男子シングルス準々決勝
林昀儒(中華台北) 11,9,7,10 カルデラーノ(ブラジル)
カルデラーノは林昀儒のチキータレシーブをかなり警戒してたようで、チキータレシーブから入らせないように、バック側にロングサービスを多用していたのが印象的でした。昨日までの試合を見ていても、林昀儒のチキータは非常に鋭くなってきていて、そこで先手を取られるときついと考えたのでしょう。
ただ、林昀儒は線は細いものの、カルデラーノと打ち合っても負けていませんでした。基本的には前陣で台についてカルデラーノを台から下げて、自分の位置でプレーしていました。林昀儒はブロック、カウンターにも自信があるので、球威のあるカルデラーノにも万全の体勢で打たせなければ止められます。
そこで、1本つなぎのボールを打たせれば自分の形にできるので、そうした戦術面でも、蒋澎龍と話していたのだと思いますが、かなり思惑通りの試合展開になっていたと思います。
具体的には、カルデラーノはバックハンドの一発、回り込みフォアハンドの一発が怖いので、林昀儒はブロックをミドルを突いて、フルスイングさせないコース取りをしていました。100の力で打たれなければ大丈夫という判断があったのだと思いますが、普通だとバックに行ってしまうところを、ミドル、ミドルフォアに集めていたので、いい戦術だったと思います。
林昀儒は10代の頃の水谷隼君に似ているところがありますね。前陣でも中陣でも距離を変えてプレーできる。ロビングやフィッシュはありませんが、ブロックやカウンターがうまい。このプレーの幅は将来性という点でも大きな意味があります。 あとは、チキータの精度が非常に高い。カウンターの威力と精度も上がってきています。国際大会の経験も十分に積んできて、格上の選手にも勝てるようになってきて、かなり自信をつけてきていると思います。同世代では、世界的に見ても、右の張本、左の林昀儒という状況になりつつあるかなと感じています。
カルデラーノのようにパワーのある選手はどうしても大振りになってしまうというところがあります。対カットや比較的台から下がってプレーする欧米系の選手と対戦する場合は、時間がありますが、台に着いてカウンターをしてくるような対アジア系になった場合、大きくスイングするための時間を稼ごうとすると下がるしかない。下がると、前後にも左右にも大きく動かなければいけなくなります。結果的に、自分の得意な距離でプレーできないという悪循環になりがちです。
もうひとつは、カルデラーノも台上プレーのレベルは高いですが、ストップの後、チキータの後、フリックの後など、台上の次のボールの打球点が下がりがちです。そうするとどうしても鋭い攻撃ができません。こうした速さの意識を高めれば、カルデラーノは元々運動神経抜群の選手ですから、ますます怖い存在になってくると思います。
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なお、詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
ITTF(国際卓球連盟):https://www.ittf.com/tournament/5005/2019/2019-ittf-world-tour-japan-open/
Seamaster 2019 ITTFワールドツアープラチナ ライオン卓球ジャパンオープン荻村杯 札幌大会:http://www.japantabletennis.com/japanopen2019/
(取材=佐藤孝弘)