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2023アジア卓球選手権平昌大会
男子団体は中国が中華台北を下し、優勝

 
 2年に1度開催されるアジアナンバーワンを決めるバタフライ第26回アジア卓球選手権大会が9月3日から10日まで韓国の平昌(ピョンチャン)で開催される。今回のアジア大会は、バタフライが卓球メーカーとして初のタイトルスポンサーを務め、運営面から設備面など大会全般のサポートを行っている。卓球レポートも現地の平昌に足を運び、熱戦の模様をお伝えしていく。
 競技4日目となる9月6日は男子団体決勝が行われ、中国が中華台北を3対0のストレートで下し、優勝を果たした。


王楚欽が苦しみながら先制点

王皓監督のげきが飛ぶ

王楚欽を追い詰めた18歳の高承睿。これからさらに出てくるだろう

魂のプレーを見せた樊振東

天才。そうとしか形容できないプレーを見せた林昀儒

林昀儒のコーチを務める偉関晴光氏が懸命にアドバイス

激闘を終え、固い握手をかわす両雄。名勝負はこれからも続くだろう

梁靖崑が荘智淵を下し、中国が優勝を決めた

激戦を乗り越える力。それこそが中国の強さだろう

 
▼男子団体決勝の結果
中国 3-0 中華台北
○王楚欽 -9,9,-7,6,8 高承睿
○樊振東 -8,8,10,-5,10 林昀儒
○梁靖崑 8,4,10 荘智淵  
 樊振東 - 高承睿  
 王楚欽 - 林昀儒


 決勝の中国のオーダーは、樊振東と王楚欽を2点使いし、3番に馬龍でなく、梁靖崑を起用してきた。一方の中華台北は、エースの林昀儒、18歳の高承睿を2点使いにし、3番に大黒柱の荘智淵を置くオーダーで勝負をかける。

 トップの王楚欽対高承睿は、地力の差で王楚欽が圧倒するかと思われたが、試合は予想を裏切る大接戦になった。高承睿は多彩なバックハンドと思い切りのいいフォアハンドで第1ゲームを先制すると、第2ゲームは9-6から惜しくも逆転で落とすが、王楚欽を相手に堂々のプレーで第3ゲームも奪い、勝利に王手をかける。しかし、世界卓球のファイナリストとして新鋭に負けるわけにはいかない王楚欽が、第4ゲームから高承睿のフォア側をうまく突きながら威力のある両ハンドにつなげ、なんとか逆転勝利。予定通りというにはあまりにも際どかったが、先制点を中国にもたらした。
 一方、惜しくも金星はならなかった高承睿だが、バックハンドが多彩かつ正確でフットワークも良く、何より王楚欽がここぞの場面で出す必殺の巻き込みサービスを初見でほぼ完璧にレシーブするなど、レシーブのタッチや変化を見極める目が抜群にいい。まだ18歳ということでパワー不足は否めないが、その分、伸びしろは十分あり、アジア選手権決勝という大舞台も踏んだ。
 高承睿。これからの世界の卓球事情を語る上で、この名は覚えておくべきだろう。

 2番の樊振東対林昀儒のエース対決も、すさまじい試合になった。
 第1ゲームはサービスが効きまくった林昀儒があっさり奪うが、第2ゲームは樊振東が効果的なレシーブはできないものの、林昀儒のサービスからの3球目ミスやチキータミスに付け入って返す。試合は、サービスが効けば林昀儒、3球目が甘くなれば樊振東という大まかな構図で世界最高峰のラリーを繰り広げながら最終の第5ゲームまでもつれ込む。
 最終ゲームに入っても、まだサービスが効く林昀儒が序盤から樊振東を引き離すが、最強中国のエースとして、世界王者として負けるわけにはいかない樊振東がじりじりと得点を詰め寄る。しかし、林昀儒が10-8とマッチポイントを握り、サービスは林昀儒。これまでの林昀儒サービスの効き方からして、勝負あったかに思われたが、ここからの樊振東がすごかった。
 樊振東が1点を返し、9-10とした場面。ここで決めてしまいたい林昀儒は、この場面でこれまで何度も樊振東のネットミスを誘っていたロングサービス気味の下回転がかかったサービスを樊振東のバック側に出し、勝負をかけてきた。このサービスは返せないのではないか。そう思った刹那、樊振東はのけぞるようにしてバックハンドドライブを相手コートへまさにねじ込み、林昀儒のミスを誘って10-10に追い付く。窮地をしのいだことで息を吹き返した樊振東と、絶対的優位な立場から追い付かれた林昀儒の差は明白で、ジュースから樊振東が2本連取し、激闘にピリオドを打つと同時に、逆転で中国に王手をもたらした。
 決勝の大舞台で世界王者を相手にエースを連発する林昀儒のサービスのすごさ、その後の3球目やチキータの切れ味の鋭さは筆舌に尽くしがたいが、あれだけレシーブに苦しんで展開が悪くても、気持ちを切らさずになんとか打開しようとする樊振東の勝利への執念やプライドは感動的ですらあった。

 激戦を乗り切って王手をかけた中国と、反対に王手をかけそこなった中華台北の差はレジェンドの荘智淵といえどもいかんともしがたく、3番は梁靖崑が持ち前のラリー戦の強さを発揮して荘智淵をストレートで退け、中国が優勝を決めた。
 終わってみれば無失点で優勝を果たした中国だが、この決勝や準決勝の韓国戦ではあわやという場面も訪れた。しかし、そうした窮地を乗り越える力こそが、中国の支えであり、最強のゆえんなのだろう。
 一方、ストレートで敗れたが、一歩間違えば中国を倒し、優勝の目もあった中華台北。エースの林昀儒はあらためてその実力を知らしめ、新たなスター候補の高承睿も躍動した。これからの中華台北は要注目だ。


会場にかけられた多くの横断幕の中で、樊振東の応援幕が最も大きかった

 今大会は韓国での開催と言うことで、お隣の卓球大国・中国から選手を応援するファンが押し寄せている。2階の観客席には数多くの応援横断幕がかけられているが、その中でも世界チャンピオン・樊振東の幕が最も大きく、存在感を示している。

卓レポX(ツイッター)でアジア卓球選手権平昌大会の熱戦を速報予定です。ぜひご覧ください!

試合の詳細な記録は下記サイトをご覧ください。
アジア卓球連合:https://asia.ittf.com/pages/39/asian%20ttc%202023_2704
国際卓球連盟(ITTF)記録ページ:https://results.ittf.com/ittf-web-results/html/TTE2773/results.html#/results

(取材=卓球レポート)



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