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卓球 パリ五輪 男子シングルス決勝
 〜樊振東が金メダル。モーレゴードは銀〜

 パリオリンピック卓球競技5種目(混合ダブルス、男女シングルス、男女団体)が、パリ南アリーナ4(パリ・フランス)にて7月27日〜8月10日にて開催される。
 競技9日目の8月4日は男子シングルス決勝が行われ、東京大会銀メダリストの樊振東(中国)が金メダルを獲得した。
※写真は樊振東(中国)
※写真提供=ITTF/ONDA

序盤は振るわなかったバックハンドも終盤はその安定性と決定力を取り戻した

モーレゴードはバックハンドプッシュでゲーム序盤の主導権を握った

優勝を決め晴れ晴れとした表情で観客にアピール

ベンチの王皓監督とともに五星紅旗を広げた

卓球の奥深さ、面白さ、多様さを代表するような3人が表彰台に登った


▼男子シングルス決勝
樊振東(中国) -7,9,9,8,8 モーレゴード(スウェーデン)

 東京大会の男子シングルス決勝で馬龍(中国)との激闘に敗れた樊振東(中国)が再びこの決勝の舞台に戻ってきた。準決勝では、王者らしいプレーでF.ルブラン(フランス)の勢いを止め、余裕をうかがわせた。一方のモーレゴードは、2回戦で王楚欽(中国)を破った勢いもそのままに、準決勝ではカルデラーノ(ブラジル)とのハイレベルな台上からの駆け引きを制して初の決勝進出を果たした。
 立ち上がりは多彩なバックハンドを見せるモーレゴードがリードする展開。ドライブ対ドライブからバックハンドをフラットに叩くプッシュで9-7とリード。ゲームポイントを奪うと持ち上げるチキータからの回り込みフォアハンドでエースを決め11-7とモーレゴードが先制。自信を持ってプレーしているモーレゴードに対して樊振東はナーバスになっているように見える。
 動きに硬さが見えた樊振東が徐々にギアを上げてきたが、モーレゴードは先の読めないクリエイティブなスーパープレーを連発。0対2にはできない樊振東は食い下がり9-9と追い付くと、分が悪かったバック対バックを制して10-9と逆転。バック対バックからモーレゴードのプッシュの重いボールをバックストレートにフォアハンドドライブで決めた樊振東が1対1に戻す。
 モーレゴードの回転量の少ないバックハンドプッシュにも対応してきた樊振東に対して、モーレゴードは大胆な回り込みフォアハンドで応戦。両者ミスをしないフォアクロスの打ち合いに会場は盛り上がるが、このラリーで樊振東が得点。やや集中力を欠いたかモーレゴードのミスが増え始め3-3から樊振東が4点連取。モーレゴードも横回転を入れた技ありのストップでチャンスをつくり5-7とし、この試合で初めてチョップブロックで得点を決める。1点差になったところで樊振東ベンチの王皓がタイムアウト。タイムアウト明け、3球目で思い切って回り込んだモーレゴードが同点に。モーレゴードの一発が焼き付いたか、台上で慎重になりすぎた樊振東がストップをネット。モーレゴードも最後まで何をしてくるか分からない奇抜さで樊振東に追いすがるが、ゲームポイントでバック側に回り込んだモーレゴードのフォア側のオープンスペースを樊振東がバックストレートにフォアハンドでカウンターを決め、2対1とリード。内容の濃すぎる両者の応酬に会場の盛り上がりも最高潮に。
 もちろんまだまだ油断はできないが、樊振東に少し余裕が出てきたか、モーレゴードのインスピレーション対樊振東の修練の蓄積とでもいうような両者のぶつかり合いは、ここまでの3ゲームでほぼ手の内を見せてしまったモーレゴードに対して、王者樊振東の優勢で進む。ビッグゲームで実力以上のものを発揮できるモーレゴードを、樊振東が実力でねじ伏せるという形で3対1と引き離す。
 依然として何をしてくるのか分からないという怖さはあるものの、試合序盤の神通力が薄れてきたモーレゴードに対して、樊振東はまったく動じないといった自信に満ちた表情でプレー。0-3とはなされたところででモーレゴードがタイムアウト。モーレゴードはこれまで通じてきたあらゆるトリッキーな戦術に対策されてしまったという印象だ。序盤はおそるおそるラケットを振っていた樊振東は上から押さえつけるような彼らしいバックハンドドライブで得点を重ね、10-3とついにチャンピオンシップポイントを握る。ここからモーレゴードが4点連取で食い下がるが、モーレゴードのロングサービスをバックストレートにチキータで抜き去った樊振東がようやく悲願の金メダルを決めた。
 勝利を決めると、観客席に向けて腕組みのポーズを決めてベンチに戻った樊振東。喉から手が出るほどほしかった金メダルは樊振東だけのものではない。五輪の決勝で3度敗れている王皓にも捧げられたものだったのだろう。短いが固い抱擁は、樊振東がこの厳しいトーナメントを制したという以上の歴史を感じさせるものだった。
 一方、1992年のバルセロナ大会ワルドナー以来のスウェーデンの金メダルを目指していたモーレゴードの夢はおあずけとなったが、型破りなプレーで男子シングルスのトーナメントを盛り上げ、多くの観客の記憶に残ったことは間違いない。
 五輪というビッグイベントは選手にとってのみならず、それに携わる人々や卓球ファンにとっても、ひとつの終着点でもあり、長い旅の過程でもあり、新たなスタートでもある。このトーナメントの記憶が新たなストーリーの起点となることを祈りつつ、あらためて選手たちの努力に敬意を表したい。

男子シングルスのトーナメント



詳しい大会の記録はこちら
公益財団法人日本卓球協会:https://jtta.or.jp/tour/24750
World Table Tennis:https://worldtabletennis.com/eventInfo?selectedTab=Results&eventId=2603

(まとめ=卓球レポート)



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