元ナショナルチームコーチとして数々のトップ選手の指導に携わり、現在はTリーグの解説者としても活躍する渡辺理貴氏が、その卓越した観察眼で世界卓球2022成都を鋭く分析する企画。
今回は、男子団体決勝トーナメントのブロックごとの展望を聞いた。
第1シードの中国のブロックは、インドとベルギーとも勢いがありましたが、今大会にベストメンバーで臨んでいる中国とスウェーデンから3点を取るのは極めて難しいでしょう。
準々決勝では中国とスウェーデンの対決になる可能性が高く、実現すれば今大会で注目の一戦になるでしょう。
続いて、日本が入った第4シードのブロックは、「日本有利」と予測したいと思います。初戦でブラジルとの対戦ですが、「エースのカルデラーノ2点+誰かが1点」というブラジル勝利の方程式を、日本はオーダーの駆け引きで崩せるか注目ですね。カルデラーノに連勝中の張本智和が軸になることは間違いありませんが、戸上隼輔を真っ向勝負でいくか、はたまた3番に据えるかなど、戦い方はいろいろ考えられるので想像がふくらみます。
反対側のポルトガル対スロベニアは、総合力ではポルトガルが有利だと予想します。
第3シードのブロックは、チームランキングからすると韓国と香港のアジア勢同士の表彰台争い が予想されます。
韓国は、グループリーグを失点わずか1という勝ち上がりで隙がありません。その失点1を勝ち取ったのが、香港と対戦するエジプトの世界ランキング221位・マグディで、世界卓球2019ブダペスト男子シングルス3位の安宰賢をストレートで下しました。そのため、香港はすんなり韓国とのメダル決定とはいかず、エジプトとの大激戦もあるでしょう。
第2シードのブロックには、ヨーロッパ上位のチームがそろいました。どのチームにも表彰台のチャンスはあると思いますが、グループリーグの戦い方や勢いを見る限りでは、フランスとクロアチアの準々決勝が濃厚だと予想します。
しかし、ドイツも、主力の3人(ボル、オフチャロフ、フランチスカ)を欠いているとはいえ、強豪国としてのプライドと底力が必ずあるので、勝ち上がっていくチャンスは十分あると思います。
(まとめ=卓球レポート)