2020年(令和元年度)全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)、大会3日目、岸川聖也(ファースト)が男子シングルス2回戦で敗れ、自身の最後となる全日本の全日程を終えた。岸川は言わずと知れた、現在に連なる卓球日本男子を長らく支えてきた偉大な貢献者の1人だ。その岸川の最後の全日本試合後のコメントをお届けしよう。
■岸川聖也のコメント
「(西選手は)あまり知らない選手でしたが、明治大でレギュラーで、結構やる選手だという話は聞いていました。内容的には1ゲーム目を取られて2、3ゲーム目を取って、3対1で勝たなければいけませんでした。
これで最後というのは全然意識していなくて、1回戦も相手が強くてギリギリ勝てた試合でした。次の試合まであまり時間がなくて、いろいろ考える時間もありませんでしたが、勝てる試合だったので悔しい試合でした。
(全日本を振り返って)スッキリしています。うれしいです。悔いはありません。世界代表を引退したときとか、五輪に2回出て3回目に出られなかったりとか、いろいろな経験をしてきているので、全日本が最後というのはそこまで僕にとって大きいことではありません。
(岸川さんにとっての全日本とは)緊張感があってすごくいい大会だと思います。小学6年生で初めてヨーロッパ遠征に行って、そこから世界の選手を相手に戦ってきたという自信があるので、日本人同士で戦うのはあまり好きではなかったので、スッキリしています。
(今後は)コーチになることは決まっているので、頑張ります。東京五輪もありますし、NTのコーチになったので、選手が少しでもいいパフォーマンスができるようにやっていくことと、T.T彩たまのコーチもやっているので優勝目指して頑張ります。
(どういった経験を若い選手に指導していくか)正々堂々と打ち合って勝つスタイルではなかったので、僕の得意な細かい技術や戦術の部分を伝えていきたい。
(全日本を今回で最後にすると決めた理由は)世界代表も引退して、この大会に対するモチベーションも年々下がってきていたからです」
長年、日本の屋台骨を支えて続けてきた岸川から語られた言葉は、センチメンタルさは一切なく、潔ささえ感じさせるものだった。それは、やりきったというこれまでの達成感ももちろんあるだろうが、加えて、中学2年生から世界に飛び出し、日本の底上げに力を尽くしてきた岸川からすれば、日本人にとっての聖地全日本が少しだけ小さく映っていたからなのかもしれない。
ともあれ、岸川本人が言うように、全日本に出場するのが最後というだけで、彼が卓球から離れるわけではない。
世界の卓球を知り尽くした岸川が、日本卓球界の中枢を担うコーチとして活躍する姿を楽しみに待ちたい。
聖也、全日本お疲れさまでした。
(文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘)
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