カウンターの精度を高めるための相手を台から離す巧みな下ごしらえに注目!
注目選手の際立ったプレーをワンポイント動画で取り上げる全日本特別企画、「今日のベストテクニック動画」。今日は水谷隼(木下グループ)のプレーを男子シングルス準々決勝の丹羽戦(スヴェンソン)からセレクトしよう。
この試合の水谷は台上を丁寧にさばき、丹羽に先に攻めさせてカウンターする「後の先」の戦術を随所に使ってプレーを優位に進めていた。動画は、そのことを象徴するラリーだ。
水谷は丹羽のストップレシーブに対し、3球目でバック側にツッツキした後、バックハンドドライブに対して、ラケットを上に動かすようにして伸ばすブロックで返球。次のバックサイドを切るような厳しいコースに来た丹羽の回り込みフォアハンドドライブに対し、右足をバック側に運びながら前に強くはじくようなブロックでカウンターし、鮮やかに得点している。横に激しく動いても体のバランスが崩れないよう、右ひざを深く曲げているところを参考にしよう。
丹羽との試合ではこのようなラリーが数多く見られたが、その要になっていたのが、「丹羽に台から離れたところから打たせる」という水谷の巧緻な下ごしらえだ。
このラリーではどうしてもカウンターブロックだけに目を奪われてしまいがちだが、そこに至るまでのプロセスをもう一度よく見てほしい。
水谷は3球目で押すような深いツッツキ、5球目で伸ばすブロックを送っているが、これらのボールに対して体勢が詰まらずに打ちたい丹羽は、自然と台から距離を取らされてしまっている。
このラリーのように、台上や伸びるブロックで丹羽を知らず知らずのうちに台から離して時間の余裕をつくったことが、水谷が丹羽戦でたびたび見せた鮮やかなカウンターに結び付いていることを見逃さないでほしい。
(文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘、動画=小松賢)
詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球:http://www.japantabletennis.com/zennihon2019/