熱戦の記憶も冷めやらない世界卓球2021ヒューストンで活躍したバタフライ・アドバイザリースタッフに焦点を当てて話を聞く本シリーズ。
今回は、男子シングルス1回戦で宇田幸矢(日本)を破り、2回戦で梁靖崑(中国)とゲームオールの熱戦を演じたダン・チウ(ドイツ)に世界卓球を振り返ってもらった。
--男子シングルスと男子ダブルスの両方で、中国選手に惜敗しましたが、それぞれのプレー内容で自分のよかった点、反省点を教えてください。
世界卓球という最高の舞台で、世界のトップ選手と再び対戦できたことは、私にとって非常に良い経験となりました。
シングルス2回戦で梁靖崑(中国)と対戦したとき、彼は数週間前にスロバキアで開催された両大会で優勝したばかりなので、接戦になるように良いパフォーマンスをしなければならないと思っていました。
彼との対戦では、私は彼のラリーについていけたし、簡単なミスもしなかったので、彼はポイントを取りにくかったと思います。この試合では2人ともとてもミスが少なかったので、スタミナとパワーが必要で、ほとんどすべてのラリーがロングラリーでした。メンタル面では全般的に満足のいく内容でした。7ゲームを通して我慢強く一貫したプレーができ、フィジカルも技術も相手についていくことができました。
悔やまれるのは、3対3の6-6で迎えた終盤のチャンスをものにできなかったことです。あれだけの接戦になったのなら、あとは勝つだけです。ここから学んでいきたいと思います。
ダブルスでも、パートナーのデュダ(ドイツ)と林高遠/梁靖崑(中国)との対戦で、同じような経験をしました。私たちは少し消極的なスタートだったため、彼らは良いスタートを切りました。その後は、これまでで最高のダブルスだったと思いますし、もう少しで勝利できたと思います。しかし、残念ながら今回も十分ではなく、最終ゲームの9-8というスコアから勝つことができませんでした。続く3つのラリーのすべてで後手となり、負けてしまいました。
これも中国の強さで、ここぞというときにタフで最高のパフォーマンスを発揮することができます。私たちはこれを見習いたいと思っています。
--今大会で自分の成長を感じた点と見つかった課題を教えてください。
今回の大会では、精神的にも大きく成長できたと思います。ワールドツアーでの数年間の経験があったので、これまでの大会で得た経験を活かすことができて、とても嬉しかったです。
1回戦では元全日本チャンピオンの宇田幸矢選手に勝ちましたが、これはとてもタフなドローでしたし、その後も中国のトップスターと接戦を繰り広げる事ができました。
私のメンタルは非常に安定していて、今回のような高いレベルのパフォーマンスを発揮することができました。
その一方で、まだまだ課題もあると思います。さらに高いレベルでプレーするためには、もっと強い決断力を持たなければならないし、いくつかのポイントでより早い段階で点を取りに行かなくてはなりません。なぜなら、トッププレーヤーは甘い返球はほとんどないため、わずかに与えられたチャンスをすべてものにするためには、確実に得点できなければならないからです。
--初のアメリカ開催の世界卓球の感想は?
今回の大会はとても素晴らしかったです。とてもよく企画されていて、会場もとても大きかったです。また、会場の雰囲気や観客も、私たちが慣れ親しんでいる普通のファンとは違ったエネルギッシュな雰囲気があり、プレーしていてとても楽しかったです。
アメリカでも、卓球は将来有望なスポーツだと思います。なぜなら、観客はほとんど毎日会場に足を運び、どの選手でもよいラリーを称えてくれるからです。
(取材/まとめ=卓球レポート)