LIONカップ第23回ジャパントップ12が宮城県カメイアリーナ仙台(仙台市体育館)で開催。
2日目は、すでに世界卓球ブダペスト2019シングルスの内定を得ていた選手たちに、昨日の最終代表選考会優勝者を加え、優勝が争われた。
女子シングルスは石川佳純(全農)が制し、ジャパントップ12通算4度目の優勝を果たした。
●女子シングルス決勝の結果
石川佳純(全農) 5,9,-11,-2,9,10 伊藤美誠(スターツSC)
女子シングルス決勝は、石川佳純(全農)対伊藤美誠(スターツSC)の対決になった。ここ最近、ワールドツアーや全日本選手権大会などで圧巻の強さを見せる伊藤に、石川がどう立ち向かうのかが注目されたが、試合が始まると石川がさすがの戦術を見せた。
石川は、伊藤のトリッキーな台上をバック側へのロングサービスとフォア前へのサービスで封じ、伊藤の強打にもしっかり反応し、2ゲームを連取。第3、第4ゲームは伊藤に連取されるが、第5ゲームの競り合いを物にすると、第6ゲームもジュースで伊藤を振り切り、ジャパントップ12通算4度目の優勝を果たした。
石川は今年の全日本でベスト16に終わったが、今回の優勝でその悔しさを埋めると同時に、あらためて自分が日本の主役の一人であることをアピールしたと言えよう。
●優勝直後の石川佳純の場内インタビュー
「今日は最初から最後まで自分自身勇気を出してプレーしようと思ってたので良いプレーができてすごく嬉しいです。美誠ちゃんは全日本チャンピオンですし、今日は私が胸を借りるつもりで向かっていこうと思っていて、苦しい試合になるとは思っていました。6ゲーム目ばん回されそうになって苦しいなと思ったんですけど、なんとか自分を励ましてプレーすることができました。
オリンピックというのは何回経験しても本当に狭き門で自分自身全てを賭けて頑張ってこその代表権だと思とうので、競争は厳しいんですけど、日本チームとして世界選手権もありますし、仲間でもありライバルでもあり、世界一を目指して頑張りたいと思います。
現地でたくさんの方に試合を見ていただいたり、TVを通して応援してくださった方にお礼を言いたいです。いつもどんなときもあきらめずに応援してくれる方々に本当に感謝の気持ちでいっぱいです」
2位の伊藤は速攻強打で石川に迫ったが、石川の巧みなサービスの前に得意の台上のバリエーションを減らされ、あと一歩届かなかった。優勝はならなかったが、準決勝でライバルの平野美宇(日本生命)をゲームオールで下した迫力はさすがだった。
●女子シングルス3位決定戦(5ゲームマッチ)
平野美宇(日本生命)14,-4,8,-8,8 加藤美優(日本ペイントホールディングス)
●シングルス準決勝
石川佳純(全農)-4,5,6,-11,8,5 加藤美優(日本ペイントホールディングス)
伊藤美誠(スターツSC)10,5,4,-6,-9,-7,8 平野美宇(日本生命)
●女子シングルス準々決勝
加藤美優(日本ペイントホールディングス)6,-4,3,-9,9,3 佐藤瞳(ミキハウス)
3位には、決定戦で加藤美優(日本ペイントホールディングス)をゲームオールで下した平野が入った。準決勝では伊藤にゲームカウント0対3から持ち味である両ハンドドライブを炸裂させてフルゲームまで追いつき、会場を大いに沸かせた。
4位には、昨日の世界卓球ブダペスト2019最終代表選考会を勝った加藤が入った。準々決勝(本日の1回戦)で佐藤瞳(ミキハウス)を見事なカット打ちで破ったが、準決勝で石川、3位決定戦では平野にゲームオールで破れ、上位進出はならなかった。
5位の佐藤は持ち味である守備範囲の広いカットに加え、スマッシュや裏ソフトラバーで反転してのバックハンドドライブなど攻撃力に進境を見せたが、加藤のミドル攻めからのスマッシュに敗れた。
全日本後に行われるジャパントップ12は、通例だと全日本の緊張感から解放された選手たちがリラックスしたプレーを見せる印象が強い。しかし、今回のジャパントップ12は、決勝の石川対伊藤や準決勝の伊藤対平野など、全日本に勝るとも劣らないピリッとした空気に包まれていた。
常になく選手たちがほとばしらせた緊迫感は、今年が2020年東京オリンピックに向けて重要な一年であることを如実に物語っていた。
(文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘)
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詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp/tournament/tabid/122/rptid/516/Default.aspx