第1ゲームは丹羽のコースを打ち分けられる高速台上バックハンドで優勢に。この台上バックハンドに深いツッツキと打球点の早いストップを交ぜて水谷に先手を取らせない。ラリーでも簡単には抜かせてくれない水谷だが、フォアハンドで攻め続けて11-8と丹羽が先取。
第2ゲーム、丹羽を勢いづけたくない水谷が6-1と大量リード、3-9で丹羽はこのゲームをあきらめたかのような高いロビングを見せたが5本目でわずかにオーバー。最後は水谷が手首をフォア側に返しながら、ストレートにバックハンドを放ってノータッチエース。1-1とタイに戻した。
第3ゲームも水谷が先行する展開。台上バックハンドレシーブに威力のある丹羽に対して水谷はロングサービスを多用して先手を取らせない。水谷が連取して2-1とリード。
続く第4ゲームは競り合いになるが、お互いにフルスイングの見応えのあるドライブの引き合いが展開される。速い攻めで9-7とリードした丹羽だが、レシーブミスが響いて、逆転を許し水谷が11-9で王手をかける。
後がなくなった丹羽、第5ゲームも攻撃の手を休めない。8-3と大きくリードした丹羽に対して、攻め急いだ水谷がミスをして11-7でこのゲームを丹羽が取り返す。
第6ゲーム、ここで決めたい水谷がサービスエース2本で、声を出して気合いの入ったプレー。しかし、負けられない丹羽は水谷の回り込み3球目をストレートにブロックするなどスーパープレーを見せて3-3に。9-5から丹羽は間をおかずにたたみかけるようにサービスを出して2点連取。勝負は最終ゲームに持ち越された。この終盤でレシーブミスを誘うサービス力の高さは特筆すべきだろう。
最終第7ゲーム、声を出して気合いを前面に出す水谷に対して、丹羽はあくまでクールに淡々とプレー。丹羽が6-4とリードしたところで、水谷は丹羽のフォアハンドドライブをブロックミス。ミスの少ない水谷がカウンターせずにブロックをミスしたところに弱気がうかがえた。8-7で丹羽の浮いたレシーブを強打ミスすると9-7と離され水谷は厳しい流れ。ここで水谷はレシーブミスで丹羽に3本のマッチポイント。水谷は三球目をフォアクロスに決めて10-9まで迫るが、最後はバックハンドをオーバーミス。高校生の新チャンピオンが生まれた。
丹羽は大会を通して、すさまじいスピードプレーを連発していた。ダブルスではトリッキーなプレーで観客を魅了しもしたが、シングルスの決勝では技術とスピードで真っ向から水谷に立ち向かったという印象だった。「自分はまだ日本のエースだとは思っていない。これからそれを証明していきたい」という野心的な発言は水谷にはどのように聞こえただろうか。水谷のプレーも明らかに去年よりもレベルアップしていた。「水谷隼」でもまだ成長することができることを卓球ファンの前で見せてくれた意味は大きいだろう。新チャンピオンの誕生を祝福するとともに素晴らしい試合を見せてくれた選手たちに感謝したい。
丹羽孝希(青森山田高) 11-8、3-11、8-11、9-11、11-7、11-5、11-9 水谷隼(beacon.LAB)
今大会の詳しい情報・記録は日本卓球協会ホームページに掲載されています。
日本卓球協会:http:/www.jtta.or.jp
記録ページ:http://www.jtta.or.jp/AJ/result2012/
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