12月12(土)〜13(日)、2020日本卓球リーグプレーオフJTTLファイナル4が、広島県福山市のエフピコアリーナふくやま(福山市総合体育館)で開催。
ファイナル4とは、前期と後期の日本リーグの総合順位上位4チームが年間日本一を賭けて争う大会。今年は新型コロナウイルスの影響で前期日本リーグが中止になったため、後期日本リーグ熊本大会の順位を踏まえて行われ、優勝チームには内閣総理大臣杯が贈られる。
2日目の最終日は男子決勝が行われ、日鉄物流ブレイザーズが東京アートを3対0のストレートで下し、初優勝を果たした。
<男子決勝>
日鉄物流ブレイザーズ 3-0 東京アート
○田添 -10,6,-6,7,7 高木和
○定松 9,6,-7,7 吉田
○松下 -6,12,9,5 吉村
藤村 - 村松
藤村 - 吉田
接戦が予想された後期日本リーグ4位の日鉄物流ブレイザーズ対後期2位の東京アートの決勝は、まさかのストレート決着で日鉄物流ブレイザーズが初優勝を遂げた。
日鉄物流ブレイザーズはトップにゴールド選手の田添健汰(木下グループ)を起用し、先制点を狙う。一方、昨日の準決勝を不戦勝で勝ち上がり、この決勝が初戦となった東京アートは、試合の入り方が難しい中、ファイナル4を知り尽くしたベテラン・高木和卓にトップバッターを託した。
ラリーに強い両者の試合は打撃戦を続けながらフルゲームまでもつれるが、最後はボールの威力でわずかに勝った田添が高木和を振り切り、日鉄物流ブレイザーズが先制する。
幸先の良いスタートを切った日鉄物流ブレイザーズは、2番の定松祐輔で王手を狙う。一方、東京アートの2番は39歳にして、この決勝でエース使いの鉄人・吉田海偉。
吉田の豊富な経験で巻き返しを図りたい東京アートだったが、定松が圧巻のパフォーマンスを見せた。吉田を相手にラリー戦に持ち込むと分が悪いと踏んだ定松は、前陣から動かず、ラリーの速い段階から積極的に強打していく短期決戦を採用。この戦術が見事にはまり、吉田得意のしのぎや得点時のパフォーマンスが出る前に定松が勝負を決め、日鉄物流ブレイザーズが早くも王手をかける。
こうなるとイケイケの日鉄物流ブレイザーズは、3番で松下海輝が吉村和弘を圧倒する。
吉村特有の気配なき鋭い両ハンドに動じない松下は、ブロックからの盛り返しやカウンターを決めてペースを握る。一方の吉村は、松下の勢いに気圧されたのか、常になく凡ミスが多いプレーでなかなか波に乗れない。結局、松下が勢いに乗って攻め、吉村が受ける構図は最後まで変わらず、松下が3対1で勝利。日鉄物流ブレイザーズが悲願のファイナル4初優勝を驚きのストレート勝ちで決めると、杉井監督が選手たちによる勝利の胴上げで宙を舞った。
「(決勝は)今まで数々の栄光の歴史をつくってきた東京アートさんなので、相手は王者だから向かっていく気持ちで当たって撃破していこうと選手たちには話しました。相手が誰であっても動じずに戦えたのかなと思います。
創部以来初の優勝ですが、これだけで終わるのではなく、今後も継続してさらにステップアップできるチームにできればと思っています」と喜びの声を語る日鉄物流ブレイザーズの杉井孝至監督。
悲願のファイナル4初優勝を果たした日鉄物流ブレイザーズだが、前期・後期の日本リーグでの優勝経験はまだない。この優勝を糧に、日本リーグで新たな栄光の伝統を築いていくのか。今後の日鉄物流ブレイザーズの挑戦に注目したい。
詳しい記録はこちらから
日本卓球リーグ実業団連盟:https://www.jttl.gr.jp/taikairesult/2020/11/2019-jttl4.php
(取材=猪瀬健治)