丸善インテックアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で開催されている平成30年度全日本選手権大会。4日目はジュニア女子が決勝まで行われ、出澤杏佳(大成女子高)が優勝をつかんだ。
●ジュニア女子決勝の結果
出澤(大成女子高)−9、6、5、7 大藤(ミキハウスJSC)
逸材ひしめくジュニア女子。長﨑、木原、大藤、相馬。この世界ジュニア代表組を差し置いて、出澤の優勝を予想した人はほぼいなかったのではないだろうか。フォア面に表ソフトラバー、バック面にツブ高ラバーという出澤の独創的なスタイルの優勝は、まさに衝撃的だった。
サプライズの萌芽はジュニア女子4回戦にあった。出澤は期待のカット主戦型・小塩(JOCエリートアカデミー)と対戦。小塩の変化の激しいツッツキとカットにゲームカウント1対2とされ、4ゲーム目も大量リードを奪われて追い込まれる。しかし、ここから出澤はあきらめずに粘り強く戦い、ゲームオール9本で勝利。この逆転で出澤のプレーは自信を帯び始める。
続く5回戦、準々決勝を危なげなく切り抜けると、準決勝で昨年覇者で優勝候補筆頭の長﨑と対戦。長﨑の伸びのあるボールに対し、出澤はツブ高変化ブロックでミスを誘うと、長﨑がツブ高を嫌がってフォア側に送ってきたボールを表ソフトラバーでことごとくスマッシュで狙い打ち、撃破。
決勝では、大藤が長﨑と同じ轍は踏むまいとゆるいボールを混ぜてきたが、その緩急にも的確に対応し、一気に頂点をつかんだ。
打法と用具が進化した近年ではドライブを身に付けることが必須とされて久しいが、その常識に大きな一石を投じる出澤の優勝だった。
●出澤杏佳の優勝コメント
「まさか優勝できるとは思っていなくて実感がわかなくてすごくドキドキしています。自分より強い人がいっぱいいるので、向かって行く気持ちで試合に臨みました。
(長﨑や大藤ら格上に対しては)攻めていかないと勝てないのでどう攻めるべきか考えて試合しました。小さい頃から知っていて負けていた選手たちだったので絶対勝ちたいと思って試合しました。
(ジュニア女子4回戦の)小塩戦が一番うれしかったです。ゲームカウント1-2の2-9で大きく離されてしまいましたが、そこからあきらめずにプレーしてばん回できました。この結果に満足しないでもっと上に行けるよう頑張って行きたいです」
2位の大藤は、準決勝で木原をはじくこするが自在のバックハンドで下し、満を持して決勝進出。決勝では遅く高いボールを織り交ぜて出澤のリズムや打球面を狂わせようとプレーを組み立てたが、出澤の見事な対応力の前に涙をのんだ。
●ジュニア女子準決勝の結果
出澤(大成女子高)7、−8、8、8 長崎(JOCエリートアカデミー/大原学園)
大藤(ミキハウスJSC)10、9、9 木原(JOCエリートアカデミー)
3位には長﨑と木原。
長﨑は出澤のバック側に送ってしまうとツブ高ラバーで変化をつけられてしまうため、フォア側を突こうとしたが、そのボールをことごとくスマッシュで狙われ、戦術がまとまらないまま万事休す。
木原は大藤と好ラリーを繰り広げ、各ゲームとも競り合ったが、たまに混ぜられる遅いバックハンドに打ち急がされ、ストレートで敗れた。
●ジュニア女子準々決勝の結果
長崎(JOCエリートアカデミー/大原学園)6、10、11 稲吉(希望が丘高)
出澤(大成女子高)4、6、9 木塚(済美高)
大藤(ミキハウスJSC)4、9、4 青木(横浜隼人高)
木原(JOCエリートアカデミー)4、7、1 相馬(遊学館高)
(文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘)
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