いよいよ2021年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月11日より丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で開催される。
今大会は昨年来、感染拡大を続けている新型コロナウイルスの影響で、無観客、ダブルス種目なしという特例的な措置が講じられている。卓球レポートでは大会に先駆けて、元全日本王者の渋谷浩が、シングルス4種目の組み合わせを参考に見どころを解説する。
ここでは男子シングルスの見どころを渋谷に聞いた。
パリ五輪世代の3人
宇田幸矢、戸上隼輔、張本智和に注目
男子シングルスは、水谷隼(木下グループ)が昨年から不参加ということで、昨年同様、優勝のチャンスは多くの選手にありそうです。しかし、組み合わせの全体を見渡すと、やはり、パリ五輪世代の3人、昨年ベスト4に入った宇田幸矢(明治大)、戸上隼輔(明治大)、張本智和(木下グループ)を軸に展開されることになると思います。この3人の攻撃的なプレーはレベル的にも一歩リードしているので、ベテラン勢も十分に対策を練って臨んでほしいですね。
【第1ブロック】
全日本チャンピオン宇田幸矢を軸に展開
ファイナリスト経験者の町飛鳥と吉村和弘らにもチャンス
このブロックは、昨年度のチャンピオンで第1シードの宇田幸矢(明治大)をはじめ、けがから復帰しつつある森薗政崇(BOBSON)、ポーランドリーグ、Tリーグに出場していた町飛鳥(鹿児島県体育協会)、強化大会とはいえ学生選抜で優勝した松山祐季(愛知工業大)、中陣でもプレーできる郡山北斗(リコー)、決勝にも進出したことがある吉村和弘(東京アート)など、実力者がそろっています。
注目したいのは、一昨年のインターハイ男子シングルスで2位の篠塚大登(愛工大名電高)、全日本で存在感を見せる笠原弘光(シチズン時計)、Tリーグで活躍している英田理志(愛媛県競体)、2度ベスト4に入っている大矢英俊(ファースト)らでしょうか。
宇田が勝ち上がる可能性は濃厚ですが、調整がうまく取りこぼしの少ない町も有力候補です。吉村和弘も持ち前の爆発力を発揮できれば大いにチャンスはあるでしょう。
【第2ブロック】
好調の戸上隼輔が最有力
名電勢や丹羽孝希が戸上を阻止できるか?
丹羽孝希(スヴェンソン)、吉田海偉(東京アート)、上田仁(岡山リベッツ)、戸上隼輔(明治大)が勝ち上がってくると予想します。吉田は、昨年のJTTLファイナル4で定松祐輔(日鉄物流ブレイザーズ)に敗れましたが、全日本の吉田はそう簡単には負けません。上田は2年ぶりの出場で1回戦からですが、もちろん実力的にはスーパーシード級です。戸上はTリーグで調子がよく、試合勘も鈍っていません。
このブロック全体を見ると、丹羽にも分のいい戸上が勝ち上がる可能性が高そうです。本人も狙っていると思いますが、優勝のチャンスも大いにあるでしょう。戸上と丹羽は昨年の準々決勝で対戦していますが、再戦することがあれば、丹羽には戸上のスピードボールをカウンターで狙うというリスキーなプレーが求められると思います。
戸上は、社会人など先に攻めさせてくれる選手には強いですが、田中佑汰(愛知工業大)や曽根翔(愛工大名電高)など、台上がうまく速いプレーをする選手はどちらかというと苦手にしている部分があるので、対戦することがあればそこをどう攻略していくかも見どころです。打ち合いに強い上村慶哉(シチズン時計)との対戦も激しい試合になりそうです。
【第3ブロック】
吉田雅己が一歩抜け出るも
男子シングルス一番の激戦区
昨年3位の吉田雅己(栃木県スポーツ協会)が最有力候補でしょうか。これまでは体調不良やけがに悩まされることが多かったのですが、そこが万全であれば必ず上位に行く力を持った選手です。ただし、今回は初戦で松平健太(ファースト)と当たる可能性が高い。松平はTリーグで宇田を破るなど調子がよく、気負いもなくプレー内容もいいでしょうから、激戦必至でしょう。
大島祐哉(木下グループ)と有延大夢(リコー)の打撃戦も実現すれば面白くなりそうですね。ただ、有延の山にいるジュニア王者の吉山僚一(愛工大名電高)も無視できない存在です。4年連続でランキング入りしている龍崎東寅(明治大)にも上位進出のチャンスはありますね。
本命は吉田だと思いますが、誰が勝ち上がってきてもおかしくない、実力伯仲でレベルが高いブロックですね。一番の激戦区になると思います。
【第4ブロック】
大本命は張本智和
カットの御内健太郎が台風の目になるか
まず、松島輝空(JOCエリートアカデミー)は注目を浴びるでしょう。4回戦まで勝ち上がれば、カット主戦型の村松雄斗(東京アート)と当たるので、そこが鬼門になるでしょう。また、吉村真晴(愛知ダイハツ)は格下や年下の選手には、余裕を持ったプレーができる面があるので、松島にとっては難敵と言えるでしょう。Tリーグで好調の及川瑞基(木下グループ)にもチャンスはあると思いますが、松平賢二(協和キリン)と初戦で当たる可能性が高いので、中盤の見どころのひとつになるでしょう。
カット主戦型の御内健太郎(シチズン時計)も勝ち上がりそうです。カットも攻撃もうまいベテランの御内に対して、高校生の横谷晟(愛工大名電高)や大学生の沼村斉弥(明治大)のカット攻略がどこまで通用するかが見ものですね。優勝候補の張本智和(木下グループ)は、もちろんこのブロックでは頭ひとつ抜けた実力を持っていますが、対カットとなると不安材料もなくはないと思います。
(まとめ=卓球レポート)
卓レポツイッターでは大会の速報をお届けしています。
詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球:http://www.japantabletennis.com/zennihon2019/