【男子シングルス】上田仁が連覇を達成
男子シングルスは上田仁(協和発酵キリン)が昨年に続き連覇を達成した。上田は6回戦で苦手としている張一博(東京アート)に3対0で勝利。「張さんとの試合を乗り越えたことで一気に勢いに乗れた」と語るとおり、その後は準決勝でチームメートの平野友樹(協和発酵キリン)を破るなど着実に勝利を重ねて、決勝へと駒を進めた。迎えた決勝は4年ぶりの優勝を狙う高木和卓(東京アート)と対戦。各ゲームとも接戦になったが、厳しいストップからラリーの主導権を握り、4対0で勝利を収めた。大会全体を通して精度の高いプレーで対戦相手を上回り、見事2年連続で社会人のタイトルを獲得した。
●上田選手インタビュー
「連覇を狙っていましたが、まさか優勝できるとは思っていませんでした。結婚後初めてのタイトルなのでうれしいです。全日本社会人は対戦相手も強いですし、年々レベルも上がってきていることに加えて前回優勝者として臨むということもあり、プレッシャーがありました。その中で優勝できたのは価値があると思います。6回戦の張さんとの試合を乗り越えたことで一気に勢いに乗れたと思います。 決勝は第1ゲームを良い流れでとれて、第2ゲームも接戦をものにできました。第2ゲームを取られていたらその後の展開はわからなかったと思いますが、要所で得点できたことが優勝につながったと思います。また、会社の方をはじめ、体のケアをしてくれた方やチームメートがサポートしてくれたことが大きかったです。今回は学生時代にずっと過ごしていた青森での開催ということで地元の方も応援してくださり、そういった声も力になりましたし、苦しいときに頑張れた要因だと思います」
2位の高木和は軽快なフットワークを生かしたドライブ攻撃で4年ぶりの決勝進出。準決勝ではチームメートの村松雄斗(東京アート)の精度の高いカットを緩急を使い分けたドライブで攻略した。
ベスト4には威力のあるフォアハンドドライブを軸に御内健太郎(シチズン)、加藤由行(フジ)らを破った平野と攻撃と守備の連係の良さで前回2位の森田侑樹(シチズン)らに勝利したカット主戦型の村松が入賞した。
【女子シングルス】森薗美月が初優勝
女子シングルスは昨年決勝で涙をのんだ森薗美月(サンリツ)が初優勝を果たした。森薗は準々決勝で「これまで勝ったことがない」という田代に4対3で勝利。長いラリー戦を制するなど、最後まで高い集中力を保って難局を乗り越えた。続く準決勝で前田美優(日本生命)を4対2で破り、2年連続の決勝進出を決めると、決勝は破竹の勢いで勝ち上がってきた永尾尭子(アスモ)の両ハンドドライブに苦しみ、第1、第2ゲームを奪われたものの第3ゲームからは持ち味の前陣での速攻プレーで押し切り4対2で勝利。念願の社会人のタイトルを手中に収めた。
●森薗選手インタビュー
「去年2位で、今年の全日本選手権もあまり成績が良くなくてずっと苦しい時期が続いていたので優勝できてうれしいです。応援してくださったチームの皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。準々決勝の田代さんとの試合は今まで勝ったことがなく、苦しい試合でしたが『気持ちで負けてはだめ』と思いながら最後までプレーできたのが良かったと思います。今大会では練習で出したことのなかった投げ上げサービスが効き、そこから良い展開をつくれて戦術の幅が広がりました。 決勝は永尾さんの回転量の多い両ハンドに圧倒されましたが、後ろに下がってしまうと勝ち目はないと思ったので、台からの距離を前に詰めて相手に押されてもしっかり前で踏ん張ってプレーしました。中盤からサービスの種類を変えて3球目攻撃が決まりだして良かったですし、カウンターもよく入ったので相手が困っているのが分かりました。最後まで自分の戦術を貫き通せたことが勝ちにつながったと思います」
4回戦で昨年の覇者・天野優(サンリツ)を破るなど、快進撃を続けた永尾は準優勝。長身を生かした中陣からの両ハンドドライブを軸に、強敵を連破して初の決勝進出を果たした。
ベスト4には加藤杏華(十六銀行)と前田が入賞。加藤は準決勝の永尾戦で3対0とリードを奪うも、永尾の粘りのプレーの前に悔しい逆転負けを喫した。前田は準々決勝で平野容子(豊田自動織機)とのサウスポー対決に4対3で勝利し、4強入りを決めた。
【男子ダブルス】松平賢二/上田仁が2連覇達成
男子ダブルスは松平/上田(協和発酵キリン)が昨年に続く優勝を果たした。決勝は久保田/軽部(シチズン)にゲームを先制されたものの2ゲーム目以降はミスの少ない落ち着いたプレーで形成を逆転し、3対1で勝利。優勝後のインタビューで「最初から連覇を狙っていた」と語り、目標を見事達成する形となった。
【女子ダブルス】平侑里香/松本優希がうれしい初優勝
女子ダブルスは平/松本が前陣での速攻を軸に、強敵を連破してチャンピオンに輝いた。準決勝、決勝ではともに相手の攻勢に対して的確なブロックやカウンターで対応し、見事頂点を射止めた。2位の土田美佳/宋は粘り強いラリー戦から得点を重ねて決勝進出を果たした。