第58回世界卓球選手権団体戦が、韓国の釜山で2月16〜25日にかけて開催される。
大会9日目の2月24日(土)は、中国対韓国の男子団体準決勝が行われ、中国が韓国を3対2で下して決勝進出を果たした。
▼男子団体準決勝
中国 3-2 韓国
王楚欽 1(-7,2,-11,-6)3 張禹珍○
○樊振東 3(8,6,8)0 林鐘勳
馬龍 2(-7,4,-10,6,-4)3 李尚洙○
○樊振東 3(6,7,10)0 張禹珍
○王楚欽 3(5,7,6)0 林鐘勳
地元韓国と中国からのファンで満員の大観衆が見守る中、韓国対中国の男子団体準決勝はラストまでもつれる大激戦になった。
1番の張禹珍対王楚欽から会場のボルテージがマックスに振り切れる。第1ゲームは、ストップで台上戦に持ち込んで王楚欽の強打を防ぎつつ、チキータを待って狙い打った張禹珍が先制。第2ゲームは、ラリーに持ち込んで球威でまさる王楚欽が奪う。第3ゲームは両雄譲らず一進一退でジュースまでもつれるが、強烈な回り込み3球目とチキータからの4球目を鮮やかに決めた張禹珍が取り、先制点に王手をかける。
張禹珍コールと王楚欽コールの大歓声が交錯する中、第4ゲームも序盤から張禹珍が快足を飛ばし、4-1とリードしたところで中国がたまらずタイムアウト。これまでタイムアウト明けの中国が苦境から蘇るシーンを何度も見てきたが今回はそうはならず、5-3からの2本連続ネットインというラッキーも重なって張禹珍が勝利。王楚欽の豪打に追い付くフットワークと尋常ではない回り込みの懐の深さで、大方の予想を覆し、エースの張禹珍が韓国に先制点をもたらした。
一方、この準決勝まで全試合ストレートで勝ち上がってきた中国は初失点。不穏なスタートとなった。
畳み掛けたい韓国は、ここまで7戦全勝と大車輪の活躍を続けている林鐘勳に王手を託すが、世界王者の樊振東が立ちはだかった。
樊振東はチキータからのバックハンドを軸とした速いプレーで林鐘勳に攻撃を許さず、ペースを握る。林鐘勳の鋭い攻撃も得意のカウンター気味のバックハンドで跳ね返し、樊振東がストレート勝利で中国がすかさずタイに追いつく。
勝負を大きく左右する要の3番、韓国の李尚洙対中国の馬龍という両チームの精神的支柱同士の試合は、この試合随一の激戦になる。
第1ゲームは李尚洙が鋭い両ハンドで積極的に攻めて先制するが、第2ゲームは馬龍が丁寧な台上プレーを軸に取り返す互角の展開。第3ゲームは一進一退で9-9まで進むが、ここで馬龍が取っておいたロングサービスでエースを奪いゲームポイントを握る。しかし、続けて出してきたロングサービスを今度は李尚洙が読んで回り込みフォアハンドで狙い打ってジュースに追い付くと、チキータからの強烈な回り込みストレートで李尚洙が物にし、勝利に王手をかける。
続く第4ゲームは馬龍が安定したプレーで奪うが、第5ゲームは大歓声を背にした李尚洙が中盤から爆発。鋭い両ハンドに加え、ロングサービスを出すタイミングも絶妙で馬龍を4本に抑えて勝利し、韓国が王手をかけた。
ともに前半で勝利した張禹珍対樊振東の4番のエース対決は、終始、樊振東がペースを握る。チキータと得意のバックハンドでのストレートを効果的に使って張禹珍の足を止めると、フォアハンドの強打も決めてストレート勝利し、ラストにつないだ。
一方、張禹珍はトップで王楚欽との激戦のダメージが残っていたのか、やや動きに精彩を欠く中、両ハンドで必死に食い下がったが、樊振東を脅かすまでには至らなかった。
勝敗が決まるラストはの林鐘勳対王楚欽の左腕対決は、王楚欽が強烈なチキータとバックハンドを軸に主導権を握る。林鐘勳もシンプルなバックハンドサービスを使うなど打開策を探ったが、迫力の両ハンドで攻める王楚欽の勢いは止まらず、王楚欽が林鐘勳にストレートで勝利。
ラストまで追い込まれたものの、4番、5番は危なげなく勝利する層の厚さを見せた中国が決勝進出を決めた。これで中国は1971年名古屋大会から続けている連続決勝進出記録を26に伸ばした。
一方、ラストまで迫りながら惜しくも振り切られた韓国だが、地元開催の重圧を力に変え、中国を追い詰めたこの一戦は、間違いなく今大会のハイライトの1つになるだろう。
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WTT:https://worldtabletennis.com/teamseventInfo?eventId=2751
(まとめ=卓球レポート)