コロナ禍における全日本卓球の開催には大きな困難が伴った。ダブルス種目の中止、3密を避けるための方策や、選手や関係者の厳重な体調・体温のチェック、会場の換気・除菌など、あらゆる対策を行った上で、2021年全日本卓球は全日程を終了することができた。例年とは異なる全日本の開催に尽力した星野一朗日本卓球協会専務理事に話を聞いた。 ※写真は開会式
ー今大会を振り返って、総括をお願いします。
この全日本選手権は、各地の予選会が昨年の7月から始まるということで、7月の段階でどのように安全に全日本選手権大会を開催するかということを協議いたしました。
一早く考えたことは、7日の期間を変えることは出来ませんので、その中でどうやって三密の回避、換気時間の徹底、そして消毒をしていくかを審議しました。おかげさまで大阪卓球協会や、関西学生連盟の皆さまにも助けられまして、この大会をここまで運営できたと思っています。
最悪の事態のシナリオも想定しながら、「発熱者が出た場合はどうするのか」「大会で陽性者が出たらどうするのか」「保健所等の対応をどうするのか」などを事前にシミュレーションはしておりましたので、そういう意味でこの大会がここまで無事終えることができたのは、多くの人の力によるものだとも思っています。
そして、また主役になるのは選手たちが、それぞれの選手たちが本当に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれてよかったという風に思っています。
-緊急事態宣言が出されている中で大会を開催したことについてはどうお考えですか?
これは一部の人の力では出来ませんので無事にここまでこれたことについては、まずは一安心しております。
特にいくつかの競技によっては、イベントを中止にせざるをえなかったこともありますし、当初、我々は無観客で想定しながら関係者や役員の方たちにも非常に心配をされる声もありましたので、どのようにそうした不安を解消しながらやっていくかということで、今もっとも言われていることではありますけども、「マスクの絶対着用」や「手指消毒」と「手洗い」、「換気」が徹底できたことで良かったと思います。
-棄権する選手や感染者が出ながらも最後までやれたことは大事な経験になると思いますがいかがでしょうか?
当初から入場に関するルール決めをさせていただいて、発熱があった場合には会場に入れないのはもちろんのこと、発熱者が出たら速やかに報告ということで、これらのことが徹底できたのではないかと思います。
-これからもこの状況は続くと思いますが、国内大会やTリーグについてお話をお願いします。
健康状態のチェックが一番にあると思いまして、この大会については2週間前からの健康状態のチェックと検温、入場時の検温チェックと当日の体調チェックをこの大会では徹底できたと思っています。
Tリーグでもこの2週間前からの健康チェックは全スタッフや関係者にも義務付けてますが、いずれにしてもwithコロナの中で大会をやっていくためには、感染して発症する怖れがあるからには、それぞれの方がマスクを着用しながら、仮に、もし感染をしていても他の人には移さない、さらにいうとクラスターを絶対に起こさない、この気構えが改めて大事なんだろうと思っています。
-東京オリンピックがこの後に控えていますが、今大会の開催はどのように感じていますか?
東京オリンピックに向けて全日本を開催できたことについては、大きな意義があると思っています。我々卓球界においても、これまでたくさんの全国大会が中止を余儀なくされてきておりましたので、今回、ダブルスはなくさざるを得ませんでしたが、こうして無事に終えることができたのは大きな意義があると思います。
ー残念ながら明治大学から新型コロナ感染症の陽性者が一人出ましたが、そこで中止にしなかったことについて外部から何か声はありましたか?
匿名で協会の方にメールを頂戴しましたことはありましたけども、そのほかでは私どもにやめた方がいいという声はいただいておりません。
ー今回、大会期間中に新型コロナ感染症の陽性者は1人だけだったのでしょうか?
明治大学の学生1人のみです。明治大学は学生が全部で8名だったでしょうか、スタッフが3名で全部で11名のメンバーでしたが、同一行動者の中で保健所から色々とヒアリングした結果、濃厚接触者と当たるのが食卓を一緒に取っていた3名が濃厚接触者ということになりました。スタッフ3名は全てセーフで、他に続けて出場をした2名についても該当はしませんでした。
濃厚接触者が誰だったかについては、ここではお示しができませんが、少なくとも出場を継続した2名については問題ありませんでした。同一行動をしたスタッフについては会場入りを控えていただきました。翌日以降も十六銀行と同様に、会場入りをご遠慮いただきました。
(まとめ=卓球レポート)