第2回世界ろう者選手権大会の最終日となった5月6日、女子シングルスで日本の上田萌(日立化成)が金メダルを獲得した。また、同じく日本の佐藤理穂(東京富士大学)が銀メダルを獲得した。
上田は準々決勝で接戦を物にすると、準決勝で史冊(中国)と対戦。団体戦の4番で敗れた相手だった。
再戦となった女子シングルス準決勝も苦しい戦いとなり、ゲームカウント2対3で相手にマッチポイントを握られる状況に。しかし、この追い詰められた場面でも気持ちを崩さずにばん回すると、決勝に駒を進めた。
佐藤は準々決勝でカットの林煥(中国)を倒すと、準決勝でコンドラトフ(ロシア)と対戦。両ハンドのパワープレーが持ち味で優勝候補の1人と見なされており、佐藤は団体戦でストレート負けしていた。苦戦が予想されたが、結果は4対1で勝利。終始気迫を全面に出して戦った佐藤の闘志と、相手のパワープレーを封じる的確な戦術転換で勝利をつかんだ。
決勝は上田と佐藤の日本選手対決となり、東京富士大学時代の先輩にあたる上田が勝利を収め、念願の世界一となった。
上田と佐藤は2日前に行われた女子ダブルスでも金メダルを獲得しており、団体戦も合わせて上田は金メダル3個、佐藤は金メダル2個、銀メダル1個という、素晴らしい成績を収めた。
「ろうの世界で1番になることが小さいころからの夢であり目標でした。達成でき、とてもうれしいです。苦しい試合ばかりでしたが、たくさんの応援のおかげで金メダルを3つ取ることができました。ありがとうございます」と上田。
また、上田は「すべての面において課題がたくさんあり、1つひとつ克服できるようがんばります。次のアジア大会では追われる立場になりますが、1試合1試合挑戦者の気持ちでやります」と、5月26日に開幕する第7回アジア太平洋ろう者競技大会へと照準を合わせた。
大会公式ホームページ
http://2012wdttc.org
今大会の模様は卓球レポート7月号(6/20発売)に掲載。
現地取材班:中川学、川合綾子(卓球レポート編集部)