いよいよ令和最初の全日本、2020年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月13日より丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で開催される。
卓球レポートでは大会に先駆けて、元全日本王者の渋谷浩が、各種目の組み合わせを参考に見どころを解説する。まずは、男子シングルスの見どころだ。
水谷隼不在の男子シングルス
次代の覇権争いが始まる
上位を狙う選手たちは、V10の絶対王者である水谷隼(木下グループ)が出場しないことで「チャンス到来」と考えているのではないでしょうか。
優勝経験のある張本智和(木下グループ)、丹羽孝希(スヴェンソン)、吉村真晴(名古屋ダイハツ)、昨年決勝で水谷に敗れ悔しい思いをした第1シードの大島祐哉(木下グループ)らが最有力候補として挙げられると思いますが、それ以外でも「隙あらば」と優勝、上位進出を狙っている選手は少なくないでしょう。
以前に比べると若手の層は薄くなってきていますが、ジュニアを卒業した戸上隼輔(野田学園高)、宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)に注目しています。シニアの選手を相手にどこまで通用するかが楽しみですね。
ここからはブロックごとの組み合わせを見てみましょう。
【第1ブロック】
激戦区ですね。スーパーシードを見てみると、ベスト4に入りそうな選手が大勢います。第1シードの大島祐哉も少なくともTリーグの試合を見ている限り好調とは言えなそうですし、初戦で対戦する可能性がある御内健太郎(シチズン時計)との試合はヤマ場となるでしょう。平野友樹(協和キリン)と吉村和弘(東京アート)は順当に勝ち上がれば、5回戦のハイライトになりそうです。田添健汰(木下グループ)と吉田海偉(東京アート)は当たれば、去年の全日本の再戦となります。前回は田添が4対2で勝っていますが、やってみなければわかりません。宇田幸矢にも大いにチャンスはあります。誰が勝ち上がってもおかしくない混戦ブロックだけに、見応えのある試合が多くなりそうです。
【第2ブロック】
このブロックはスーパーシードの選手が順当に勝ち上がりそうな気がします。中でも神巧也(T.T彩たま)は決勝進出経験もあり、昨年の中盤からがプレーのレベルと調子を上げてきているので、楽しみにしています。2回戦から出場する岸川聖也(ファースト)は順当に勝ち上がれば、4回戦で有延大夢(リコー)と対戦します。有延にしてみれば、引き出しの多い岸川は初戦の相手としては嫌な相手でしょうね。
【第3ブロック】
このブロックは張本智和が優勢ですね。スーパーシードでは苦手な選手はいないと思いますが、初戦で昨年苦戦を強いられた緒方遼太郎(早稲田大)と当たる可能性があるので、そこは本人も意識しているところでしょう。一般論として、1~3回戦を勝ち上がってきて試合をこなしている選手の方が、スーパーシードの選手よりもコンディション的には有利であることが多いので、スーパーシードの選手は準備が重要になってきます。張本はここを越えると、精神的に随分楽になると思います。昨年は緒方戦での体力、メンタルの消耗が終盤まで尾を引いた印象があるので、できるだけ消耗せずに勝ちたいところでしょう。
対戦が予想される選手は、もれなく張本対策を講じてくると思いますが、張本は世界レベルで対策を練られた中で戦ってきているので、それをはね返すだけのものを持っていると思います。
【第4ブロック】
東京オリンピックで男子シングルス出場枠を勝ち取った丹羽と世界卓球2020釜山の代表選考会で優勝した森薗政崇(BOBSON)が優勢だと思います。丹羽は初戦で松平健太(T.T彩たま)と当たる可能性があります。卓球ファンにはうれしいカードですね。丹羽は実力的にはもちろん優勝候補に挙げられますが、好不調の波が大きいので、序盤で強い相手と当たるのは怖いと思います。
そのほか、これまで水谷に敗れることが多かった及川瑞基(専修大)も着実に実力をつけてきているので楽しみです。ジュニア王者の戸上隼輔も勝てない相手はいないと思うので、上位進出のチャンスは大いにあるでしょう。
(まとめ=佐藤孝弘)
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