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元日本代表が世界卓球を語る「梅村礼の眼」⑬

世界卓球2016クアラルンプールでは、全日本チャンピオンの座に2度輝き、日本代表としても活躍した梅村礼がその鋭い目で見た世界卓球を語る。ここでは日本女子の決勝トーナメント準決勝となる朝鮮民主主義人民共和国戦について話を聞いた。


ayazo.jpg 予選でも対戦して、3対0で勝っている朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)ですが、オーダーは異なるものの、前半の対戦相手は同じという組み合わせになりました。
 トップの伊藤は、ドイツ戦でも1番で登場しヴィンターを破ってチームを勢いづけました。その役割がこの試合でも求められるということをプレッシャーに感じたのでしょうか、伊藤のプレーにはやや気負いが見られました。キム・ソンイは予選では勝っているだけに、相手は対策を練ってくるでしょうから、楽な試合にはならないと思いましたが、伊藤には要所要所で打ち急ぐようなところがあるように感じました。そのようなミスが積み重なってしまったのではないでしょうか。伊藤はバック面の表ソフトラバーのストップやツッツキに変化を付けるプレーを得意としていますが、そこでミスが多かったので、点の取り方がわからなくなっていたのではないでしょうか。こういうときはもう少しゆっくり、ツッツキを入れて打ち急がずにラリーをする、相手を見てコースを変えるという工夫ができると思います。常に100%のボールを打つ必要はありません。また、キム・ソンイは前回の敗戦を生かして、伊藤のカット打ちや強打を常にクロスで待ち受けていました。短いボールで台に寄せられた後、常にクロスで待っていたので、伊藤の強打も返球されるという場面が何度もありました。伊藤はもっとストレートのボールを使ってもよかったかもしれません。
 2番は石川対リ・ミョンスンでした。リ・ミョンスンもキム・ソンイ同様、クロスで待つことを基本にしていたので、ラリーの続く展開になりました。石川はミドルをうまく突いて、バック側に速いボールと、フォア前に短いボールを織り交ぜて相手のタイミングを狂わせていたので、相手がカットしづらいボールを送っていました。相手の攻撃に対してもしっかりブロックできていましたし、しっかりエースの仕事ができていたと思います。
 3番は福原対リ・ミギョン。福原が攻め込まれる場面もありましたが、攻守にわたって福原らしいプレーが見られたと思います。つないだボールを狙い打ちされる場面がありましたが、バックハンドの強打を見せることで、相手の位置取りを難しくしていたので、前後の揺さぶりが効いていました。このあたりは経験の豊富さを感じさせました。
 4番は伊藤対リ・ミョンスンでした。1対1の第3ゲームは20-18という大接戦の末に伊藤が落としましたが、あのような形でゲームを落とした後も最後まで打ち切った15歳を褒めてあげたいということに尽きます。しいて言うなら、ストレートボールを使うと相手は待ちにくくなるので何本かでも使っておくと強打が決まりやすくなると思います。お互いに失点が怖いという展開で、クロスのラリーが続きましたが、相手の立ち位置を見て、ミドルやフォアストレート、バックストレートを突くような技術を覚えていくとよりカット主戦型に勝ちやすくなると思います。また、バックハンドの強打もあるので、カットに対して表ソフトの方が打ちやすいような場面ではフォアミドルくらいまでバックハンドでカバーするような技術もあっていいと思います。相手はタイミングや回転が変わるので、ミスを誘うこともでき、戦術も立てやすくなります。さらに、反転して表ソフトでフォアハンドスマッシュすることもできると思いますし、まだまだ伊藤のカット攻略は成長することができると思います。
 決勝の相手は中国と中華台北の勝者ですが、おそらく中国が勝ち上がってくるでしょう。相手の方が世界ランキングも経験も上だと思うので、まずは、自分のベストのプレーができるように心がけてほしいですね。


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今大会の模様は卓球レポート4月号(3月20日発売)に掲載

公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
世界卓球2016クアラルンプール/公式サイト(英語):http://www.perfectwttc2016.com.my/
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2016クアラルンプール(英語):
http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2587&category=WTTC

 

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