大会最終日は男女シングルスの3回戦から決勝までが行われ、男子シングルスは第1シードの谷垣(愛工大名電)が優勝し、自身初となる全国タイトルを手にした。
【男子シングルス決勝】
谷垣(愛工大名電)6,-6,8,-10,9濱田(愛工大名電)
●優勝 谷垣佑真(愛工大名電)
●優勝 谷垣佑真(愛工大名電)
谷垣がうれしい全国初タイトル!
谷垣はバックハンドの精度が抜けていた
男子シングルスは、谷垣(愛工大名電)が、第1シードの面目を保って優勝。
決勝の濱田(愛工大名電)との同士打ちは、手の内を知る者同士の試合だけに激しい打ち合いになったが、「部内でも分がいいので自信を持って臨んだ」と谷垣がいうように、終始安定したメンタルで要所を締め、ゲームオール9本の接戦を制して嬉しい全国初タイトルを手にした。決勝では「磨いてきた」と本人が語るように、チキータと、チキータからのバックハンドドライブの威力が冴えていた。
●谷垣佑真のコメント
「最後の全中ということもあり、ずっと優勝を狙ってきたのですごく嬉しいです。(決勝の濱田に対しては)自分の方が(部内でも)ちょっと優勢なので、今回も自信を持ってプレーすることができました。
(技術的には)台上のチキータとバックハンド、2球目と4球目をずっと練習してきたのでそれが生かせてよかったです。
団体戦で悔しい思いをしたので、シングルスで取り返すぞという気持ちでいて、決勝で取り返すことができました」
●2位 濱田一樹(愛工大名電)
濱田は必死のフォアハンドで谷垣に迫ったが、一歩及ばず
2位の濱田(愛工大名電)は、準決勝で鈴木(愛工大名電)との同士打ちを制して決勝進出。「分が悪い」という谷垣にも気迫で追いすがったが、第5ゲームの勝負どころでロビング打ちのミスやサービスミスが出たのが最後に響いた。優勝は惜しくも逃したが、果敢な回り込みと、ボールに必死に食らいつこうとする執念が光る好選手だ。
●濱田一樹のコメント
「最後の年だったので、ここに賭けてやってきましたが、最後に甘さが出たというか、力不足でした。5ゲーム目の前半でロビング打ちをミスしてしまったのとサービスミスがあって、最後、7-10から9-10まで追い上げましたが、前半の1本を取っておけば全然違う展開になっていたと思うので、そこはもったいなかったと思います。
団体戦ではトップで出ましたが、勝ってチームにいい流れを出すべき場所で接戦で落としてしまって、シングルスでは絶対にそれを取り返そうというつもりでやりました。谷垣には部内でも分が悪く、負けることの方が多いです。相手には一発で抜くボールがあって、自分の打つコースを読まれて強打されるということが練習でもよくありますが、それが今日も出てしまいました。
勝ち上がれば同士打ちになると思っていたので、全中ではサービスの質を練習のときよりも一段階上げてプレーしました。準決勝(鈴木颯戦)はサービスがよく効いて勝つことができましたが、決勝は5ゲーム目でサービスミスをしてしまったのが悔やまれます。全中で1年目はベスト32、次の年はベスト16、今年は2位と段々とランクアップして来られたことはよかったと思います。次は全日本ジュニアで去年のベスト8よりも上に行けるように頑張っていきたいです」
●3位 三浦裕太(河北台)
三浦はパワフルなドライブで優勝候補の篠塚を下す
3位の三浦(河北台)は、優勝の最有力候補と目されていた篠塚(愛工大名電)を4回戦で下して表彰台。中学生離れしたパワーで打ち合いに抜群の強さを見せるが、谷垣にはサービスで崩され、持ち前のパワーを封じられてしまった。
●3位鈴木颯(愛工大名電)
鈴木は見事なカット打ちで原田を下し、表彰台
もう一方の3位には、第2シードの鈴木(愛工大名電)が入った。準決勝では先輩の濱田に果敢に挑んだが、濱田のストレート攻撃に台から下げられてしまった。しかし、準々決勝で原田(中間東)のカットを速攻で打ち抜いたプレーは素晴らしかった。
優勝確実といわれた団体でよもやの敗北を喫した愛工大名電(愛知)だが、男子シングルスでは鈴木を含め、ベスト4に3人の選手が入り、あらためてその強さを示した形だ。その一方で、これほどのメンバーがそろっていても負けることがあるのだという、団体戦の恐さや醍醐味を再認識させられるシングルスベスト4の顔ぶれだった。
●男子シングルスベスト8
明豊のエース・田原は谷垣に打ち負け、表彰台ならず
スマッシュを多用する特攻戦術が光る川村
篠原は長いリーチを生かした両ハンドでベスト8入り
団体優勝の立役者・原田は鈴木の鋭い攻めに屈す
スマッシュを多用する特攻戦術が光る川村
篠原は長いリーチを生かした両ハンドでベスト8入り
団体優勝の立役者・原田は鈴木の鋭い攻めに屈す
男子団体で旋風を巻き起こした明豊(大分)のエース・田原は4回戦で前出(東観)をゲームカウント0対2から逆転してベスト8入り。ブロックが固く、打ち合いに強い選手だが、谷垣にはうまく台から距離を取られ、打ち負けてしまった。
川村(高安)は、実力者の伊藤(安田学園)を下してベスト8に入った。三浦にはパワーで押し切られたが、思い切った狙い撃ちスマッシュを多用する独創的なスタイルは会場内でも際立っていた。
篠原(浜松修学舎)は、準々決勝で濱田に両ハンドの精度で及ばなかったが、リーチの長さを生かしたしぶとい両ハンドドライブで勝ち上がった。今後、さらにパワーがついてくれば楽しみな存在だ。
男子団体優勝・中間東(福岡)の大黒柱、原田は粘り強いカットと質の高い攻撃を武器に順調に勝ち上がったが、鈴木には台から下がる間もなく厳しく強打を打ち込まれ、思うように対応できず。表彰台はならなかったものの、久しぶりに現れたカット主戦型の大器だけに、順調にレベルアップしていってほしい。
試合の詳細な記録は下記サイトをご覧ください。
第49回全国中学校卓球大会/広島大会:http://zenchu-hiroshima-takkyu.jp/
(写真/文=猪瀬健治)