丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で開催されるている平成30年度全日本選手権大会。最終日は女子シングルス決勝から行われ、水谷隼(木下グループ)が大島祐哉(木下グループ)を下し、通算10度目の優勝を果たした。
●男子シングルス決勝
水谷隼(木下グループ)-11,6,7,6,-9,5 大島祐哉(木下グループ)
Tリーグ・木下マイスターのチームメイトであり、ダブルスのパートナーでもある水谷と大島の決勝は、動きのいい大島が先行する。持ち前の強力なフォアハンドドライブに加え、張本戦でも見せたように安定性が増したバックハンドで水谷を後手に回し、第1ゲームをジュースで奪う。
しかし、2ゲーム目から、水谷がストップを的確に決め、そこからのコースが読みにくい台上バックハンドドライブで大島のフルスイングを封じにかかる。フォア側をわざと空け、動いて自慢の強打を打ち込みたい大島の意図を見透かしてバック側に釘付けにするなどコース取りもさすがの水谷が3ゲームを連取し、王手をかける。
このチャンスを逃したくない大島も必死のフットワークで5ゲーム目を返すが、台上がさらに厳しくなった水谷が第6ゲームを締め、昨年明け渡した王座を取り戻した。
決勝後、倉嶋洋介男子ナショナルチーム監督が「水谷はもとから持っているオールラウンドなプレーと近年の高速プレーがうまく融合している」と評したように、今大会における水谷は台から離れたラリー戦の強さはそのままに、丹羽戦や木造戦で見せたようにチキータやドライブに対するカウンタープレーの精度が格段に増していた。そうした進化を継続して求め、実行できるところに、水谷のV10という偉業が積み重なってきたのだろう。
1回優勝するだけでも大変な全日本を10回も獲るすごさなど想像すらできない。しかし、今まで9回も見ているからなのか、表彰台の一番高いところで天皇杯を掲げるのはやっぱり隼がよく似合う。あらためてそう感じた大阪開催の全日本だった。
(文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘)
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