男子シングルス1回戦
馬龍(中国) 8,8,−8,6,6 安宰賢(韓国)
馬龍は中国選手特有の世界卓球などのビッグイベントでギアが一つ上がった段階からすると、少し落ちてはいました。ボールの威力や球際の強さは世界卓球ほどではありませんでしたが、安宰賢との間にはまだまだ実力差があるなと感じさせるさすがのプレー内容でした。
特に配球の駆け引きや、安宰賢がやろうとしていることの裏をかくようなプレーで、安宰賢を振り回して、台から下げてプレーしていました。安宰賢は世界卓球ではもっと前でプレーしていたので、今日は、自分のプレー領域でプレーさせてもらっていませんでしたね。馬龍の試合巧者ぶりが光った試合でした。
世界卓球の1位と3位ですが、まだまだ大きな実力差がありました。
水谷隼(日本) -10,-11,11,5,11,10 及川瑞基(日本)
及川は昨シーズン、ブンデスリーガでボル(ドイツ)に勝つなど、成績もよく、デュッセルドルフでオフチャロフやK.カールソンなど、ボルシアとドイツNTのメンバーと練習する機会もあって、実力も自信をつけている様子がうかがえました。試合運びやコース取りの巧さは安定してきていましたし、強くなってきているという印象は受けていました。
水谷君も1,2ゲーム目は落としましたが、やはり最後9-9、10-10以降の点の取り方、しぶとさは相変わらずでさすがだなという感じはしました。 この試合では水谷君が下がってロビングを上げる場面がよくありましたが、そこで及川が点を取れていなかったので、そこで水谷君に下がっても大丈夫という気持ちの余裕を与えてしまったかなという気がしました。1本入っていればという場面もありましたが、水谷君の粘り勝ちでしたね。ゲームポイントでのロビング打ちなどは、水谷君が相手の場合など、簡単に点が取れないことは分かっていると思いますが、それでもミスするとかなり精神的なダメージが大きいので、引きずらないでプレーすることも大事ですね。そこを取り切れれば及川にもかなりチャンスがあったと思います。
及川は、ヨーロッパ選手の威力のあるボールを止めることで、ブロックの精度やコース取りはかなり安定してきていますが、水谷君はパワーに加えて、距離も変えられるので、そのプレーの幅に負けたとも言えるでしょう。
カルデラーノ(ブラジル) 2,-8,10,-8,7,-8,6 神巧也(日本)
もう少し一方的な展開になるかなと思いましたが、神がカルデラーノのボールによく対応していました。前後に揺さぶって、距離を合わせないなどうまい戦い方をしていたと思います。ヨーロッパ系の選手はアジア系の選手の打球点の早さに振り回されることが多く、慣れるまでに時間がかかります。神は、極力パワー勝負は避けて前でプレーしていたので、互角の展開に持ち込むことができました。パワー対パワーの勝負では、カルデラーノが優位でしたが、タイミングをずらしたり狂わすことで神が点を取っていたので、そこはうまいなと思いながら見ていました。
ただ、時間はかかりましたが、この試合でも終盤で慣れられてしまいましたね。最後はカルデラーノは一発で持って行くべきところでしっかりと決めて、ミドルもうまく突いて、浮かせたボールを仕留めに行くなど懐の深さを見せました。カルデラーノはこの試合が初戦で、予選を勝ち上がってきている神にもチャンスはあっただけに惜しかったですね。
なお、詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
ITTF(国際卓球連盟):https://www.ittf.com/tournament/5005/2019/2019-ittf-world-tour-japan-open/
Seamaster 2019 ITTFワールドツアープラチナ ライオン卓球ジャパンオープン荻村杯 札幌大会:http://www.japantabletennis.com/japanopen2019/
(取材=佐藤孝弘)