2019年11月6~10日まで、東京体育館(東京)でJA全農 ITTF卓球ワールドカップ団体戦2019TOKYOが開催。
大会最終日は男女決勝が行われ、男子は中国が3対1で韓国を破り優勝を決めた。
中国が8連覇
韓国は中国を苦しめるも一歩及ばず
●男子決勝
中国 3-1 韓国
許昕/梁靖崑 8,4,-10,-7,-10 李尚洙/鄭榮植◯
◯樊振東 8,8,9 張禹珍
◯梁靖崑 9,-8,-10,13,8 鄭榮植
◯樊振東 8,4,8 李尚洙
許昕 - 張禹珍
決勝は中国の失点という意外な幕開けとなった。
攻撃力で優る中国ペアが2対0とし、後がなくなった韓国ペアはフォア前のストップからの展開に弱い梁靖崑に的を絞り、中国ペアの得意な大きいラリーにせずに、台上の精度で勝負。競り合いをものにして2ゲーム連取すると、最終ゲームもストップレシーブを軸にした読み合いで優位に立ち、手を狭められた中国ペアに競り勝った。ダブルスに滅法強い許昕だが、ミスを重ねる梁靖崑のフォローに余力を失ったが、自身のプレーにも勝負どころでミスが出た。
このチャンスを生かしたい韓国だが、盤石の樊振東を崩すことは難しい。大舞台でも臆さず思い切りよく攻める張禹珍だが、樊振東の手堅い攻守と度重なるエッジイン、ネットインなどのアンラッキーなポイントに集中力を欠いたようなシーンが見受けられた。一方の樊振東は、自分のペースを乱すことなく、前中陣での鉄壁のバックハンドを軸に圧倒的安定感を誇るプレーを貫いた。
韓国はダブルスを落として弱気になった梁靖崑からもう1点を奪いたい。弧線を描く梁靖崑のバックハンドドライブに対して、鄭榮植のバックハンドは高い頂点から相手コートに突き刺さるような直線的なボール。対照的な両者のラリーは鄭榮植のリードで進む。第4ゲームには10-9とマッチポイントを手にした鄭榮植だが、梁靖崑の粘りのプレーでこのゲームを落とすと、最終ゲームは確実な両ハンドで鄭榮植のミスを誘った梁靖崑が奪取し、1対1からの大きな1点を中国のものにした。
中国のクローザーとして再度登場したのは樊振東。李尚洙との対戦と言えば、世界卓球2017デュッセルドルフの準決勝が思い出されるが、ここでは樊振東が圧勝している。それから世界のトップで経験を積み、得意のバックハンドドライブに磨きをかけてきた李尚洙だが、樊振東の懐の深いバックハンドを崩すことはできず、ストレート負け。
馬龍をベンチに置いたままの中国には不安材料はあったものの、8連覇を達成。鄭榮植が勝っていれば違った展開になっていたかもしれないが、マッチポイントを奪いながらも敗れた実力差が今の現実なのだろう。予選で台湾、準決勝で日本、決勝で韓国と対抗しうるチームをことごとくくだしての優勝は文句なしだ。世界卓球2020釜山、そして東京オリンピックで中国を倒すチームは現れるのか。残された時間はそう長くはない。
ITTF(国際卓球連盟):http://ittf.com/
大会特設サイト:http://www.japantabletennis.com/2019twc/
(取材=佐藤孝弘)