世界卓球2019ブダペストが、ハンガリーのハングエキスポで開催。
最終日の最終試合は女子ダブルス決勝が行われ、孫穎莎/王曼昱が日本ペアを4対1で下し、金メダルを獲得した。
●女子ダブルス決勝
孫穎莎/王曼昱(中国) -8,-3,8,3,10,8 早田ひな/伊藤美誠
孫穎莎/王曼昱、早田ひな/伊藤美誠の同世代ライバル対決の女子ダブルス決勝は、大会のフィナーレを飾るにふさわしい熱戦になった。
序盤は、日本ペアが、伊藤の表ソフトでの多彩な技で切り込んでから早田がパワーで仕留める連係で2ゲームを先行する。しかし、第3ゲームから伊藤の崩してくるプレーに慣れてきた中国ペアが持ち前の攻撃力を発揮し、2ゲームを取り返してタイに戻す。
取れば俄然有利になる5ゲーム目、日本ペアリードで進むが、終盤に中国ペアが追いつき、カウント9-9。ここで、早田のサービスに対して孫穎莎がチキータレシーブをオーバーミス。日本がゲームポイントを握ったかに思われたが、早田のサービスがネットにかかったと判定され、ポイントのやり直しになる。会場内の巨大スクリーンで映し出されたスロー再生では、早田のサービスはネットにかかっているようには見えず、場内が騒然となったが判定は覆らず。仕切り直しの9-9から中国ペアが2点連取して第5ゲームを奪うと、第6ゲームも序盤から中国ペアが優位に進めて勝利し、金メダルを獲得した。
疑惑の判定はあったが、男子のトップ選手たちのようにチキータからごつい両ハンドを連続で繰り出す孫穎莎/王曼昱は、十分に金メダルに値するプレーだった。
一方、早田/伊藤は不運な判定もあり、日本にとって52年ぶりの女子ダブルス金メダルをもたらすことは叶わなかった。しかし、中国ペアと互角のラリーを展開し、慌てさせた彼女たちならば、必ずやこの敗戦を次にを生かしてくれるはずだ。
●早田ひな/伊藤美誠のコメント
「今大会は第1シードで臨みました。前回よりも一段階良い成績でしたが、優勝を目指していたので90パーセントは悔しいという気持ちです。
(第5ゲーム、9-9の場面でサービスがネットの判定について)私がサービスを出して、ネットを越えて軌道も変わらず、ネットの白線にも触れず、ただレシーブミスをして、相手もミスをしたという表情になってから、いきなりレットとなって。選手たちもネットとは思っていなかったが、その審判(の判定)に乗ってきたと思う。その辺りに運がありませんでした。でも運も実力の内というし、私たちが簡単に勝てるくらい実力をつけて次はしっかり勝ちたい(早田)」
「2対0で勝っていたところから相手が戦術を変えてきて、それにうまく対応できなかったのが敗因。前回よりは上だったが、決勝まで中国選手と対戦せずに勝ち上がり、中国選手に勝てないと優勝できない。やはり大きな壁だと感じました。最後まで楽しくプレーできましたが、ひな(早田)も言っていたように、悔しいという気持ちが強い。
(第5ゲーム、9-9の場面でのサービスがネットの判定は)私も含めて全員がネットじゃないと思っていたはず。もちろんああいう場面があるのは仕方ないが、私は絶対に違うと思った。審判に何回も判定するよう求めたが、全然ビデオも見てくれず、審判にもっともっとアピールしてもよかったかもしれない。終わったことだから仕方ない。負けたので、それを言い訳にすることはできませんが、それでもあの1本はすごく大きく、10-9になる場面だったので、本当はその1本をとって、タイムアウトもせずにそのまま勝てた試合なのかなと思います。そこで負けたというのは、中国選手がラッキーな部分を勝ちに変えた。精神的に中国選手の方が強かったと言わざるを得ないですね(伊藤)」
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(写真=佐藤孝弘、文=猪瀬健治)