世界卓球2019ブダペストが、ハンガリーのハングエキスポで開催。
5日目は、男子シングルス4回戦が行われ、丹羽孝希が勝利し、ベスト8進出。一方、張本智和は破れ、ベスト16にとどまった。
●男子シングルス準決勝の結果
梁靖崑(中国) -5,4,8,9,-8,7 樊振東(中国)
丹羽孝希 10,5,-5,8,-8,10 プカル(クロアチア)
馬龍(中国) -8,8,1,3,8 カルデラーノ(ブラジル)
林高遠(中国) 8,9,9,6 鄭榮植(韓国)
安宰賢(韓国) 7,-3,8,7,-8,9 張本智和
張禹珍(韓国) 不戦勝 ボル(ドイツ)
ファルク(スウェーデン) -11,8,8,5,6 李尚洙(韓国)
ゴズィー(フランス) 0,5,4,8 ワン・ヤン(スロバキア)
丹羽孝希は、昨日オフチャロフ(ドイツ)を倒して勝ち上がってきたプカル(クロアチア)とベスト8入りを賭けて対戦。長身のプカルはハイトスサービスから低くて速いドライブを打ってくる選手だが、丹羽が要所でカウンターを決め、ゲームカウント4対2で勝利。前回デュッセルドルフ大会に続き、ベスト8へ進出した。
期待の張本智和は、韓国の新鋭・安宰賢に敗れた。小柄ながらパワフルなドライブを打つ安宰賢は、張本必殺のバックハンドを素早く動いてことごとく返球。ロングサービスをうまく出して張本のチキータを防いだことも功を奏し、ゲームカウント4対2で勝利。1回戦で黄鎮廷(香港)に完勝して波に乗った世界ランキング157位の安宰賢の勢いは、張本をもってしても止められなかった。
一方、張本は、昨日許昕がゴズィーに破れ、決勝まで中国選手と当たらないトーナメントになったことで気持ちに揺らぎが生じたのか、常にない凡ミスが目立ち、無念の敗戦となってしまった。
●張本智和のコメント
「実力が足りなくて、特に対策をされて負けたといううわけではなく、自分の凡ミスや相手のスーパープレーがあって、思い切って攻めることができなかったです。いつも負けるときはそんな感じなんですけど、今日は最後までそれを変えることができませんでした。。
練習の時からチキータにミスが出ていて、そこを修正できずに試合に入ってしまった。チキータで得点できたのは2、3点で、試合でもミスが出てしまった。その後のプレーも変えられずに全然だめでした。
(安宰賢)世界ジュニアでやりました。特に変えてきたわけではないですが、前よりもパワーもついて強くなってましたが、負ける試合ではなかった。今日は特別緊張してしまって、理由はよくわからないんですが、普段は1ゲーム目でおさまるのがずっと続きました。試合までにちゃんと調整できなかったことで緊張してしまいました。
(指の痛みについては)試合中はまったく問題なかったです。日常ではすこし痛むくらいです。
(負けた瞬間は)何も考えられなかったです。昨日が最初の山場で、勝ってから少し気持ちが緩んでしまった部分があるかもしれないです。自分の得点パターンがつくれなくて、単調な攻めになって相手にも攻撃を読まれてしまった。昨日(のフレイタス戦)は負けている選手なので向かっていけましたが、今日はあとすこしでメダルということで守りに入ってしまった。
(東京オリンピックまで)あと1年半もない中で、メダルを取って自信をつけたかったのですが、オリンピックにはきっと出てこない選手にこうして負けたことは残念です」
男子シングルス4回戦では、優勝候補の樊振東(中国)が梁靖崑(中国)に敗れる波乱があった。
格闘家のようにごつい体格の梁靖崑は、パワフルな両ハンドを武器にする樊振東と似たタイプだ。手の内を知る両者の試合は序盤から見応えのあるラリーの応酬になったが、最後までチャレンジャーとしてラケットを思い切り振り続けた梁靖崑が樊振東に打ち勝ち、大金星をあげた。
林高遠(中国)対鄭榮植(韓国)のイケメンスピードスター対決は、チキータと両ハンドの威力で勝る林高遠が鄭榮植の堅守を打ち抜き、ストレートで快勝。
馬龍(中国)対カルデラーノ(ブラジル)は第1ゲームをカルデラーノが豪打で先制するが、第2ゲームからの馬龍がすごかった。馬龍は、解けなかった数学の問題の方程式を完全に探し当てたかのように、カルデラーノのサービスレシーブや打球コースを読み切り、一方的な内容で4ゲーム連取。世界卓球三連覇に向けて、隙はなさそうだ。
ファルク(スウェーデン)対李尚洙(韓国)は、ファルクに軍配。前回3位の李尚洙は、ファルクの精度の高いバックハンドと時折混ぜられる表ソフトラバーでのフォアハンドのコントラストに最後までペースをつかめなかった。
昨日、優勝候補の許昕(中国)を破ったゴズィー(フランス)は、ワン・ヤン(スロバキア)とベスト8を賭けて対戦。ワン・ヤンのナックルカットと攻撃のタイミングを完璧に読み切り、ストレートで快勝した。
また、予定されていたボル(ドイツ)対張禹珍(韓国)のカードは、ボルが発熱のため棄権。これにより、張禹珍がベスト8へ駒を進めた。
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(写真=佐藤孝弘、文=猪瀬健治)