世界卓球2017デュッセルドルフでは、全日本チャンピオンの座に2度輝き、日本代表としても活躍した梅村礼がその鋭い目で見た世界卓球を語る。ここでは、男子シングルス決勝と女子ダブルス準決勝の話を聞いた。
<男子シングルス決勝>
馬龍(中国) -7,6,3,8,-5,-7,10 樊振東(中国)
男子シングルスの決勝は、超高速ラリーの応酬で本当に見応えのあるものでした。第1ゲームは樊振東選手が積極的に馬龍選手のフォアサイドを突くなど、先に仕掛けている感じがあり、先制しましたが、第3ゲーム以降は馬龍選手のギアが1段階上がったような感がありました。馬龍選手は樊振東選手のチキータを封じるために要所でロングサービスを使い、主導権を握らせないようにしていた点が光りました。戦術面、精神面で王者の強さを見せるような戦いぶりでした。樊振東選手は十分に勝つチャンスがありましたが、馬龍選手と分が良くないということもあり、最後はプレーに焦りが出てしまった点が残念でした。しかし、世界最高峰のプレーを見せてくれました。
大会全体を通して、張本選手が躍進し、丹羽選手がベスト8に入るなど、日本チームにとって大きな収穫のある大会だったとは思いますが、決勝戦を見る限り、中国の壁はまだまだ厚いと感じました。これからさらにレベルアップして、中国との差を縮めていってくれることに期待したいです。
<女子ダブルス準決勝>
丁寧/劉詩雯(中国) 12,9,6,-6,3 早田/伊藤
この試合はサービス・レシーブが勝敗を分ける大きな差となりました。中国ペアはサービス・レシーブが非常に厳しく、日本はラリー戦に持ち込む前に先手を奪われるケースが続きました。レシーブでは伊藤選手が回り込んでバックハンドフリックを試みたり、早田選手がチキータで攻めたりするケースが見られましたが、レシーブをした後に、相手に3球目で狙われているという前提でラリーを組み立てることが必要です。レシーブ自体の精度を上げることは難しいかもしれませんが、「こういうレシーブをしたあとにはこういうボールが返ってきやすい」ということをある程度予測した上で、相手の3球目に備えることが大切でしょう。また、サービスも相手にチキータをさせるサービスなのか、チキータをさせないサービスなのかというところを明確にして、その後のラリーでどのような展開をつくっていくかをしっかりと組み立てていくことが今後の課題になると思います。
とはいえ、2人はともにまだ16歳なので、これからが楽しみですね。今回の敗戦を受けて自分たちに何が必要なのかがわかったと思うので、これからは勝つためにより厳しいプレーを実行できるようにしていってほしいですね。
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今大会の模様は卓球レポート7月号(6月20日発売)に掲載
公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
世界卓球2017デュッセルドルフ/公式サイト(英語):http://www.wttc2017.com/en.html
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2017デュッセルドルフ(英語):
http://www.ittf.com/tournament/2705/world-table-tennis-championships/