9月3〜4日、福岡県のアクシオン福岡で「2022 全農CUP TOP32福岡大会」が開催され、男子シングルスは戸上隼輔(明治大)が優勝を果たした。
現全日本王者ながら、過去2回の選考会では不本意な成績に終わっていた戸上だったが、今回は、その鬱憤を晴らすかのような圧巻のパフォーマンスで選考会初優勝を飾り、パリオリンピック選考レースのトップシーンに返り咲いた。
戸上はどんな思いでこの選考会に臨み、そして、この優勝は彼にとってどんな意味を持つのか。ここでは、優勝後に行われたインタビューを紹介する。
-優勝おめでとうございます。
嬉しいです。(張本には)勝てるとは正直思っていなかったんですけど、絶対良い試合になるとは思っていました。こうやって4対1で取るべくゲームを取れたのがすごく多かったので自信になりました。
1ゲーム目だったりTリーグの個人戦でも感じたんですけど、技術の一つ一つが向こうの方が上回っていると痛感したので、やっぱり捨て身のプレーもしていかないといけないと思っていました。
-2ゲーム目の逆転が大きかったと思いますが、いかがですか。
そうですね。あのゲームを取れたことでバックハンドも自信を持って試合の中で出せたので、バック対バックでも負けることが少なくなりましたし、あのゲームを取れたことが1番大きかったと思います。
張本選手との試合でもつなげるプレーを出したり、バック対バックでも強くいくだけじゃなくて、緩急をつけることも課題だと思っていたので、それを今大会は全試合で出せたのかなと思っています。(緩急は)高校生の頃から取り組まないといけないと思ってはいましたけど、最近ハンガリーで対中国選手に対してつなぎのプレーが効くようになって、そこから自信を持って強打とつなぎを意識しながら出しました。
(張本戦の)1ゲーム目の前半では自分のプレーはできていたんですけど、相手のサービスに対してチキータできなかったので、それが自分の中でしっくり来ていなかったのですが、2ゲーム目からはチキータをメインにして、フォア前のストップを狙ってきてると感じていたので、そこを重点的に考えながら戦術を決めていました。それがうまくはまったのかなと思っています。
ラリーしているときにラリーで得点できている実感があったので、そこから大きいラリーにしていこうという意識でプレーしました。
-全日本以来の優勝ですが、いかがですか。
全日本のときとは今は違いますね。本当に全日本が終わってから苦しい日々を過ごしてきたので、今回で本当に収穫のある試合が見つかって、世界選手権も間近に控えていて、やるべきことも見つかっているので、世界選手権まで練習で頑張っていこうと思っています。
-Tリーグの個人戦で張本選手に破れたときは「自分のプレーを出させてもらえなかった」とコメントしていましたが、今回はその反省を生かせましたか?
そうですね。平塚(Tリーグ NOJIMA CUP 2022)のときは、バック対バックで先にフォアに揺さぶられたりとか、フォア対フォアのラリーもなかなか勝てなかったんですけど、今回はバック対バックも主導権を握ることができましたし、自分からコースを変えることができたので、あのときよりはすごい良いプレーが多かったなと思います。
-第1回の選考会で敗れた篠塚選手との対戦はいかがでしたか?
本当にあの大会が自分の中でターニングポイントだなと思っていて、あの試合を勝ちきれなかったからこそ、今こうしてなかなか結果が出ずにもがいている自分があったので、自分としては今回は篠塚選手に絶対負けたくないなと思っていましたし、死に物狂いで1球1球戦っていました。
-どのような練習をして今大会に臨みましたか?
自分は下がることが多かったので、台から離れずにバック対バックだったりとか、あえて台から距離を取って相手に前で打ち込んでもらって、それをつなげるボールと仕掛けるボールというふうにタイミングを変える練習だったりとか、試行錯誤しながら練習してきました。
-戸上選手にとって張本選手はどういう存在ですか?
自分の可能性を広げてくれる存在というか。張本選手が活躍するから自分でもそこに行けるのかなという自信というか、そう思わせてくれる存在かなって思っています。まだまだ張本選手には及ばないんですけど、いつか世界でのランキングや結果で張本選手を超えたいという目標でもありますし、超えないといけない存在という感じです。
-ようやく選考レースで1勝できました。二年後に向けて一言お願いします。
この50ポイントというのは自分の中では大きくて、来年から(ポイントが)倍になると思うんですけど、臨む気持ちも来年は変わってくると思います。余裕は絶対にどの大会も出せないので、第3回も大事なんですけど、来年の全日本からどの大会も優勝したいなって思っています。