男子シングルスの準決勝は、水谷(日本)対シバエフ(ロシア)、呉尚垠(韓国)対ガオ・ニン(シンガポール)の戦いになった。
水谷の相手のシバエフは、岸川、丹羽の日本勢を連破し、準々決勝で朱世爀(韓国)に勝つなど、今大会で乗りに乗っている選手。試合は序盤から激しい打ち合いになったが、要所で水谷のクレバーな戦術が光り、3対1とゲームをリードした。しかし、シバエフは諦めることなく、ロングサービスを積極的に使って水谷のストップレシーブを封じると、そこから力強いフォアドライブで攻めて3対3に追いついた。
最終ゲームもシバエフの勢いは止まらず、水谷は4対8とスコアをリードされる。だが、ここから水谷は驚異的なプレーを見せて6連続ポイントで10対8と逆転し、最後は11対9でシバエフを倒し、激戦を制した。
呉尚垠対ガオ・ニンのベテラン対決は、両者とも好調だっただけにどちらが勝つかわからなかったが、呉尚垠の前陣ブロックとカウンタードライブがおもしろいように決まり、ストレートでガオ・ニンを下した。
決勝は水谷対呉尚垠。ロンドンオリンピックの強烈なライバルである韓国選手に対して、水谷はこれでもかというほどの高い集中力を見せた。
第1,2ゲームは水谷のサービスが効いて、競り合いながらもものにしたが、第3ゲームから呉尚垠のレシーブがよくなり、ブロックも冴えて、第3、4ゲームを呉尚垠が取った。勝負の分かれ目となったのは第5ゲーム。水谷はこのゲームをジュースで奪うと、呉尚垠の集中力が切れ、第6ゲームは一方的な内容で水谷が勝ち、ジャパンオープンの男子シングルスで初優勝を遂げた。
試合後の会見で水谷はこう話した。「苦しい試合の連続で何度も心が折れそうになりましたが、これだけたくさんの観客の前でプレーすることができたので、がんばることができました。この優勝でロンドンオリンピックのシングルスのシードはほぼ確実になりました。最後の国際大会で優勝してロンドンにいけるのでよかったです」
今大会の水谷は、心技体智の全てが完璧だったといえよう。好不調の波が続いていた水谷だったが、この優勝で何かが吹っ切れたはずだ。ロンドンオリンピックでの活躍に期待したい。
今大会の模様は卓球レポート8月号(7/20発売予定)に掲載予定。