【男子は愛工大が完勝V】
○髙見 6,-9,2,9 梅崎
○田中 4,11,8 村田
○木造/田中 4,4,8 梅崎/原田
木造 − 熊本
松山 − 原田
愛工大は予選から準決勝までの5試合をすべてストレート勝ちで勝ち上がってきた。髙見は鋭いチキータからのキレのある両ハンドドライブでどこからでも点を取れるプレーで、粘り強く戦う梅崎を退けた。
2番は田中が前陣でカウンターの得意な村田を攻め抜いてストレート勝ち。
3番は木造/田中が2人がかりの速攻で梅崎/原田を台から下げて圧倒した。
愛工大は、松山、木造、髙見、田中の主力メンバー全員がインターハイベスト4入りというタレント揃い。総合力で勝る愛工大が地元愛知の応援を背に、圧勝という形で4年ぶりの優勝を決めた。
■森本耕平監督のコメント
地元開催ということで、いろいろな方が応援に来ている中で、もちろん優勝したいという気持ちは一番強かったですけど、勝負事なのでうまくいくかどうかはわかりませんでした。メンバーは優勝する力があったと思いますが、チーム一丸にならないと優勝できないと思っていたので、特に、出場しない選手、神、中ノ瀬、小林、田中(侑人)、彼らが本当に裏方に徹してくれたおかげで、最高の仕上がりで今大会を迎えられました。それが一番の勝因ですね。
また、神が唯一の4年生でキャプテンだったので、彼は優しい性格であまり後輩に厳しく言うタイプではありませんが、どうしても優勝して彼を男にしたくて、僕に結構きついことを言われながらも、めげずにこの優勝をやってのけてくれた神に『おめでとう』と『ありがとう』という思いがあります。
(準決勝の専修大戦は)及川君が前半に出てくると予測していたので、前半で田中と髙見を及川君に勝つつもりで並べて、真っ向勝負のオーダーを組んで臨みました。このオーダーは1カ月くらい前、日本リーグの時くらいから想定して考えていましたが、これほどうまくいくとは思いませんでした。
ダブルスのペアリングも迷いましたが、選手たちと話をして木造/田中に決めたので、迷っていてもしかたないので、決まったら後は必死に自分たちの形にしていこうということで決めました。攻めは速いですね。連続攻撃や打球点の早さ、木造はチャンスメークが上手で、田中の速攻、特に打球点の早いバックハンド、その2つが噛み合うのがあのペアの武器だと思っています。
(一番成長した選手は)みんながそうだと思いますが、試合に出た4人はもちろん、僕はやはり裏方に徹してくれて、僕に数え切れないくらいああしろこうしろと意識を高く持つように指示されてきた6人がチーム内で一番がんばってくれたかなと思います。
もちろんプレッシャーはありましたが、僕が選手の時には、考えてもあまりいい方にでなかったので、この舞台を楽しもうと思っていました。選手には伝えませんでしたが、僕自身はこの緊張感を楽しもうと思っていましたし、それで選手の時にたまたまうまく優勝できましたし、そういう気持ちで大会に臨みました」
2位には坪井が卒業し、突出したエースが不在ながらも、梅崎、原田、村田、熊本を軸に全員で決勝進出を勝ち取った。
3位には昨年優勝の専修大学が入った。準決勝はエースの及川がトップで髙見に逆転負けを喫したのが響いて、勢いに乗った愛工大がダブルスも押し切り、悔しいストレート負けとなった。
3位のもう1チームは関西学院大。2回戦では重村がラストで硴塚を破る殊勲を挙げ、早稲田大を破りベスト8入りを決めた。早稲田大はエースの五十嵐がユニバーシアードに参加のため、不在だったことは大きな戦力ダウンとなっていたことは付け加えておきたい。
もうひとつ特筆すべきは、フルメンバーで臨んだ優勝候補の明治大が2回戦で、日本体育大に敗れる波乱だ。永田が出雲を破ると、内村秀平・内村英司のダブルスが龍崎/沼村をくだして王手。さらに、内村秀平が遠藤を破り、日本体育大が金星を挙げた。
【女子は愛工大が22年ぶりの優勝】
○上田 11,-8,-5,7,9 岡崎
○石田 7,-8,8,-8,4 趙
○松本/上田 8,9,-9,9 岡崎/青木
松本 − 青木
船本 − 奥山
東洋大はエースの岡崎が単複で2点を挙げなければ厳しい展開と思われたが、愛工大はトップで上田が岡崎を破る貴重な先制点を挙げて東洋大の出鼻をくじき、大きく愛工大に流れを引き寄せた。
2番の石田もこれに続き、得意のサービスからの異質攻守型らしい変化で、自分から攻めたい趙を崩して攻略。愛工大が王手をかけた。
3番は松本/上田が、松本のチャンスメークと上田のフォアハンドスマッシュの決定打が光り、コンビネーションのよい岡崎/青木を退け、愛工大がストレート勝ちで優勝を決めた。男子に続き、地元愛知の愛工大が優勝を決めたことで、観客席からは大きな歓声と拍手が選手たちに送られた。
■鬼頭明監督のコメント
みんなががんばってくれて、もちろん選手もですが、卓球部員8名が全員ベンチに入って、試合に出れなかった者も練習相手をしたり、本当にチーム一丸となって戦えたのがよかったと思います。
勝つチャンスはどこのチームに対してもあると思っていました。このインカレで自分たちの目標を達成するために日本一の取り組みをしてきたつもりでいたので、どこのチームにもいい勝負ができるという自信はありました。
決勝の相手は東洋大さんでしたが、相手もまさか愛工大が決勝に上がってくるとは、とたぶん同じことを思っていたと思います(笑)。試合前に選手には、ここまで来て優勝を意識しないというのも難しいと思うから、自分たちのやるべきことにしっかり集中しようという話をしてスタートしたので、それができたんじゃないかと思います。
上田はサービス力が上がったので、そこは大きかったかと思います。ダブルスも最後サービスエースで終わっていますし、今回サービスの得点率はすごい高かったと思うので、サービス練習の成果が出たと思います。
日本一の取り組みをしてきたと思っているので、自分としてはどんな結果も受け入れる準備はできていました。まさか優勝するとまではイメージできていませんでしたが(笑)。選手がよく着いてきてくれました。
この大会が選手を成長させてくれました。競争なくして強化はあり得ないと思っていますが、勝てないチームがあるからこそ、工夫や努力が生まれたので、この大会とライバルには感謝しています」
2位の東洋大はインターハイ3位の岡崎が入ったことがチームの大幅な強化につながった。全身を使ったパワフルなドライブに、緩急の使い分け、ワイドなコース取りなど1年生ながら光るプレーを見せた。岡崎とダブルスを組んだ同じく1年生の青木もサウスポーらしい型にはまらないプレーでエースを後押しをした。まだまだ伸びしろがあるだけに、今後が楽しみなチームだ。
3位には優勝候補の中央大と青山学院大が入った。中央大は準々決勝で淑徳大との激闘を制したが、準決勝ではダブルスを落としたのが響いて、4番で山本が船本に競り負けて決勝には届かなかった。
青山学院大も優勝を狙える戦力はそろえ、日本体育大、日本大をストレートでくだし、ベスト4入りを果たしたが、準決勝の東洋大戦ではトップで三條が岡崎に接戦の末敗れ、勢いに乗った東洋大にストレート負けを喫した。
日本学生卓球連盟:http://www.jsttf-takkyu.com/
東海学生卓球連盟:http://tsttf.net/
(取材=佐藤孝弘)