第58回世界卓球選手権団体戦が、韓国の釜山で2月16〜25日にかけて開催される。
大会10日目の最終日、2月25日(日)は男子団体決勝が行われ、中国がフランスを3対1で破り優勝を決め、11連覇を果たした。
▼男子団体決勝
中国 3-0 フランス
○王楚欽 3(4,8,3)0 F.ルブラン
○樊振東 3(-9,4,-8,10,7)2 A.ルブラン
○馬龍 3(-7,2,4,6)1 ゴズィー
樊振東 - F.ルブラン
王楚欽 - A.ルブラン
11連覇がかかった中国は、準決勝で中華台北を破り、世界卓球史上で3度目の決勝進出を果たしたフランスを迎え撃った。
トップは破竹の勢いで決勝まで駆け上がったフランスのエースF.ルブラン(今大会ここまで9戦全勝)と準決勝の韓国戦で張禹珍に1敗を喫している王楚欽(ここまで6勝1敗)との対戦。
立ち上がりはお互いに探り合いの中、王楚欽がF.ルブラン必殺のロングサービスにもきっちり対応。鋭いツッツキに対してもタイミングをずらして、F.ルブランのカウンターミスを誘い、王楚欽が11-4で圧倒。
7-7まではお互いにロングサービスを効果的に使って一進一退の展開。ここでルブランのツッツキに対して王楚欽が質の高いループドライブでルブランがカウンターミス。ここでフランスがタイムアウトを取り、ルブランはサービスを出す位置を変えて8-8と追い付いたが、王楚欽がサービスからしっかり攻めて2本連取。ゲームポイントでもしっかりカウンターを決めて王楚欽が2対0とリードを広げる。
第3ゲームも王楚欽は3球目攻撃もレシーブもパーフェクト。他の選手ならつなぎのドライブで対応するルブランのツッツキに対しても王楚欽は一発で決めて、ストレートで勝利。王楚欽の強さが際立った一戦となった。
2番はここまで7戦全勝の世界王者樊振東と、5勝2敗のA.ルブランの対決。
第1ゲームは序盤は樊振東がサービスの長短をうまく使い分けてリードするが、8-4からアンラッキーと樊振東の凡ミスが重なり9-9に。ここからA.ルブランのサービスからのカウンターが2本決まり、A.ルブランが先制。
第2ゲームはお互いのボールが合い始めてラリー戦になるが、ラリーは無理に強打せずに連続攻撃での得点を狙う樊振東が優勢。。中盤からは樊振東のフォア前へのYGサービスに対して、A.ルブランがよいサービスができずに苦戦。
第3ゲーム、樊振東のボールをリスクを負って強打するA.ルブランのボールがことごとく入り、ルブランがリード。ルブランは樊振東のYGサービスもうまくフリックして、これまで苦しんでいたこのサービスを封じる。ルブランリードの10-5から樊振東が丁寧なプレーで10-8と追い上げフランスがタイムアウトを取り、最後はA.ルブランがしっかり3球目でフリックを決めてA.ルブランが2対1とリード。
A.ルブランの勢いが止まらない。あとがない樊振東は0-2とリードされたところでタイムアウト。2本で2-2追い付く。4-4で樊振東がスロープレーでイエローカードをもらう。動揺が見られた樊振東が5-8とリードを許すが、サービスをシンプルな縦回転系に変えた樊振東が追い付くも、9-9から強烈なカウンターを決めたA.ルブランがマッチポイント。しかし、ルブランのカウンターを待って打ち返した樊振東がジュースに戻して、2本連取し窮地をしのいだ。
最終ゲームはシンプルな縦回転サービスに絞った樊振東のペースで展開。打ち合いにはなったが、ルブランの思いきった攻撃に対しても丁寧に対応した樊振東が貫禄のプレーで、A.ルブランの追い上げを振り切って、中国が2点目を挙げ、優勝に王手。
3番の立ち上がりはあとがなくなったフランスのゴズィーがアグレッシブなプレーで馬龍を圧倒。3-1から3球目で強烈なバックハンドドライブを連続で決めて5-1とリード。リードを守ったゴズィーが先制。馬龍のプレーには迫力が欠けている印象。
第2ゲームは馬龍がゴズィーのチキータと逆チキータにしっかりと対応。台から出てきたハーフロングサービスに対してもしっかりフォアハンドドライブで対応し、馬龍が圧倒。1対1に。
引き続き、馬龍はゴズィーの甘いサービスに対しては見逃さずにフォアハンドドライブで対応。ゴズィーはレシーブでチキータが効かないので、ストップを使うが、甘くなるとこれも馬龍が決める。ゴズィーとしては苦しい展開が続く。
第4ゲームはゴズィーが0-2でタイムアウトを取るも展開を打破できず、5-8までリード。ここで馬龍がフォアハンドをミスして中国がタイムアウト。タイムアウト明け、馬龍がバックフリックを決めて9-6、次いでツッツキからカウンターを決めて10-6とチャンピオンシップポイント。最後は馬龍のサービスにゴズィーのレシーブがネットにかかり、中国の11連覇を決めた。
準々決勝で日本の挑戦を退け、準決勝では開催国韓国に2対1と追い詰められながらも王者の底力を発揮して勝ちきった中国に死角はなかった。
準々決勝からの3試合は、樊振東、王楚欽、馬龍のオーダーを変えなかった中国には、この3人でパリ五輪を戦おうという強い決意が感じられた。善戦した日本は松島輝空、張本智和、篠塚大登がそれぞれ対戦相手から1ゲームを奪い、可能性を感じさせたが、結局は「善戦」にとどまった。戸上隼輔が起用できない中で中国まで勝ち進んだことは立派だったが、その内容は中国との間にまだ大きな差があることを感じさせた。
韓国にしても中国を追い詰めたのは確かだが、3失点は全てストレート負けだ。確かに惜しかった。張禹珍の、李尚洙の躍動に胸が躍った。だが、あと1点の遠さを誰よりも感じたのは韓国ではなかっただろうか。
決勝では、無失点で決勝まで勝ち上がった樊振東がA.ルブランにマッチポイントを握られたが、これをしのいで世界王者の意地を見せた。結局は、どのチームも「惜しいところ」までしか行くことができなかった。
「惜しかった」という言葉を、これ以上聞かなくて済むように、世界は虎視眈々と準備を進めていくことだろう。だが、それを指をくわえて待っている中国ではない。最初にこの壁を破るのは誰になるのか。それともこの堅固な壁が破られることはないのか。いずれにしても今以上にエキサイティングな未来に期待したい。
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WTT:https://worldtabletennis.com/teamseventInfo?eventId=2751
(まとめ=卓球レポート)