世界卓球2016クアラルンプールでは、全日本チャンピオンの座に2度輝き、日本代表としても活躍した梅村礼がその鋭い目で見た世界卓球を語る。ここでは日本女子の3戦目となる朝鮮民主主義人民共和国戦について話を聞いた。
朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)はエースのキム・ソンイを1番か2番に上げてくると思っていましたが、3番に持ってきました。日本は決定打があってカットに強い伊藤を2点起用すると思っていましたが、村上監督はカット対策を十分にして自信を持っていたのでしょう。エースの2人を2点使いしてきました。
石川対リ・ミョンスンは石川の対策が十分にできていると感じました。緩急をつけたボールをミドルに送って、フォアで取らせたり、バックで取らせたりして、サイドを意識させることによって、甘いボールが来ていました。相手は石川の強打を怖がって、一球一球のカットのクオリティーがだいぶ落ちていたように感じました。
福原は貫禄勝ちでした。バック側のボールに相手が全然合っていませんでした。相手は福原のボールに対して速いピッチで叩いてきていましたから、そういう選手に対しては福原は負けません。戦術もですが、経験の差を感じさせる試合でした。
対カットという点では一番パンチ力があるのが伊藤です。カットに対しては何本ドライブで粘ることができても決めきれないと得点できませんが、伊藤のパンチ力は評価できると思います。この試合では、ドライブを連打で使ったときにミスもありましたが、しっかりスマッシュを打てるので、相手は伊藤のスマッシュを嫌がって自滅していた部分もありました。また、相手に攻撃されたときに落ち着いてブロックできていた点はよかったですね。相手は攻めているつもりなのに苦しんでいるという形になっていました。対カットの試合でカット選手の攻撃に対応できないと、相手は余裕をもって攻撃してきますし、カットも攻撃もできるという状態になってしまいますが、そのような状態にさせなかったのはいい試合運びをしていたと思います。
これほど3試合圧勝に近い形で勝てると思っていなかったのでうれしい誤算ですね。女子はいい形で前半戦の山場をクリアできたと思います。
残すところはタイとドイツですが、タイはベテランのコムウォンと若く伸び盛りのケトゥクワン、馮天薇に勝ってシーゲームズという大会で優勝したサウェッタブットと3人の実力ある選手がいるので、油断は禁物ですね。ドイツはカットのイバンカンが出てくるでしょうか。ただ、決定力には欠けるチームという印象です。日本チームが実力を発揮できれば難しい相手ではないのではないでしょうか。
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今大会の模様は卓球レポート4月号(3月20日発売)に掲載
公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
世界卓球2016クアラルンプール/公式サイト(英語):http://www.perfectwttc2016.com.my/
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2016クアラルンプール(英語):
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