張本の強さが際立った試合でした。どうしてもバックストレートに来るバックハンドドライブがあるから、吉村は回り込めない。吉村はかなり警戒していたと思いますが、それでもフォア側を抜かれていました。
吉村も男子シングルスは調子がよく、スイングスピードも速かったのですが、それでもこのような結果になるということは、それ以上に張本の出来がよかったということですね。
木造勇人(愛知工業大) 8、5、8、7 町飛鳥(シチズン時計)
町が木造の速いボールにタイミングを合わせられないまま、なんとなく終わってしまったという感じですね。木造はキレがありますね。台から下がらずに、町を左右に振り回せていました。
大島祐哉(木下グループ)2、8、5、4 田添響(専修大)
ことごとく打撃戦でした。ものすごくいいラリー戦になりましたが、やはり、フォアハンドドライブで踏み込む大島と、踏み込まない田添の差がボールに出ましたね。大島のボールは決まっても、田添のボールは大島に止められていました。
あとは距離感とタイミングが合っていましたね。田添のとんでもなく速いボールを大島はラケットに当てていました。大島は踏み込める分、浅いボールに対しても強打でしかけることができるので、その点でも有利でした。
観客の皆さんにとってもダイナミックな2人のラリー戦は面白かったと思います。
水谷隼(木下グループ)11、8、7、10 丹羽孝希(スヴェンソン)
スコア的には水谷の圧勝ですが、水谷が要所をうまく押さえた試合でした。かなり積極的にリスクを負って打っていって、丹羽を台から離す展開にできていました。水谷にとっては肉を切らせて骨を断つような戦術が成功していたと思います。
<明日の展望>
張本智和 対 大島祐哉
昨年も準々決勝で対戦していますね。4対1で張本が勝ちましたが、内容的には競っていました。大島の足を止めたい張本に対して、大島はコース取りに気を使いながら試合を進めていました。
大島のパワーで張本のブロックを打ち砕くか、それとも張本の速さが上回るかの勝負になると思います。大島はフォアサイドにあまりオープニングをつくりたくないはずなので、バックハンドを多用するなど、してくるかもしれません。
あるいは、わざとオープニングをつくってフォア側で待ち伏せるという戦術もありますが、張本のボールに対してそれが通用するかどうか。大島がどのような戦術で臨むのかが楽しみですね。
水谷隼 対 木造勇人
このカードも一昨年ありました。このときは木造が上から果敢に攻め込んで、いい勝負をしていたと思います。準決勝も木造の早さか、水谷のスケールの大きさかという勝負になるでしょう。
木造はとにかく焦らないことが大事ですね。水谷はそれほど早くから仕掛けてくることはありませんので、焦らずに試合を進めることが大事です。
水谷は木造の速攻に対して動揺しないことですね。ここまでの試合を見ていてもかなりすごいボールを打ってくると思うので、あわてずに水谷らしいプレーをしてほしいですね。
(まとめ=佐藤孝弘)
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