2020年(令和元年度)全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月13~19日まで丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で開催される。
大会4日目はジュニア男子の準々決勝から決勝が行われ、中学3年生の吉山僚一(愛工大名電中)が、決勝で小学6年生の松島輝空(木下グループ)を下し、初優勝を果たした。
●ジュニア男子決勝
吉山僚一(愛工大名電中) -8,11,5,7 松島輝空(木下グループ)
●ジュニア男子準決勝
吉山僚一(愛工大名電中) 9,-8,9,7 手塚崚馬(明徳義塾)
松島輝空(木下グループ) 9,9,-9,7 横谷晟(愛工大名電高)
●ジュニア男子準々決勝
手塚崚馬(明徳義塾) 5,7,-12,5 谷垣佑真(愛工大名電高)
吉山僚一(愛工大名電中) 9,8,9 山本歩(出雲北陵)
松島輝空(木下グループ) -5,7,-7,7,3 曽根翔(愛工大名電高)
横谷晟(愛工大名電高) -9,10,9,10 鈴木颯(愛工大名電中)
ジュニア男子決勝は、5回戦で優勝候補の篠塚を破った吉山僚一(愛工大名電中)と、曽根、横谷ら強敵を倒して勝ち上がってきた驚異の小学6年生・松島輝空(木下グループ)のカードになった。
第1ゲームは、松島が準々決勝、準決勝を勝った勢いそのままに、回転量の多いサービスから打球点の早い両ハンドで吉山を翻弄し、先行。しかし、序盤は松島の打球点の早さに戸惑っていた吉山だったが、徐々に台からの距離を合わせてラリーに持ち込む回数を増やし、機を見た一撃強打でペースを取り戻す。そうして、第2ゲームのジュースを物にすると、「うまくて対応できなかった」と試合後、松島が脱帽したバックハンドを軸に主導権を握り、第3、第4ゲームを連取して頂点をつかんだ。
2年前の張本智和以来、中学生としてジュニア男子を制した吉山のよさは、技の完成度だ。チキータとバックハンドのクオリティが抜群に高く、フォアハンドのコースの打ち分けもうまい。加えて、中学生とは思えない冷静さで試合を進め、ゲームメイクにも長けている。
昨夏の全中(全国中学校卓球大会)に続き、ビックタイトルを獲得した吉山は、群雄割拠のジュニア世代において、頭一つ抜け出したといえるだろう。
■吉山僚一の優勝コメント
「ずっと優勝することだけを考えていたので、優勝できてめちゃくちゃうれしいです。苦しい試合が多かったですが、きちんと冷静に戦術を立てられたことが勝利につながったと思います。
(決勝は松島に)負けたら嫌だなという気持ちもあったんですけど、決勝まできたので思い切ってやろうと思いました。
1ゲーム目は自分が緊張してチャンスボールとかミスしてしまいましたが、相手も思ったよりも攻めてきたのでびっくりしました。打たれてもカウンターなどで自分のボールにして返すことを心掛けました。3ゲーム目を取って、これはいけるんじゃないかと思いました。
インターハイが7月頃にあるので、そこで優勝したいと思います」
吉山の中学3年生での優勝もさることながら、それ以上にセンセーショナルだったのが、松島の活躍だ。フィジカルがいまだ発展途上の松島が決勝まで勝ち上がることができた結果は、彼の技や戦術が秀でていたことを物語っている。高いサービス力と打球点が異様に早くて多彩な両ハンドは、すでにジュニアの中でもトップレベルだ。
張本が小学6年生のとき、「とんでもない才能が出てきたな」と思ったものだが、今大会の松島を見て、それと似た感想を抱いたのは私だけではないだろう。
小学6年生でジュニア男子準優勝という今大会の松島の成績は、これから多くの栄光を築いていくであろう彼のキーマッチとして振り返られるに違いない。
■松島輝空のコメント
「正直ここまで上がれるとは思いませんでした。優勝という目標は自分でも難しいと思っていたんですけど、曽根選手に勝てたことで嬉しかったので、その流れで優勝できるんじゃないかなと思ったんですけど、吉山選手はバックハンドがうまくて自分はそれに対応できなかった。悔しかったです。
曽根選手のときは、今まで(の対戦では)打たれたボールに自分はブロックばかりで展開悪かったんですけど、今回は自分からカウンターしていったりして。横谷選手にもこれまで0対3で負けていてチャンスなかったのですが、勝った瞬間に自分がちょっと進歩したかなと思いました。
吉山選手は格上なんで向かっていって1ゲーム取ったんですけど、最後は自分の展開がうまくいかなった。勝つことしか意識していなかったので、体力よりも勝つことを考えていた。
次、全日本のジュニアに出たら絶対に優勝しようと思います。
(来年優勝すれば張本の記録を抜くが)歴史は更新したいんですけど、それを考えすぎてしまうとプレッシャーで自分が思い切っていけなかったりするので、僕はそういうことは気にせずに1試合1試合がんばっていくことを意識します」
3位の手塚は、フォアハンドスマッシュの連打で第1シードの谷垣を破り、表彰台。吉山には要所で思い切ったフォア攻めをされ、振り切られてしまった。
もう一方の3位、横谷は足を使って松島を攻めたが、レシーブで苦しんだことに加え、動いてオープニングができたところを松島に突かれ、後手に回ってしまった。
(文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘)
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