9月11日、5年目となるノジマTリーグ2022−2023シーズンの男子が大田区総合体育館（東京）にて開幕。
開幕戦シリーズ2日目は、男子の琉球アスティーダと岡山リベッツが対戦。試合はビクトリーマッチ（VM）までもつれる接戦になったが、岡山リベッツが琉球アスティーダを3対2で下し、開幕戦勝利を飾った。
岡山リベッツ 3-2 琉球アスティーダ
○李芸傑／郝帥 -7,10,7 吉村和弘／木造勇人
森薗政崇 -6,-4,-7 張本智和○
郝帥 -8,-7,-9 有延大夢○
○丹羽孝希 9,7,7 木造勇人
○丹羽孝希 8 張本智和
※ダブルスは3ゲームスマッチ、シングルスは5ゲームスマッチで第5ゲームは6-6から。ダブルスは第3ゲーム、シングルスは第5ゲーム以外はジュースなしのサドンデス（11点先取）
昨日のT.T彩たま対木下マイスター東京の開幕戦同様、岡山リベッツと琉球アスティーダの開幕戦もビクトリーマッチまでもつれる接戦になった。
1番は、李芸傑／郝帥の岡山がペアが吉村和弘／木造の琉球ペアに勝利するも、2番で、木下マイスター東京から琉球アスティーダに移籍してきたエースの張本が、森薗をストレートで下してすかさずタイに戻す。
3番、岡山は昨シーズン13勝を挙げた郝帥、対する琉球は強打者・有延。競り合いが予想されたが、有延が豪快なパワードライブを打ち込んで郝帥にストレート勝利し、琉球アスティーダが逆転に成功。
続く4番は、岡山・丹羽対琉球・木造。両者は先週の2022 全農CUP TOP32福岡大会でも対戦しており、そのときは木造が勝利したが、今回は丹羽が奮起した。丹羽は、緩急をうまく使って木造のリズムを崩し、機を見た速攻を決めてストレートで快勝。今度は岡山リベッツが追い付き、勝負をビクトリーマッチへ持ち込んだ。
注目のビクトリーマッチ、岡山は4番で勝利したばかりの丹羽を起用。対する琉球は、当然ながらエースの張本に勝利を託してきた。
2番でサウスポーの森薗に完勝した張本のプレーの出来から、同じサウスポーの丹羽も厳しいかと思われたが、「普通にやっても勝ち目はないのでバックサービスを使った」という丹羽が、バックハンドサービスを使って機先を制すと、張本の強烈なカウンターにさらにカウンターを合わせる見事なプレーで張本を撃破。丹羽が2点取りの活躍で、岡山リベッツに大きな大きな開幕戦勝利をもたらした。
●岡山リベッツ 白神宏佑監督
（男子では）私が最長の監督なので、今Tリーグで5年目になっても、やっぱりこのビクトリーマッチっていうのは慣れないもので、本当に勝った時にはもう「ほっと度」が半端じゃないなっていうのが正直なところですね。
（ビクトリーマッチは）何個か予測はしてたんですけど、郝帥が負けた時点でもう丹羽を出そうと決めていたので、それは昨日から言ってましたし、その準備はしてくれていたので、もうあの試合前になって出すよっていう話をした時に、丹羽の方からもう全部今日はバックサービスでいきますと言ってきました。予定通りといえば予定通りだったかなと思います。
丹羽本人の考えもあるんですけど、やはり、本人も普通にやってても（張本には）勝てないと言っていたので、本人なりに考えてやってることなので、それは尊重して、「それで行こう。勝負しよう」ということで送り出しました。
郝帥が負けてチームが勝つというのもなかなかないことだし、それも張本選手に勝っての勝利なので、そういう意味ではやっぱり1人1人が俺がやらなくちゃいけない、また、勝たないと次出られないというところも、多分、本人たちも分かってると思うので、そういった意味は刺激し合いながら、かなり士気が高いんじゃないかなと個人的には思いますね。
丹羽も海外に行っていて、前の日に帰ってきて一緒の練習場でちょっと練習して、明日こういう感じで行こうかと話しました。中国人選手2人（郝帥、李芸傑）に関しては、8月下旬の早い段階で来てますし、森薗に関してもいろんな試合で一緒に帯同してます。その中で、今年はここをこうしようということはずっと話してきたので、それも良かったのかなとは思います。
日本人選手の試合数がかなり増えてきたので、ちょっとそれが難しかったっていうのは正直あるんですけど、海外選手を早く呼べたというところで、日本人選手も一緒に練習をしたりできたので、そういった意味でも中国人選手とのコミュニケーションもチームが取れていたので、中国人選手2人は過ごしやすくしてるんじゃないかなと思いますね。ダブルスも開幕からこのペアでいこうと80パーセントは来た時に決めていたので、その中でも練習もできてましたし、よかったんじゃないかなと思います。
