世界卓球2017デュッセルドルフでは、全日本チャンピオンの座に2度輝き、日本代表としても活躍した梅村礼がその鋭い目で見た世界卓球を語る。ここでは、男子シングルス4回戦、女子シングルス準決勝の話を聞いた。
<男子シングルス4回戦>
張本 10,8,9,-9,9 ピステイ(スロバキア)
対戦相手のピステイ選手はちょっとクセのある選手でバック前のボールに対してたたくようなボールで返してきたり、打球したピステイ選手自身もびっくるするような予想外の攻撃がありました。おそらく今までにやったことがないようなタイプの選手だったと思います。
一番いやだったのは、精神的にいらいらさせられた部分だ思います。バッドマナーに近いプレーをされたときに張本選手が精神的に崩れかけましたが、踏みとどまりました。相手の揺さぶりに対してあまり動揺せず、自分のプレーに集中できるように調整していたと思うので、13歳にしてそのような対応ができるのことはすごいことだと思います。
張本選手が1ゲームを取ったあとは、相手がお手上げという感じになっていたので、そこからは張本選手がうまく試合をコントロールしていました。この試合については技術面というよりも精神面での強さが勝利につながったと思います。難しい試合の中で本当によく踏ん張りました。
<女子シングルス準決勝>
丁寧(中国) 4,8,5,-5,5 平野
この試合は中国側の必死さが伝わってくる試合でした。前回(アジア選手権大会)、丁寧選手は平野選手に負けているということもあってしっかりと対策を立ててきました。アジア選手権のときは平野選手の速さに振り回されるケースが多かったですが、今日の試合では台から下がらずに対応して、なおかつ厳しいボールを出していました。
また、丁寧選手はレシーブをきっちりと返球している印象を受けました。レシーブから無理をして攻めるのではなく、自分が返球したいコースにしっかりと返して、そこからの展開で優位に立ちました。特にゲーム終盤は自分の型にはめるという意図が見えました。それほどまでに対策をして、技術の精度を上げてきたということでしょう。
平野選手が得意とするバック対バックの展開でも丁寧選手はほとんどミスがなく、あれだけミスがないと、平野選手としては無理をしてより厳しいコースに打つしかありませんが、その中でミスが出てしまいました。2回続けて中国選手に勝つのは難しいということが今回の戦いであらためてわかりましたが、それだけ対策を立てなければいけない選手だと中国側に捉えられているということは、日本のエースの証でもあると思います。
今大会でのメダル獲得は日本チームとしてはうれしいことだと思いますが、平野選手自身は前回勝っていただけに納得できない部分もあるでしょう。この先、大きな大会で戦う回数も増えてくると思うので、次の大会に向けて中国選手対策をしっかりとしてほしいですね。今大会の平野選手を見て、ピッチが速く、威力のあるボールを前陣で打ち続けるなど、次世代の卓球をしているという印象を受けたので、どんどん進化していってほしいですね。
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今大会の模様は卓球レポート7月号(6月20日発売)に掲載
公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
世界卓球2017デュッセルドルフ/公式サイト(英語):http://www.wttc2017.com/en.html
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2017デュッセルドルフ(英語):
http://www.ittf.com/tournament/2705/world-table-tennis-championships/