたり、予測しづらいボールで返されないように、このツッツキに対して相手が必要以上に力んでオーバーミスしてしまうというケースが多く見られました。そういう悪循環を誘う強さがこのペアにはありました。
出雲は以前よりもプレーが多彩になりました。フォアハンドもバックハンドも、コースや球種が増え相手はよりやりづらくなっていると思います。
決勝はやはりダブルスが鍵を握るでしょう。遊学館はダブルスはなんとしても取りたいところでしょう。遊学館は異質攻守型のサウスポーの出雲とフォア面にツブ高ラバーを使うカット主戦型の相馬という異色の選手二人を生かして戦いたいですね。出雲と相馬を誰に当てるのか、誰を出雲と相馬に当てるのかといったオーダーも見どころです。面白い試合になるんじゃないかと期待しています。
渋谷浩
平成11年度全日本チャンピオン
第52回インターハイ名古屋大会(1983年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス2位、男子ダブルス優勝
第53回インターハイ横手大会(1984年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝
第54回インターハイ鶴来・野々市大会(1985年)
学校対抗優勝(熊谷商業)、男子シングルス優勝、男子ダブルス優勝
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(写真/文=佐藤孝弘)