（チーム内の競争意識を高めるために何をしているか？）やっぱり、もう負ければ出られないとか、けがをすれば出られないっていうのは本人たちも多分わかってることなので、選手たちは絶対出たいっていう気持ちの方が強いと思いますし、私が駆り立てなくても、本人たちが強い意識で出たいという気持ちでやっているので、そういうところで競争意識が生まれていると見てたら感じますね。その中でも、郝帥とか丹羽に対しての周りの尊敬というか、リスペクトしてるところも見え隠れするので、そういった意味ですごく循環がいいのかなとは思っています。
（パリ五輪の選考ポイントがついたことについて）パリオリンピックももちろんそうですし、日本のためにっていうところもあるんですけど、やっぱり私自身は岡山リベッツの監督として、やっぱリベッツを勝たせることが最優先ですので、そうした意味では、選手とも相談しながらだけど、こちらの意見を通すところは通させてもらってやっていくということで、本人たちも納得してくれてると思うので、それは問題ないんじゃないかなと思います。
（第2シーズンで丹羽が所属していたときは）本人も東京オリンピックがあって、すごく自分の中でプレッシャーも感じていただろうし、ちょっと解放された部分もあって、今度は本当に自分の試合に集中できるっていう環境が整ってきたのかなと思っています。やっぱりああいう丹羽選手の笑顔見れるのはいいですよね。ファンも嬉しいと思いますし、僕らも嬉しいですね。
先月1度岡山に来た時に2人で車の中で2時間近く2人っきりで色んなことを話したりして、あのクールな丹羽からすごく熱いものを感じて、応援したくなるっていうような、ちょっと僕も意識が変わっちゃったんですね。今は私も1人のファンですね。
●岡山リベッツ 丹羽孝希選手のコメント
勝つことができて、すごく嬉しいです。1対2で回ってきたので、チームが勝つには自分が2点取るしかないっていう状況だったんですけど、木造には1週間前に負けていますし、張本にも勝ったことがないので、まさか勝てるとは思ってなかったです。
今日の2番の森薗対張本の試合を見ていて、フォアサービスを出すとチキータで全部1発で持ってかれて、全然試合にならないので、そこでバックサービスを出してチキータをさせないようにしました。
最初は横回転でいこうと思ったんですけど、練習してなくて出せなかったので、ナックルを出したって感じです。実際にチキータ1本しかされてないので、それは勝因だと思いますし、あのサービスに対してチキータをバンバンやられると勝つことはできないと思います。木造選手にも1週間前に負けているので、その時とガラッと変えようと思ってバックサービスを使いました。
ただ、今日も練習してなくて出したので、自分としても全然感覚なかったですし、実際に台から出たりとかあんまりいいサービスとは言えなかったので、今日で手応えはつかんだので、練習していこうかなと思います。
昨日、日本に帰ってきて（オマーンと日本は）時差も5時間あったのでコンディション的にはいいとは言えなかったんですけど、試合をたくさんやっていたので、体もすごく動いて試合勘は良くなってるかなと思います。
オマーンのWTTの時も1回戦で負けてしまったんですけど、まあ2対0リードしていて、自分のプレーはそこまで悪くなかったかなって思います。もちろん相手もすごく強い選手ばかりなので、こうやって1回戦負けとか続くと思うんですけど、前向きに頑張っていこうと思っています。
（課題は）サービスの種類がものすごく課題で、この間の試合も2対0でリードしたんですけど、そこから慣れられてしまって負けてしまたので、今日みたいにいろんなサーブを出すことで、相手に慣れられずに勝つことができるかなって思ってます。
パリ五輪のことは本当に考えてなくて、1試合1試合が大事で、日本リーグでも一部復帰
目指して頑張ってますし、Tリーグの方でもリベッツでファイナル進出を目指して頑張ってますし、世界ランキングもオリンピックとは関係ありませんが、自分としては今57位なので、元いたところまでは戻したいなと思ってます。
今日は2点取ることができましたが、郝帥選手もこれからもっと調子出て勝つと思いますし、森薗ももっともっといいプレーすると思うので、チームみんなの力合わせてファイナル進出目指して、まずは頑張っていこうと思っています。
●琉球アスティーダ 張一博監督のコメント
開幕戦全然勝てない（笑）
今回はチャンスがあるかなと思いましたがダメでした。（敗因は）技術の面、気持ちの面、両方あると思います。智和（張本）はよく戦ってくれました。そこは問題ありませんが、ビクトリマッチだったから、結構向こうが（丹羽が）色々攻めてきましたね。気持ち的にも、作戦的にもそうなんですけど、なるべくこっち側のペースを乱すような作戦を立ててやってきたので、そこはやっぱりうまいなと思いますね。
