5月6〜7日、神奈川県平塚市のトッケイセキュリティ平塚総合体育館で「2023 全農CUP 平塚大会」が開催。この大会は2024パリオリンピック選考会の第4回として行われ、男女各32名のトップ選手が集い、トーナメント方式で優勝を争う。そして、順位に応じてパリオリンピック選考ポイントが付与される。
最終日となる大会2日目は男女シングルスの5〜8位決定戦、準決勝、3〜4位決定戦、決勝が行われ、男子は決勝で戸上隼輔(明治大)が張本智和(智和企画)をゲームオールで下し、選考会2度目の優勝を決めた。
優勝 戸上隼輔(明治大)
▼男子シングルス5位〜8位決定戦
宇田幸矢(明治大学) -7,10,8,9,5 濵田一輝(早稲田大学)
曽根翔(T.T彩たま) 6,-8,7,9,1 谷垣佑真(愛知工業大学)
▼男子シングルス7位〜8位決定戦
濵田一輝(早稲田大学) 6,2,9,9 谷垣佑真(愛知工業大学)
▼男子シングルス5位〜6位決定戦
宇田幸矢(明治大学) 9,18,7,9 曽根翔(T.T彩たま)
▼男子シングルス準決勝
張本智和(智和企画) 15,7,9,8 吉山僚一(日本大学)
戸上隼輔(明治大学) 10,-5,4,9,-8,9 田中佑汰(個人)
▼男子シングルス3位〜4位決定戦
吉山僚一(日本大学) 8,10,-8,-2,3,8 田中佑汰(個人)
▼男子シングルス決勝
戸上隼輔(明治大学) -8,6,5,-5,8,-7,6 張本智和(智和企画)
第2回大会、そして全日本の再戦となった戸上隼輔(明治大)対張本智和(智和企画)の決勝は、ゲームオールの激闘の末、またしても戸上に軍配が上がった。
試合の立ち上がりは張本がストレートをうまく突いて戸上の機先を制し、先制する。出足から0-8と離された戸上だったが、第1ゲームの終盤から持ち前の攻撃力を発揮し始め、8本まで詰め寄ると、第2、第3ゲームはその勢いで猛攻を仕掛けて連取し、逆転に成功。しかし、このまま飲み込まれたくない張本も決死のブロックと思い切ったカウンターで追いすがり、勝負の行方は最終の第7ゲームへ。
序盤は戸上がリードするが、3球目のチャンスボールミスから張本に5-5に追い付かれたところで戸上がタイムアウト。このタイムアウト明けの戸上がすごかった。まさに火の出るような攻撃で張本を防戦一方に追い込み、またたくまに5本連取してチャンピオンシップポイントを握ると、張本に1点を返されるが、最後は回転しながらの回り込みストレートで張本のフォア側をぶち抜き、第2回大会以来となる2度目の選考会優勝を決めた。
■戸上隼輔選手のコメント
「(張本には)正直いって相性は誰よりも良いです。ほかのどの選手と対戦するよりも自信を持ってチャレンジャーとしてプレーできるからです。1ゲーム目はフォアを積極的に攻められて先手を取られてしまったなと思いました。そこから追いつくまで行きそうだったんですけど、それがあって徐々に自信が戻ってきて、最後は諦めずにゲームを終えられたのが良かったです。
正直、今の試合は全然ダメだったなと感じるところもあってミスが多かったです。本来ならもう少し入れなければならないボールも全部打ちに行ってしまって修正する余地があるので、世界卓球までにたくさん練習して、これが身につけばメダルを獲れるくらいになるなと感じています。
サービス、レシーブ、3球目、4球目までのラリーに行くまでの過程のやりとりが僕の中では負けたところはないなと思っています。ラリーではなかなか点数は取れなかったですが、そこに行くまでの過程が優勢だったと思います。『何が足りないんだろう?』と思った時にサービスレシーブがおろそかになってしまっていたので、最近はそれを取り組んで良かったなと思っています。
(パリオリンピックで)日本がメダルを獲るためには2番手が必要だと自覚しています。そのためにも国際大会で結果を残して、世界ランク15位を目指して頑張りたいと思います」
2位 張本智和(智和企画)
前回大会に続く連覇を目指した張本智和(智和企画)だが、戸上の猛攻の前に敗れた。「(戸上の)攻撃力は中国選手と同等かそれ以上。自分と対戦するときは特にそうです(笑)。なので、先に攻めなければいけないと分かってはいても、後手後手に回ってしまった」と本人が振り返るように、チキータやループドライブでチャンスをつくり、高速バックハンドにつなげたい張本にとって、それらのボールをことごとく狙い打ってくる戸上はすこぶる相性が悪い相手だ。しかし、その相性の悪さを克服できたとき、張本のステージはさらに一段上がるはずだ。
3位 吉山僚一(日本大学)
吉山僚一(日本大学)が前回4位からステップアップの3位。YGサービス(逆横回転系サービス)からの厳しい攻めと安定した攻守で愛工大名電高校の先輩・田中を下した。「レベルの高い選手ばかりの中、3位という結果は良かった。この結果をプレッシャーに感じず、挑戦者として向かっていきたい」と吉山。2大会連続で好成績を収めた吉山は、選考レースのキーマンになりつつある。
4位 田中佑汰(個人)
前回2位の田中佑汰(個人)は、準決勝で戸上に競り負け、順位決定戦では吉山に敗れて4位。前回より順位を落としたが、正確無比な両ハンドと鋭いカウンターで2大会連続でベスト4まで勝ち上がり、力があるところを示した。
詳しい記録は公益財団法人日本卓球協会の大会ページまで
https://jtta.or.jp/tour/12074
(取材=卓球レポート)