<男子団体準決勝>
ドイツ 3−1 日本
○ボル -16,5,4,12 丹羽
オフチャロフ -8,16,8,-6,-8 水谷○
○フランチスカ 10,-7,-8,5,6 松平
○ボル 6,5,6 水谷
オフチャロフ - 丹羽
準々決勝でポルトガルに3対0で快勝し4大会連続のメダルを決めた日本は準決勝で強豪ドイツと対戦。日本は2012年のドルトムント大会でも準決勝でドイツと対戦し、3対1で敗れている。そのリベンジのチャンスが2年のときを経てやってきた。しかし、全盛期を過ぎたと思われていたドイツのエース、ボルの活躍により丹羽、水谷がともに敗れ2年前と同じ1対3で敗れるという悔しい結果となった。ただし、その内容は大きく前進したと言えるだろう。
トップの丹羽は、第1ゲームからポルトガル戦のときのような高い集中力で臨み、ミスの少ないボルに凡ミスに見えるようなミスを誘うほど1球1球厳しいボールを送り、第1ゲームの激しいジュースを4度目のゲームポイントで18-16とし、先取した。しかし、第2ゲームからエンジンをかけ直してきたボルは、リスクを背負って攻める丹羽に対して抜群の安定感でミスを引き出し2ゲームを連取。第4ゲームは再びジュースとなり丹羽がゲームポイントを握ったが、攻めきることができずにボルが14-12でこのゲームを取り、ドイツが先制。
2番は水谷対オフチャロフ。何度も対戦している2人だが、3月に行われたドイツオープンでは決勝を争い、ゲームオールの熱戦をオフチャロフが制している。水谷はラブオールから一見してわかるほどの入り込み様。2人とも簡単には決まらない粘り強さのある選手だが、水谷は3球目攻撃を見せたり、ラリーでもフットワークを使ってフォアハンドで攻めるなどして、優位に立ち第1ゲームを先取。競り合いとなった第2ゲームはジュースから水谷がゲームポイントを握りながらも18-16でこのゲームを失う。しかし、両者とも集中力を切らすことなく、1歩も譲らないプレーで勝負は最終ゲームへ。水谷はポイントするごとに声を上げてガッツポーズを見せ、勝利への執着心をあらわにしてプレー。対するオフチャロフはアウエーということもあったのか、気圧されるような場面があった。このゲームも一進一退の攻防となったが、8-8からオフチャロフのサービスで、3球目攻撃を決められたと思うと水谷のスーパーブロックが決まり、9-8とリード。次のボールもチャンスボールを痛恨のミスで逃すと、水谷が一気にたたみかけ、最後はオフチャロフのバックハンドがオーバー。水谷が大一番での大熱戦を制した。このゲームの水谷は気迫、プレー内容ともに近年まれに見る完成度の高さだった。
3番は今大会、初戦から苦しみ続けてきた松平。準々決勝のモンテイロ戦では復調の兆しを見せたが、この試合でも完調にはほど遠い内容だった。第1ゲームは思い切り攻めてきたフランチスカに先手を取られて、ジュースを取られるが、台上にミスが多い若手のフランチスカに対して、松平のテクニックが上回り、第2,3げーむは松平が連取。しかし、得点方法の定まらない松平に対してフランチスカは思い切りのよい両ハンドで襲いかかり、松平は後手に。結局、自分のプレーを見いだすことができないままに松平が敗れる形となった。日本はこの3番の1点を計算していただけに手痛い1敗となった。
4番は水谷対ボルのエース対決。この4番のボルは序盤から顔つきも違い、オフチャロフを破って勢いに乗る水谷に対して、1本も与えないというような気迫に満ちたプレーを見せた。ボルは相手が強打できないような低いループドライブからチャンスをつくり、ラリーになると絶対の安定感で、甘いボールを見逃さずにストレートに決める。今大会比較的楽に勝ってきたボルが初めて、勝ちにこだわった試合をしているように感じた。1対2の日本ビハインドで、この試合を落とせない水谷だったが、付け入るすきを見せないボルに圧倒され3ゲーム連取された。ドルトムント大会に続き、丹羽と水谷がボルに敗れるという結果に終わった。
ドイツは3大会連続の決勝進出。モスクワ大会ではボルが馬龍から1点を挙げ、ドルトムント大会では張継科とゲームオールの好試合を見せた。オフチャロフも実力をつけてきた今大会、ドイツはどこまで中国を脅かすことができるのか。熱い試合を期待したい。
今大会の模様は卓球レポート6月号(5月20日発売)・7月号(6月20日)に掲載
公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
JA全農2014年世界卓球団体選手権東京大会/公式サイト:http://www.2014wtttc.com
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