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元日本代表が世界卓球を語る「梅村礼の眼」⑫

世界卓球2016クアラルンプールでは、全日本チャンピオンの座に2度輝き、日本代表としても活躍した梅村礼がその鋭い目で見た世界卓球を語る。ここでは日本男子の決勝トーナメント準々決勝となる香港戦について話を聞いた。


ayazo.jpg 日本はポルトガル戦同様、丹羽を3番に下げて、水谷、吉村を2点起用にしましたが、香港はエースの黄鎮廷と3番手の何鈞傑を2点使いにし、唐鵬を3番の丹羽にぶつけてきました。唐鵬はロンドンオリンピックで丹羽に勝っているので、エースの2点と3番で3点を取ろうというオーダーでした。日本は丹羽に苦手の唐鵬を当てられた形になりましたが、想定の範囲内だったと思います。今後を見据えて、ここでリベンジするつもりもあったのではないでしょうか。
 トップの水谷対何鈞傑は、水谷が落とせない戦いでしたが、1ゲーム目は水谷が細かい技術で先手を取って相手に打たせないようにしていましたが、ラリーになると相手は思い切ってプレーしてきていたので、ボールの威力では押されているという印象を受けました。コートの真正面で観戦していましたが、空調の風が結構吹いていたので、その影響もあったと思いますが、ところどころでサービスが長くなってしまったり、バウンドが高くなってしまったりしていました。とはいえ、しっかりと実力と経験の差できっちり勝ってくれました。
 2番の吉村は相手エースの黄鎮廷と対戦しました。第1、第2ゲームはそれほどラリーにもならずに引き合いでも押され気味で、一方的に相手にやられてしまいました。特に、吉村の得意のサービスがあまり効かなかったので、苦しい展開になることが予想されました。転機になったのは3ゲーム目の終盤で勝ちを意識したのか、黄鎮廷が早く点数を取りたくて小手先のプレーをした場面がありました。体を使っていないので、イージーミスにつながり、結局このゲームを吉村が取ったことによって乗ってきたという感じはありました。第4ゲームからは吉村が先手を取って引き合いに持ち込めたので打ち合いでも負けていませんでした。0対3で負けててもおかしくない試合でしたが、少しのチャンスを見逃さずによくひっくり返すことができたと思います。
 3番は丹羽ですが、今大会は苦しい試合が続きますね。分の悪い相手ですし、対策も十分にされていることは仕方ないと思いますが、今まで1発で抜けていたようなボールや、丹羽が逆を突いたボールもことごとく待たれているような感じがしました。このままの状態で準決勝、決勝は厳しいのではないでしょうか。
 4番は水谷対黄鎮廷のエース対決でした。黄鎮廷はペンドライブ型ですが、シェーク同様にバックハンドも振ってくる選手です。第1、第2ゲームは、先手の取り合いの行方がわからない、探り合いのような展開が続きました。3ゲーム目でも水谷らしくない相手のボールに合っていないようなミスが見受けられました。そこで4ゲーム目は、本来ならもっと強く打つようなボールもしっかりと入れにいっているようで、我慢しながらプレーしているなと感じました。風なのか、台なのかわかりませんが、何かが本人の思い通りにならなかったのだと思います。5ゲーム目のチェンジコートのときに審判のカウント表示のミスで少しゲームが中断しました。その直後に水谷のサービスミスがあったので集中力が切れてしまったかと思いましたが、その後、台上から攻めたり、マッチポイントを取られても思い切って回り込むなど開き直ってプレーできたのが勝因だったと思います。必ずしも調子がよくない中で、我慢するところは我慢して、思い切り行くところは行くというエースらしいプレーでした。
 これだけ競った試合をものにしてメダルを獲得したことは評価できると思います。ご覧の通り、簡単に勝てる相手ではありませんので選手も監督も精神的にきつかった部分はあると思いますが、第1目標をクリアしてくれてよかったです。
 明日対戦するイングランドも力はありますが、香港戦よりは気分的に少しは楽なのではないかと思います。メダルがかかった試合とメダルの色を変えていく試合ではプレッシャーのかかり方も違うと思います。明日も思い切ったプレーを期待しています。


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今大会の模様は卓球レポート4月号(3月20日発売)に掲載

公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
世界卓球2016クアラルンプール/公式サイト(英語):http://www.perfectwttc2016.com.my/
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2016クアラルンプール(英語):
http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2587&category=WTTC

 

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