2022年(令和3年度)全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月24日から30日まで東京体育館で開催される。
大会5日目は男子シングルス5〜6回戦が行われ、ベスト8が決定した。
男子シングルスはベスト8の顔ぶれが決まったが、波乱が相次いだ。
最有力候補と見られていた張本智和(木下グループ)は、吉村真晴(愛知ダイハツ)に敗れた。波乱と呼ぶにはふさわしくない実力者だが、張本は吉村のアグレッシブな攻めに受け身に立たされ、突破口を見いだせなかった。
「吉村選手とは全日本で過去に2回対戦して勝っていたので苦手意識はなかった。自分の調整不足とは思っていませんが、結果を見ると吉村選手の方がいい準備をしてきたのだと思います」と脱帽の張本。
一方、勝った吉村は「張本選手には、もうどれくらいか分かりませんが1ゲームも取ったことないし勝ったこともないので、まさかこういう形で勝てるとは思いませんでした。とても楽しんで試合をして勝つことができてうれしいです。(棄権した弟の)和弘からもメッセージをいただいているし、明日以降もベストパフォーマンスを出せるよう頑張りたい。自分の中で最大の山場は今日越えられましたが、残っている選手はみんな強いので、一戦一戦頑張りたいです」とコメント。
2012年以来の優勝なるか。明日の吉村の戦いぶりに注目だ。
前回優勝で第1シードの及川瑞基(木下グループ)は5回戦でジュニア男子優勝の吉山僚一に敗れた。吉山の思い切った両ハンドに終始押されつつも執念で2ゲームを返したが、そこで力尽きた。「及川さんとは去年4回試合して全て負けていたので、挑戦者として自分のすべての力を出し切るしかないと思っていました。去年から相手に打たせないで自分から打ち続ける練習をしていたので、それが結果につながったと思います」と吉山。
吉山は、続く6回戦でも吉田海斗(専修大)に完勝しており、ジュニア男子に続く二冠を視野に捉えているだろう。
昨年2位の森薗政崇(BOBSON)は、昨夏のインターハイ三冠王・谷垣佑真(愛工大名電高)の両ハンドにつかまり、5回戦で敗退。
2020年優勝の宇田幸矢(明治大)も、吉田海斗(専修大)の鋭い両ハンドを跳ね返せず、昨年に続いてランク入りを逃した。
好調なのは戸上隼輔(明治大)。強烈な両ハンドを武器に5回戦で酒井明日翔(シチズン時計)、6回戦では谷垣佑真(愛工大名電高)をともにストレートで下しており、流れに乗っている。
「昨年、不運にも出場できなくて非常に悔しくて、その悔しさをバネに今まで頑張ってきました。全日本はやはり特別な大会で、優勝を目標に頑張ってきたので、そこでプレーができるありがたさを感じながら一試合ずつやっていきたいと思います。まず、明日の有観客でプレーできることに感謝して、1つレベルが上がった『戸上隼輔』を見てほしいです」と戸上は、明日からの勝ち上がりに自信をのぞかせた。
大島祐哉(木下グループ)との激戦を制した丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)は、明日の準々決勝で青森山田高時代の同級生・吉田雅己(木下グループ)と対戦する。注目の松島輝空(星槎中)を気迫満点のプレーで下した吉田も乗っており、熱い同級生対決が見られそうだ。
上田仁(T.T彩たま)、松平健太(ファースト)のかつての上位常連選手がベスト8に勝ち残ったことも男子シングルスのトピックスだろう。二人とも充実したプレーで勝ち上がっており、明日の戦いぶりが楽しみだ。
裏面打法をスムーズに操るペンドライブ型の松下大星(クローバー歯科カスピッズ)もベスト8に勝ち上がった。希少なプレースタイルで多くの選手がやり慣れていないだけに、さらに勝ち上がる可能性は十分ある。
明日の準々決勝の組み合わせと、男子シングルス5回戦、6回戦の記録は以下の通り。
▼男子シングルス準々決勝の組み合わせ
吉山僚一(愛工大名電高・愛知) 対 松平健太(ファースト・千葉)
吉村真晴(愛知ダイハツ・茨城) 対 松下大星(クローバー歯科カスピッズ・大阪)
吉田雅己(木下グループ・栃木) 対 丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス・東京)
上田仁(T.T彩たま・埼玉) 対 戸上隼輔(明治大・東京)
▼男子シングルス5回戦の記録
吉山僚一(愛工大名電高・愛知) 3,8,-13,9,-10,7 及川瑞基(木下グループ・鹿児島)
吉田海斗(専修大・福岡) 8,-3,10,9,16 宇田幸矢(明治大・東京)
松平健太(ファースト・千葉) 10,-8,7,4,10 小林広夢(日本大・東京)
鈴木颯(愛工大名電高・愛知) 8,-7,-10,10,10,6 田添響(岡山リベッツ・埼玉)
張本智和(木下グループ・神奈川) 3,7,9,-6,-5,13 高木和卓(東京アート・東京)
吉村真晴(愛知ダイハツ・茨城) 10,8,-9,-5,10,7 町飛鳥(ファースト・鹿児島)
神巧也(T.T彩たま・埼玉) 3,7,5,5 松山祐季(協和キリン・東京)
松下大星(クローバー歯科カスピッズ・大阪) 8,6,-3,-5,-6,8,9 沼村斉弥(明治大・東京)
吉田雅己(木下グループ・栃木) 8,10,-7,5,8 三木隼(野田学園高・山口)
松島輝空(星槎中・神奈川) 8,3,9,1 笠原弘光(シチズン時計・東京)
大島祐哉(木下グループ・神奈川) 7,9,5,10 大矢英俊(ファースト・千葉)
丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス・東京) 10,-8,6,4,9 松平賢二(協和キリン・東京)
英田理志(愛媛県競対・愛媛) -8,6,-4,8,4,9 硴塚将人(協和キリン・東京)
上田仁(T.T彩たま・埼玉) -8,5,5,-9,10,6 小西海偉(東京アート・東京)
戸上隼輔(明治大・東京) 7,4,11,4 酒井明日翔(シチズン時計・東京)
谷垣佑真(愛工大名電高・愛知) -9,11,10,-9,3,7 森薗政崇(BOBSON・東京)
▼男子シングルス6回戦の記録
吉山僚一(愛工大名電高・愛知) 7,4,4,5 吉田海斗(専修大・福岡)
松平健太(ファースト・千葉) 9,2,9,8 鈴木颯(愛工大名電高・愛知)
吉村真晴(愛知ダイハツ・茨城) -9,8,8,-10,9,5 張本智和(木下グループ・神奈川)
松下大星(クローバー歯科カスピッズ・大阪) 7,-6,10,-3,10,8 神巧也(T.T彩たま・埼玉)
吉田雅己(木下グループ・栃木) -10,10,4,-6,9,12 松島輝空(星槎中・神奈川)
丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス・東京) -8,10,17,8,-4,6 大島祐哉(木下グループ・神奈川)
上田仁(T.T彩たま・埼玉) 9,6,4,3 英田理志(愛媛県競対・愛媛)
戸上隼輔(明治大・東京) 6,3,8,8 谷垣佑真(愛工大名電高・愛知)
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詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
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