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富山インターハイ 「先生を超えてやる」谷垣佑真 ~男子シングルスの選手・監督コメント~

 2021年8月12日~17日、富山市総合体育館(富山県)にて第90回全国高等学校卓球選手権大会(インターハイ)が開催。
 ここでは、男子シングルス優勝の谷垣佑真(愛工大名電)、愛工大名電の今枝一郎監督、男子シングルス2位の吉山僚一(愛工大名電)、3位の高橋航太郎(実践学園)の試合後のコメントを紹介する。


●男子シングルス優勝・谷垣佑真選手のコメント


今枝先生には「悔しかったら俺を超えてみろ」と言われていた
 名電のOBで木造さん(木造勇人/愛知工業大)が三冠王を取っていましたが、三冠王になるためには心技体がそろってないといけないと、その時感じさせられました。木造さんは絶対に負けない気持ち、あきらめない気持ちが前面に出ていたので、それは見習うべきだと感じました。自分も最後のインターハイで三冠王になりたいと思って練習を休むことなくやってきたので、それが三冠につながってよかったと思います。
 自分と(準決勝で対戦した)篠塚は全国大会であまり対戦したことがなくて、練習試合くらいしかありませんでしたが、それほど嫌ではありませんでした。ただ、相手はTリーグなどでも活躍しているので、自分がチャレンジャー精神を持って臨むことができたので、それがプレーにも結果にもつながってよかったと思います。
 技術的には、自分はストップが多くて下回転からの展開が多かったんですが、今大会はチキータから4球目までの攻めが鋭くできたと思います。
 粘るよりも攻めたいタイプなので、すぐ振ってしまいますが、それが入ったら得点になるし、相手にも影響を与えると思うし、入らなくても、自信を持って振れていると思えるし、そこは自分のいいところです。
 優勝した瞬間は、木造さんもこんな気持ちだったんだなあって。三冠王はあまりいないので、その中で自分が三冠王になれて本当によかったです。
 今枝先生には悔しかったら俺を超えてみろと言われていたので、超えてやるという気持ちで今大会に臨みました(笑)。
 目標はオリンピックで金メダルですが、目の前の1勝1勝を大切にしてこれからも卓球人生を送っていけたらと思います。

●愛工大名電・今枝一郎監督のコメント


谷垣が優勝して帰ってきて最初に言われました。『先生、超えました』って(笑)
 全日本ジュニアチャンピオンの濵田を勝たせてあげられなかったという反省があって、欲を言えば、チャンピオンの彼をベスト8に入れたかったですね。調整不足で申し訳なかったというのがあります。
 同士打ちは誰がどうなってもおかしくないと思っていたので、何よりもみんなが牙を剥(む)いて殴り合ってくれたのはよかったなと。遠慮気味に試合をしている子はいなかったのでよかったと思います。結果的に三冠王が生まれて、気持ちがいいですね。
 谷垣は本人が大会にかけて、調整もよくしてきたんじゃないかと思います。他の選手と違う軌道のボールを打ってますよね。発想が自由で、こっちにしか打てないということが少なくて、両ハンドともどこからでもどこへでも打つ。こういう風に打ちなさいとか、グリップをこうしなさいとか、そういう制御をしてないというか、本人にやりたいようにやらせているから、本人のイメージで打てていると思います。逆に言えば、イメージが崩れた時に脆いところもありますが、今回は本当に攻めきって、入ったら(相手が)取れない。継続的に体の強化もしてきたので、無理な打ち方をしても体がついてくるようになったのは大きいです。1年半くらい個人のトレーナーさんに見てもらって、その成果は出たと思います。
 結局谷垣の大会でしたね。学校対抗の決勝も三冠王がラストにいたということになります。
 悔しかったら俺を超えてみろっていうのは、いつも選手たちに言います。谷垣が優勝して帰ってきて最初に言われました。『先生、超えました』って(笑)。そういう明るい子なんですよ。
 彼だけ今まですべての大会でベスト8に入ってきているんです。篠塚でさえ、高校1年生の時の全日本ジュニアでベスト16で負けている。ただ、優勝がなかった。だから、自由な発想だけど、ちゃんと自分でコントロールしている。
 今後、日本代表に入っていければいいと思いますが、それだけの能力はあると思います。なかなか選ばれませんが、常に本人には、気持ちを落とさないように、あなたにはそれだけのものがある、人が打てないボールを打っている、人がない感覚を持っていると、大事に育ててきたつもりです。

●男子シングルス2位・吉山僚一選手のコメント


「1本の重み」をあらためて実感しました
 1ゲーム目を取って、2ゲーム目はリードされましたが終盤に追い付くことができてジュースになりましたが、そのゲームを奪われて流れを持って行かれてしまいました。
 3ゲーム目もリードされていてせっかく追い付いたのに8-8で3本連続で失点してしまって、4ゲーム目はなにもすることがなかっったというか。分かっているけれどミスしてしまう、というミスが多くて。「これミスしたら負けるな」と攻めてはいましたけど、心では守ってしまっていました。
(谷垣とは)相性は悪くもなくよくないです。やりにくいとかはありません。三冠を目指していたので、ダブルスもあと1点で取れれば優勝というところで取れなくて、シングルも1対0、ポイント10−9であの1本、あのゲームを取っていれば優勝できる可能性はあったので非常に悔しいです。
 1本の重みをあらためて実感しました。来年は三冠達成できるようにがんばります。

●男子シングルス3位・高橋航太郎選手のコメント




目標には届きませんでしたが、思い切ってプレーできたので悔いはないです
 昨日、2~5回戦で4、5回戦がフルゲームでメンタル的にきつかったんですが、そこをなんとか乗り越えたので、今日の1試合目もフルゲームで乗り切れたのかなと思います。
 準決勝は、前半はよかったんですが、後半の3、4ゲーム目が相手のやりたいようにやられてしまって、そこが反省点です。向かっていく気持ちと、自分の練習してきたものを発揮できればいいかなと思って、臨みました。台上の技術やサービスは特徴があるので、そこで相手を崩すことができたらチャンスがあるかと思っていましたが、3、4ゲーム目で慣れられてしまいました。
 目標はもちろん優勝でしたが、名電の壁、吉山はやはり強いですね。同じ学年ですが、勝たなければいけない存在です。
 昔から、フルゲームをするタイプで、結構競ってしまうので、自分のミスが多くて焦ってしまうんですが、4回戦の岩永選手との試合で、ジュースでサービスミスをしてしまって、そこで気持ちを落とさずにレシーブで1本取れてまた流れが来たので、そういうところで勝ったかなと思います。うまくいかないのは当たり前なので、相手が調子よくて、点数を取られても焦らないで落ち着いて、深呼吸をして、流れを少しずつ自分の方に持ってこようとしたらうまくいきました。
 来年は名電の同い年の鈴木選手と吉山選手、野田学園の飯村選手と徳田選手は絶対に当たることがあるので、そういう選手に勝てるように凡ミスをなくして、レシーブの技術を上げていければいいかなと思います。
 目標には届きませんでしたが、思い切ってプレーできたので悔いはないです。

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詳細な大会記録はこちら
卓球 (8月17日) | 北信越総体 2021https://kirokukensaku.net/0IH21/discipline_060_20210817.html

(取材=佐藤孝弘/猪瀬健治)



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