やっぱりダブルスは取りたかった。練習もダブルスは相当気合を入れてやってたんですよ。コンビネーションは悪くないと思うんです。この2人（木造／吉村和弘）はずっと組んでるから。ただやっぱりちょっと凡ミスが多かった。本当に勝ちそうだったんですよね。皆さん見てても分かる通りで、1ゲーム目勝って、2ゲーム目8-5でリードして、そこから2点ぐらい落とした時に自分もあまり気づいてなくて簡単な感じで取られたから。多分、選手たちも気持ち切り替えてやろうと思っててもちょっと収集がつかない状況になっていましたね。1対1になったら6-6からスタートなので、またちょっと気持ち的に変わるじゃないですか。2ゲーム目を取れなかったのが正直ちょっと痛かったですね。
（張本は）試合を見ててすごい安心しますよね。プレースタイル的にあの年頃の試合ではないんですよ。ベテランじゃないんですけど、すごくしっかりしたプレー、しっかりした作戦をやってるんですよ。横綱の試合みたいな感じですよね。
「かかってこい」みたいな、そういう感じでやってましたので、全体的には悪くないと思います。
ここからは、ダブルスもシングルスももうちょっと厳しい練習をして、ある程度個人個人の調子が上がるようにやっていきたいと思います。
●琉球アスティーダ 張本智和選手のコメント
（開幕戦を迎えるにあたって）とてもワクワクしてましたし、自分の状態もよかったので第2マッチみたいにいいプレーもできましたけど、やっぱり団体戦をプレーする上でチームが勝つことが1番大事なので、そこができなかったっていうのは責任も感じてますし、悔しさもあります。
（丹羽選手のバックサービスに関しては）木造選手の試合で出していたのである程度予想はしてましたけど、やっぱり1ゲームマッチで今日の試合では完全に対応はできなかったので、そこは課題かなと思います。
5ゲーム以上の試合では最近は戸上選手に負けて、Tリーグ個人戦でも戸上選手の試合が危なくて、それ以外はあまり危ない試合もないですし、とても状態がいいと思います。ビクトリーマッチは世界卓球やWTTではない試合なので、5ゲーム以上の試合ではとてもいい状態だと思っています。
（チームの印象は）去年までは外から見ていてとても明るいチームだと思ってましたし、いざ今年入ってみても、想像した通り明るいですし、今日こうやって負けた後でも、控え室では「次がんばろう！」という雰囲気が出来上がっていたので、そこは今までにないようなすごくいい雰囲気だと思います。
（森薗選手のチキータレシーブは）打たれても打たなくてもどっちでもいいと思っていて、打たれなかったら自分から攻めればいいし、チキータが来たらそれにカウンターすればいいと思っていました。そこは特に何かを工夫まではしてないです。バックに打たれても不安はないから他の準備もできるので、今日に関してはほぼ完璧だったと思います。
（丹羽選手のバックサービスは）当てただけの、別に回転もあるわけではなく、ただ多分普通のサービスを出すとチキータされると思ったので、まあ実際にも森薗選手の試合ほどチキータもできていないと思いますし、特別にレシーブミスしたわけでもないですけど、ちょっとリズムは崩されたかもしれないです。別に5ゲームマッチで、あのサービスを出されても慌てはしなかったですけど、やっぱりビクトリーマッチは小学生とやっても焦りますし、格上でも焦る試合なので、この先何回やっても勝てる保証はないですし、その中でベストを尽くして1勝でも多く勝ちたいです。やっぱりそこでチームの勝敗が決まってしまうので、ベストを尽くす。ただそれだけです。
今のところ、今月の試合は全て出る予定ですし、沖縄にも来週行く予定なので、次は勝てるように頑張ります。
（パリ五輪の選考ポイントが付くことについて）まあちょっとは考えましたけど、ポイントがあろうがなかろうが、勝たなきゃいけないと思うので、そこは勝てばポイントがつくだけだと考えました。
琉球では全勝することを求められると思いますし、ビクトリーマッチは自分の中でもある程度しょうがないという気持ちはありますけど、ダブルスだったり、シングルスの5ゲームマッチは絶対勝たないといけないと思っているので、そこは100パーセント勝てるように。ビクトリーマッチが来たら、ベスト尽くすだけだと思うので、今日は結果は負けましたけど、いい形ではあると思います。
沖縄では皆さんにたくさん応援してもらえるように全力でプレーしたいですし、皆さんと一緒に勝利に向かっていけるように頑張りたいと思います。
詳しい結果はこちら
T-LEAGUE：https://tleague.jp/
（取材＝卓球レポート）
