令和4年7月28~31日までグリーンアリーナ神戸(神戸総合運動公園内体育館/兵庫)で、全農杯全日本卓球選手権大会(ホープス・カブ・バンビの部)が開催中。3つのカテゴリーでそれぞれチャンピオンが決まるこの大会は、将来有望な選手たちがしのぎを削るハイレベルな大会となっている。トップ選手への登竜門とも言えるこの大会には年々注目が集まりつつある。
今年度は、大会前半の28~29日に男子、後半の30〜31日に女子と別日程で試合が行われた。
ここでは新たに3人のチャンピオンが誕生した男子の3カテゴリーの模様をお伝えしよう。
ホープス男子は平塚健友が初優勝
<ホープス男子決勝>
平塚健友(フェニックス卓球クラブ) 6,-5,7,9 立川凛(ピンポンカベ)
ホープス男子は北島涼太郎(羽佳卓球倶楽部)が1回戦で劉海翔(金ちゃん卓球)に敗れたほかは、実力者が順当に勝ち上がった。
その中で栄冠を手にしたのはカット主戦型の平塚。160cmを超える長身に長いリーチで、広い守備範囲をカバーし、打球点を落としたカウンタードライブや横回転を入れたカット、ラケットを反転してのカットとツッツキなど、小学生とは思えない多彩な技を繰り出し、対戦相手を翻弄。準決勝ではバンビの部で優勝経験のある大野颯真(木下グループ)との熱戦を高い集中力で制し、決勝では同じくバンビ王者の立川凛(ピンポンカベ)の威力のある攻撃を多彩な攻守で退けた。
3位には松山侑聖(Y.Y LINK)と大野颯真(木下グループ)が入った。松山はコーチの横山友一を思わせるバランスのよい両ハンドの攻守で初の表彰台と躍進。大野は5年生ながら優勝候補としての呼び声も高かったが、平塚のカットを攻略しきれずに惜敗した。
ベスト8は飯田龍生(NEX'TAGE)、柴田洸(STライトニング)、小林右京(ピンテック)、浅里巧真(Crossover)。
●平塚健友選手のコメント
「優勝できてうれしいですし、自分を支えてくださった人々に感謝の気持ちでいっぱいです。やりきった感がすごくあります。
(試合中は)自分は強くなって、絶対に勝つぞという気持ちでプレーしました。
自分はカットマンなんですけど、守備で遠くにボールがいったりしても結構拾えたんじゃないかと思います。攻撃も空振りしたりもしましたが、決める時はちゃんと決めることができました。
決勝は、相手の回転のかかったボールをふかしたり(オーバーミスしたり)してしまいましたが、後半はバックカットもフォアカットも振り切ってしっかり入れることができたのでよかったです。
準決勝は、公式戦で一回も勝ったことがない大野選手との対戦で、挑戦者の気持ちでプレーしました。2対2で最後はエッジしてしまいましたが、それまでに自分が動いてちゃんと点数が取れていたので、決勝のいい調子につながったんじゃないかと思っています。
(今大会は)今までの努力が形になった大会でした。メンタル面も、技術面もよくなったと思っています。
目標は、全中(全国中学校大会)で優勝することです。憧れの選手は松下浩二さんで、自分が小学校2年生くらいの時から松下さんのプレーを見て憧れていました。
将来の夢はオリンピックで金メダルを取ることです」
カブ男子は原澤駿太が初優勝
<カブ男子決勝>
原澤駿太(卓桜会 栃木卓球センター) 5,6,6 岡田蒼空(OKATAKU)
カブは第1シードの柴田優星(STライトニング)と第2シードの木原寿馬(ALL STAR)がともに2回戦で姿を消し、原澤駿太(卓桜会 栃木卓球センター)と岡田蒼空(OKATAKU)のホープスNTメンバーの2人がともに初の決勝進出を果たした。
原澤は高い攻撃力で岡田のカットを攻略。決勝では左右へのドライブで相手を台から下げて、次のボールを短くストップするというカット攻略のお手本のような長短を使い分けた戦術でストレート勝ち。うれしい初優勝を決めた。
岡田は鋭いカットと攻撃で決勝までオールストレート勝ちの強さを見せ、躍進した。
3位には富田亜惺(ASURA)と樽井健(イトウTTC)が入った。富田は準々決勝で前川芽斗(ヒロタクスポーツ)との激闘を制してベスト4入り。樽井はラリー戦に強さを見せて表彰台に登った。
ベスト8は 前川芽斗(ヒロタクスポーツ)、川口洋翔(偉関TTL)、石塚大智(羽佳卓球倶楽部)、山田創介(グランスター)。
●原澤駿太選手のコメント
「技術的に良くなったところは、ストップです。岡田君とは試合して1回負けたぐらいです。
(今大会に点数をつけるとしたら)100点です。憧れの選手はスウェーデンのパーソンです」
バンビ男子は樽井陸が初優勝
<バンビ男子決勝>
樽井陸(イトウTTC) 2,4,-12,4 仲本楓翔(はばたキッズ)
バンビの部は第2シードの樽井陸(イトウTTC)と仲本楓翔(はばたキッズ)が決勝に進出した。仲本はバック面が表ラバーの異質型で、篠谷泰志(スネイルズ)、川口陽向(YOYO TAKKYU)ら実力者を連破して決勝へ駒を進めた。決勝では樽井が、仲本のバック面のボールを苦にせずつなぐボールと決めるボールを使い分けて攻略。第3ゲームは勝ちを意識して落としたものの、高い攻撃力で危なげなく優勝を決めた。
3位には川口陽向(YOYO TAKKYU)と小林俊晴(21クラブ)が入った。川口は決勝進出ペースで勝ち進んだが、異質型の仲本に捕まりストレート負け。小林は完成度の高いプレーでベスト4入りを果たした。
ベスト8は篠谷泰志(スネイルズ)、谷津一颯(久御山明伸館)、韓承恩(丸善クラブ)、神保和悠(R&M)。
●樽井陸選手のコメント
「優勝できてうれしいです。サービスからの展開がよかったです。優勝を目指していました。
決勝では、2対0から負けたらどうしようと思って焦ってしまいましたが、4ゲーム目は『あきらめない』と『頑張れ』の気持ちで立て直しました」
詳しい大会の記録はこちら
公益財団法人日本卓球協会:https://jtta.or.jp/tournament/result?cd=10007&convention_event_id=38
(取材=佐藤孝弘)